すばる望遠鏡と最新の開発装置を用いて、惑星の誕生現場である原始惑星系円盤の詳細な様子を撮影することに成功しました。この国際観測チームSEEDSプロジェクトのメンバーである天文学専攻の山田亨教授に簡単ご説明いただきました。
国立天文台および大学の研究者からなる国際観測チーム SEEDSプロジェクト(註1)は、すばる望遠鏡と最新の観測装置 HiCIAO および AO188 (註2)を用いて、「ぎょしゃ座AB星」および「LkCa15」と呼ばれる年齢約数100万年以下の若い星の周囲を観測し、惑星が生まれる現場である原始惑星系円盤のこれまでにない詳細な構造を解明することに成功しました。観測結果からは、偏心したリング構造やギャップ構造などの存在が明らかに形成されつつあり、その影響が円盤のかたちに反映されていることを示しています。
註2:HiCIAO および AO188 はそれぞれ、すばる望遠鏡の新鋭観測装置で、前者は高コントラストの観測を実現するコロナグラフ装置、後者は大気の影響を補正して望遠鏡本来の性能を活かした観測を行うための補償光学装置です。
↑すばる望遠鏡と観測装置 AO188 および HiCIAO を用いて得られたぎょしゃ座AB型星の画像(疑似カラー)。中心にある恒星は、「コロナグラフ」という仕組みで隠されている。下段は上段図の中心部を拡大し、その構造を示したもの。1天文単位は太陽ー地球間の平均距離に相当する。