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中村誠助教授インタビュー
  「非線形双曲型偏微分方程式の初期値境界値問題の研究」により、2006年度日本数学会建部賢弘特別賞を受賞された数学専攻の中村 誠助教授にお話を伺いました。
  建部賞は優れた業績をあげた若手数学者に与えられる賞で、奨励賞と、より著しい成果をあげた方に与えられる特別賞が設けられています。

中村助教授

◆インタビュー◆

―まず先生の研究について教えて下さい―


 物理現象を記述する微分方程式に対して、その方程式の解が存在するかを研究し ています。特に、時間変数を持つ非線形偏微分方程式に対して、時刻ゼロで初期 関数を与えた時に、方程式の解が、時刻ゼロ以降どの時刻でも存在するか(時間 大域可解性)を考察しています。空間における音波や電磁波の広がりに見られる ように、空間に障害物がある場合には、波が障害物に当たり反射することによ り、波の広がりを解析することは難しくなりますが、それを数学的に捉える事が 最近行っている研究の一つです。空間に障害物が無い場合でも、数学的に一般化 された非線形偏微分方程式を解くことは容易ではありません。考えたい方程式に 対して、より広い関数空間に属する初期関数に対して時間大域可解性を示すこ と、あるいは、初期関数に対する制約が多くなることを許しても、取り扱いが困 難な非線形項を持つ偏微分方程式に対して、時間大域可解性を示すことの二つ が、現在の研究動機です。非線形のシュレディンガー方程式、波動方程式、クラ イン・ゴルドン方程式、ディラック方程式、マクスウェル・シュレディンガー方 程式を扱っています。

受賞しての感想をお聞かせください

  大変光栄に思います。これまで御指導を頂きました方々と、共同研究者に感謝し ております。今後の厳しい評価にも耐えられるよう研究を進めたいと思います。

―研究をしていて嬉しかったこと、苦労したことは何ですか?―
受賞記念特別談話会

  目的に深く関わる論文で、証明が検証出来ない時に、力の無さに落胆しました。 一つずつ時間をかけて考察を行いますが、関連する論文も多いので費やす時間も 多くなり、いつになったら終わるのだろうと思うこともありました。

―小さい頃から数学が好きだったのですか?―

  他の教科と比べると理解し易かったように思いますが、能力は人並みです。数学では、中学時代の後半から確率、帰納法、背理法などでの論理が何故正しいのか疑問になり、証明の中に含まれている数学の論理に、深みにはまっては抜けられなくなる恐れを感じました。正しいとされることを、受け入れられないまま使わなければならないことで、数学には向かないとも悩みましたが、大学に入学後、歴史的にそのような疑問も考えられたことを知りました。厳密な証明に触れることにより、正しいと考える方法や、何故と思うこと、それについての知識が最も思考法に合いそうなのが数学でした。それでも、常識とされている数学の知識を消化するには、理解が遅いこともあって非常に多くの時間がかかりました。

―私も含め数学が苦手な人が多いのですが、中村先生が思う「数学の面白い所はここだ」というところを教えてください―

  自分の方法で消化出来るまで時間を費やせる環境と、段階に応じたシンプルで方向性の見え易い本があれば、面白さや美しさを感じるように思います。これまでの蓄積により、今知りたいと思うことがはっきりと理解できた時、また、考え続け、靄のかかった気持ちの中で、本や文献から手掛かりを得て、知りたいことがはっきりと形になっていく時に、満たされるのを感じます。単純な勘違いと判明して、落胆することもしばしばあります。

―学生へのメッセージ―


   学生の時は、二ヶ月近い休みもあったので、考えてみたいと思っていたことにじっくり取り掛かれました。東北大学の学生は、既に各自で方法を持たれていると思います。基準に合わせることも必要です。良いとされる方法で能力が真に発揮されないと考えるならば、外からの評価の落ち込みは受け入れつつも、信じる方法で進むことも必要と思います。周りの方々からの意見と助言から内省を繰り返し、正しい判断をされて有意義な学生生活をお過ごし下さい。

 
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