測れないものを測れるようにすることで人々の生活を豊かにする

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

佐藤 雄介

1.現在、どんな研究をしていますか?

主に細胞が放出する100 nm程度の小さな小胞(細胞外小胞)を分析するための分子技術の研究をしています。細胞外小胞とは核酸、脂質、タンパク質などにより構成される構造体ですが、その構造体の機能や役割を明らかにするために、細胞外小胞を選択的に捉えてシグナルを示すような機能性分子を開発しています。細胞外小胞を用いた診断や治療につなげるため、高感度に検出する技術や、医薬品としての価値が高い集団を分離する技術を目指しています。最近ではウイルスやリポソーム型ワクチンなど関連小胞の分析技術についても開発を進めています。

2.興味を持ったきっかけは?

化学は単なる得意科目という認識しかありませんでした。縁あって、本学の理学部化学系に入学し、研究室配属の機会に核酸を分析する手法を研究している研究室(分析化学研究室)があることを知りました。もともとは医学部を志望していたこともあり、化学系に入っても医学に貢献できるような研究ができるんだ、と驚いたことを覚えています。分析化学研究室に入ってからは、スタッフや先輩・後輩にたくさんのことを教えてもらいながら、夢中で楽しく実験できました。高校時代に生物を勉強していなかったので生体分子というと生物の分野と思っていました。しかし、化学をベースにした研究を進めることで、生体分子を単なる化学物質の一つとして向かい合い、その構造式を頭に浮かべながら分析手法を考える、という感覚を身に付けられたのは私にとって幸運なことでした。研究を続けてくると、いま向き合っている分子だけでなく、似た構造の分子にも興味が湧いてきて、最近はこんな分析手法があれば、あの分子のこういう情報が得られるかもしれない、など日々妄想しています。

3.メッセージ

私が専門にしている生命分析化学では、測れないものを測れるようにすることで人々の生活を豊かにする、ことが一つの大きなゴールだと思っています。いま勉強していることを研究に活かして、それが社会の役に立つ、と考えるだけでもワクワクしてきませんか?

私の学生時代に比べると格段に得られる情報量は増えているため、膨大な情報の中から自分が今欲しいと思っているものを選ぶ能力が重要になってくると思います。まずは自分で勉強し研究することで、取捨選択の基準となる知識を身に着けるとともに、周りの友人や教員と話をし相互作用することで、知識の幅を増やすと良いと思います。いま目の前にある課題や困難に対してどのように対応すれば自分が納得して、その後楽しく過ごせるか?を意識してみると良いかもしれません。