周りの誰もが見落としている何かに、あなただけは気づいたのかもしれない

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

芳賀 健也

1.現在、どんな研究をしていますか?

私は表面物理研究室に所属しています。技術者として、実験の技術で研究や教育に貢献することが仕事です。学生や教員をサポートし、物質の表面を舞台に、原子スケールの物質が示す特徴的な性質や法則を明らかにすることを目標に実験を行っています。1個1個の原子を集めて出来上がった、原子が数個から1000個程度の集合体は、私たちが知っている物質とは違う性質を示すことがあります。そして、その小さな集合体が出来上がるメカニズムもまだ明らかになっていません。

主に使用している実験装置は、「走査トンネル顕微鏡」、「高分解能電子エネルギー損失分光器」、「低速電子線回折」、「真空蒸着装置」が挙げられます。

走査トンネル顕微鏡は、先端が鋭い金属の針を表面に近づけ、トンネル電流を観測することで、原子像を得ることができます。高分解能電子エネルギー損失分光器は、電子線を物質表面で反射させ、物質表面の電子状態や振動状態を観察することができます。

表面物理の実験には欠かすことのできない、超高真空槽の維持や設計も行っています。

実験には準備が大切です。工具や部品の材料の選び方、ネジの締め方、全部に意味があり、条件が整ったときに初めて、見たい、知りたいと思っている現象が測定できます。写真のように、測定ステージにセットされた試料は、凛として美しいものです。装置を扱うときは、いつもとても緊張しますが、技術者としてのやりがいを感じる仕事です。

2.興味をもったきっかけは?

私が技術者を目指したきっかけは、中学生の頃にMD/CDシステムを買ってもらったことかもしれません。スタイリッシュな外観、いい音質、そして使いやすさを兼ね備えていて、かっこいいものだと感じました。そして、そんな機械を自分でも作ってみたいと思ったのです。それで、高専で電子工学を学ぶことに決めました。高専では、多くの実験をこなしてきました。

理学部物理学科では、物理の法則を明らかにするために実験を行います。実験には、私が学んできた電子工学の技術が活かせます。

大学という場所で、自分の技術を活かすことができ、毎日、やりがいを感じながら働いています。大学に入って気が付いたことは、大学は誰もがみんな、「勉強したい」という思いを持って人が集まってくる場所であるということです。働いてみてその魅力を再確認しました。

3.メッセージ

「面白そうだなぁ」、「好きだなぁ」と思うものを見つけて、大学生になってほしいと思います。

「面白い」と思いながら勉強や研究をしている人たちが集まっているところが、大学の魅力だと感じています。

あなたが面白いと思うものを見つけて大学生になったなら、あなたの周りには、興味は似ているけれど、違う視点を持っている友人たちや、たくさんの知識と情熱を持って、研究に取り組んでいる先生方がいることに気がつけるはずです。そんな周囲の人々とのコミュニケーションの中では、面白いものがもっと面白くなったり、もっと好きなものを見つけたり、といった発見ができるのではないかと思います。

あなたにとっての面白いものが物理学で、実験に興味があるのなら…。

一緒に実験ができることを楽しみにしています。