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2017年12月19日レポート

【広報サポーターレポート】12月2日 (土) ぶらりがく「鏡の世界は香りが違う!?」

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今回は12月2日(土)開催「ぶらりがく」の様子を高野紗季(理学部物理学科3年)がお伝えします!

 12月2日(土)に、理学研究科青葉サイエンスホールにて、化学科の寺田眞浩先生によるぶらりがく「鏡の世界は香りが違う?」が開催されました。当日は小さいお子様から年配の方までの幅広い年齢の方々20名程と一緒に学びました。


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講演の様子。

 まずは「鏡の世界」について考えてみましょう。顔の右側にほくろがある人が鏡を見ると、鏡の中の人のほくろは左側にあります。右手を鏡に映すと、鏡の中の手は左手になります。このように鏡の中の世界では左右が逆転してしまい、重ねることが出来ないものがあります。このような物質の形がその鏡写しの形と一致しない関係にある性質を「キラル」といいます。
私たちの身の回りにあふれている有機化合物は炭素原子からなっています。そして、その炭素原子は4本の手を持っており、その手を使ってそれぞれ化学結合をつくっています。その4本の手が違う原子(原子団)と化学結合を形成すると、それはキラルな性質を持ちます。本当に鏡写しの関係になるのか、分子模型を組み立てて確認しました。


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分子模型での実験の様子。

 そしてキラルな物質すなわち鏡の中にある物質は香りも違います。かんきつ類の皮の成分である(+)-リモネンと、その鏡写しの分子(-)-リモネンの香りをそれぞれ嗅ぎ、違いを感じました。(+)-リモネンはオレンジの香り、(-)-リモネンはレモンの香りがしました。私たちの鼻は、鏡写しの分子をかぎ分けることができるということにも驚きでした。
最後に、キラルな物質は光を回す性質についての実験を行いました。光は波であり、波の面(偏光面)を持っています。その波の面を一つにそろえた光が、キラルな分子の溶液を通過すると光の面が回ります。キラルな分子である砂糖を使って光の面がどのくらい回るか(旋光度)を調べる実験を行いました。各々手を動かし、皆さん楽しそうに実験をしていました。この光の面が回る性質を使って果物や野菜の甘さ(糖度)を調べているというお話も伺い、身近に感じることができました。


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旋光度を調べる実験の様子。

 またこのキラルな物質が、薬の製造過程において重要であるというお話も伺いました。ある物質が効能を持っていても、その鏡写しの形をしているものは副作用を引き起こしてしまうことがあります。そのため薬を作る過程において、その作りわけが重要となっています。
小さいお子様にとっては少し難しい内容だったかもしれませんが、楽しく実験しながら有機物質のキラルな性質について学ぶことができました。このぶらりがくをきっかけに、身の周りの化学により深い興味をもってくれることを期待しています。

参考資料:ぶらりがく「鏡の世界は香りが違う?」スライド(PDF)

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