「調べ」「考える」ことが、「知る」ことのきっかけになる

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

倉永 英里奈

1.現在、どんな研究をしていますか?

私たち多細胞生物では、受精卵、つまり1個の細胞が気の遠くなるようなプロセスを経て生物の形を作り上げていきます。例えば人体は60兆個もの細胞があつまってつくられています。しかしながら、ただレンガを積み重ねても建物が作れないのと同様に、細胞を寄せ集めただけではからだの形をつくることは出来ません。無秩序な細胞の塊に秩序を生み出すことで、始めて「細胞」は「生き物」になります。この神秘的な仕組みを紐解くために、「細胞」が「形」を作り始めるプロセスに注目して研究をしています。具体的には、研究に適した小さな生き物「キイロショウジョウバエ」が、幼虫(芋虫)から蛹の殻の中で成虫(ハエ)に変化していく様子を、蛍光タンパク質を利用したライブイメージングという手法で可視化して解析しています。蛹の殻を丁寧に剥くことで、個体が生きたまま、目や翅や脚や臓器が作られていく様子を細胞レベルで観察できます。

2.興味をもったきっかけは?

あんなに綺麗なアゲハチョウがもともとは芋虫だった、という事実を突きつけられたとき、子供ながらに衝撃を受け、生命の神秘を感じずにいられませんでした。大人になって、蛹の中で起きている出来事は、私たちのお母さんのお腹の中で起きていることと同じかもしれない、と考えるようになり、まずは小さな虫のことから知ってみたいと思うようになりました。

3.メッセージ

私たちの周りにはたくさんの不思議や謎が溢れています。神秘、という言葉で片付けず、まずは必要な情報を調べ、自分なりに考えてみてください。その「調べ」「考える」ことが、「知る」ことのきっかけになるのです。そしてもっともっと知りたいことが出てきたら、東北大学の理学部にきて、私たちと一緒に「研究」をしてみませんか?