子供の頃に魅了された海と空。今はその海と空を対象に研究をしています。

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

杉本周作

1.現在、どんな研究をしていますか?

海は大気を変えるのか? この問いかけへの答えを得るべく研究をしています。

私たちが暮らす地球は海と大気に覆われており、これらが互いに影響し合うことで地球の気候システムは構築されています。これを大気海洋相互作用といいます。この相互作用関係は、海が誕生した約40億年前から続いています。20世紀までの学問で、大気が海に与える影響については解明が進んでいます。ただ、その反対、海が大気に与える影響については未だ多くの謎に包まれています。そこで、世界中の海を対象に、どこの海が、どのような時間スケールで、どれくらい大気に影響を及ぼしているのかを、観測データ解析や大気モデルによる数値シミュレーションから解き明かすことを試みています。

大気への海の影響を知ることは、今日明日の天気や、猛暑や暖冬のような季節予報、さらには10年先・100年先といった将来の気候について考える上でとても重要です。そして、地球温暖化により変わりつつある気候系のなかで海の役割はどう変わるのか? いまなお謎に包まれた「海と空の真実」に迫ることを目指しています。

2.興味を持ったきっかけは?

私は静岡県のとある街で育ち、自転車で30分ほどの距離に海がありました。海辺に寝転び、潮の匂いと波の音に包まれながら空を眺めていることが大好きでした。とくに水平線に沈みゆく太陽が、海と空を闇へと誘うあの瞬間に魅了されていました。さて、東北大学へは具体的な目標もなく入学したのですが、半年ほど経て自然を対象にした物理学があることを知り大変驚いたことを今でも覚えています。本当に予期せぬ良縁に巡り会えたものです。子供の頃に魅了された海と空。今はその海と空を対象に研究をしています。こんなに長い付き合いになるとは夢想だにしていませんでした。もう少し、お付き合いできればと思っています。

3.メッセージ

理学で行うのは科学(サイエンス)です。学生も教員もみな科学をします。そして、科学を通じて得られることが「発見」です。これがどんなに些細な発見であったとしても、それは地球史48億年のなかで70億もいる人類のなかで初めてたどり着いた「知」です。知を想像し、知の創造を通じて知を確立する。そして、その「知」が多くの人の「知識」に変わる。それが科学であり、理学です。そう考えるとワクワクしてきませんか?私たちは知の先端を歩もうと試みる若い方の挑戦を心待ちにしています。