周りの誰もが見落としている何かに、あなただけは気づいたのかもしれない

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

中川 広務

1.現在、どんな研究をしていますか?

火星の惑星環境の進化を研究しています。昔は地球のように温暖湿潤だったと信じられている火星が、どのように現在の乾燥寒冷な環境に激変したかに興味をもっています。学生の頃、日本が初めて打ち上げた火星探査衛星のぞみに関わっていたのですが、それが失敗に終わり、自分のデータで火星に挑もうと、リベンジで自ら独自の赤外分光装置を開発しました。 震災のときに開発途中の装置が滅茶苦茶になったときにはもうだめかと思いましたが、その装置は現在ハワイ山頂で無事に稼働しています。人に恵まれ、国内外の研究者たちの協力のもと、欧米の最新火星探査ミッションにも関わらせてもらっています。最新の探査機・地上観測データを使って、謎多き火星大気の振る舞いを解き明かそうとしています。現在は、本学地学グループ・フランスと協力して火星衛星探査計画MMX搭載機器の開発にも携わり、火星がどのように進化してきたのかを明らかにしようとしています。

2.興味をもったきっかけは?

両親が共働きで、夏休み・冬休みに預けられていた母の実家・南魚沼でみた壮大な星空がきっかけでこの道に進みました。父がよく連れて行ってくれたプラネタリウムも大好きでした。小学生の頃はブラックホールや系外宇宙船の話に夢中でしたが、自分や自分が作った装置が実際にたどり着くことができる太陽系内の天体に興味が湧きました。サラリーマンになった時期もありましたが、なんとか夢がかないました。

3.メッセージ

大学からの人生は、高校までの教育と異なり大きく自由であります。そこにはたくさんの可能性があります。これまでの枠にとらわれることなく全く新しいものを目指せる準備を大学で伸ばす努力が大切です。熱心に打ち込めることが見つかればそれは幸せです。忍耐強く諦めなければ夢は実現します。最後まで諦めなかった人が最後に残ります。私はのぞみが火星に辿り着かないことを知ったとき、それまで実験室に入ったことすらなかったのに開発と観測の道を選び、火星探査の夢を諦めませんでした。なんとかなります。自身に才能があると思ったことは一度もありませんが、たくさんの才能ある人たちに恵まれここまで来れました。結局は何をするにも人との繋がりがそこにはあります。これまでの大切な人たち・これから会う素敵な人たちを大切にしてください。過去からの幾多の人々の絶え間なき努力の上にみなさんが立っていて、みなさんの絶え間なき努力がまた未来につながっていくのだと信じています。