
◆インタビュー◆
―山本先生の研究について教えてください―
「簡単言えば有機化合物を複雑な手段を用いず、触媒を使って簡単に造る方法を開発したということ。例えば、
A+B=C+Dの「C」という必要な物だけ造る。
金属分子触媒、ルイス酸触媒を用いる方法があり、ルイス酸触媒を使う方法は助手の頃からずっと行っている方法」
―なぜそれをつくったのですか―
「それが、世の中、研究者のコミュニティの役に立ちたい、ユースフルでありたいと思ったから」
―難しい点は何ですか―
「『千三』という言葉があってね、1000回やって成功しそうな物はたった3つ。
その3つをピックアップしてまたTRYする。1年に1回喜びがあれば十分。それが研究者の心情。苦しいことのみ多かりき。毎日が苦しいが嬉しいときもある。それは、成果を人が使ってくれたり、評価してくれたりした時など。1回でも味わうとやめられない」
と図を書いて説明してくださいました。(図参照)
―化学の道に進んだきっかけは何ですか―
「遠縁に化学を研究している人がいたということもあったけれど、大学入試の頃、合成化学がブームだった。その当時は日本が高度成長期を迎え重化学工業が盛んで『ナイロンで何でもできる感』があった」
―忘れられない思い出を教えてください―
「大阪大学でドクターの頃、A→Bなる反応が起こるとと先生にいわれたが、Bはちょっとだけしかできず、Cがたくさんできてしまうという結果になったことがあった。結局いわれたことと違うので途中でその研究をやめてしまったが、数年後Cができるということが命名反応になったという悔しい出来事があった。
それ以来、広い視野を持つように心がけている。また、学生と教授のコンビネーションについて考えさせられた出来事だった。学生はいろいろ見つけてくるがそれを捨てるか拾うかは教授の洞察力にかかっているので、教授たるものは広い視野を持っていなければならない」
―受章しての感想―
「自分のために自分の時間を使って研究しているにも関わらず、学生・スタッフが協力してくれてありがたいと思った」
―学生へのメッセージ―
「基礎学力の上に立って観察力を身につけ、洞察力さえあれば研究者になっても企業にいっても必ず成功する。がんばって下さい。社会の付託を得たエリートなのだから」
◆藤村勇一先生からのコメント
「 紫綬褒章の受章、心よりお祝い申し上げます。」
―私からみた山本先生の業績・功績―
今回の受賞の理由は「有機化学研究の発展に多大な貢献をされたこと」ですが、山本先生の研究成果は化学の他の分野にも大きなインパクトを与えています。例えば、私は理論化学の分野で仕事をしていますが、先生のキラル立体選択反応メカニズムの研究などは、我々にとって重要な研究テーマの一つになっています。
―どんな先生―
山本先生は本音で対応してくれる先輩です。先生はいつも核心をついたお話をされ、聴く者は熱いオーラを感じます。
―先生へのメッセージ―
いつまでも若さを保ち、本学における研究の調和のとれた発展とその基盤となる学生・院生に対する教育の質的向上のために、指導力を発揮してください。
◆豊田耕三先生からのコメント
―豊田先生からみた山本先生の業績・功績―
山本先生の最終講義で配られた業績リストを見た人は、圧倒される思いだったのではないでしょうか。常に最高の研究を持続するようにたいへんな努力をされていると感じました。
―山本先生はどんな先生ですか―
海外の先生が山本先生を訪問された際などに、その先生の講演会が開催されることが多いわけですが、司会をされる山本先生が、会場内の学生さんに色々なことを細かく丁寧に解説されるのが印象的でした。通常の経歴紹介に加えて、その先生の研究の内容や学術用語、基礎知識、あるいは外国の土地のことなどを学生によくわかるように、親しみのある表現で解説されておられました。一人、一人に合わせた対応があってこそ、大勢のリーダーであるということを感じずにはいられませんでした。
―山本先生へのメッセージ―
ゴールとみなされることが多い褒章受章ですが、山本先生の場合は、さらなるご活躍のスタートであると誰もが感じたと思います。先生のご健康とご活躍をお祈りいたします。
◆
磯貝幸枝さんからのコメント
―山本先生はどんな先生ですか―
厳しい時は厳しいですが、行事とかの時はすごいいっぱい話をしてくれて楽しい先生ですね。新しいこと新しいことを研究していて面白い研究をさせてくれる。実力がついたら、自分の思ったことをさせてくれます。
―山本先生へのメッセージ―
おめでとうございます。これからもよろしくお願いいたします。また、夕食一緒に食べに行きましょう。
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