東北大学 大学院理学研究科・理学部

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【受賞】物理学専攻山口浩司 客員教授が第28回井上学術賞、化学専攻佐藤雄介助教が第28回井上研究奨励賞を受賞

物理学専攻 量子計測講座山口浩司 客員教授が「微細機械構造の量子力学的振る舞いに関する先駆的研究」により、第28回(2011年度)井上学術賞を受賞されました。化学専攻 分析化学研究室佐藤雄介 助教が「脱塩基部位およびミスマッチ塩基対を標的とする核酸結合リガンドの開発と遺伝子解析」により井上研究奨励賞を受賞されました。2月3日に贈呈式が行われました。



山口浩司氏/微細機械構造の量子力学的振る舞いに関する先駆的研究

授賞理由:

近年の微細加工の進歩により、MEMSと呼ばれるマイクロサイズの機械システムが開発され、プロジェクターや高感度センサーなどに応用されてきた。さらに最近では、ナノテクノロジーの進歩とともに、ナノメートル領域まで微細化した寸法を持つ三次元の機械振動構造を作製することが可能となっている。山口浩司氏は、このようなナノメカニカル構造の基礎科学研究の重要性に早くから着目し、ミクロの世界で現われる量子力学的な物性が微小な機械構造においても出現する可能性を追求してきた。その結果、「量子力学」と「ナノメカニクス」の研究を融合した新しいナノサイエンス分野を開拓・確立するに至った。研究の中心的な役割を果たす微小メカニカル振動子は、ある決まった周波数で振動する3次元構造をミクロなサイズにまで微細化したものである。このような共振が、フォノンと呼ばれる振動の最小単位から構成されることは量子力学が教えるところであるが、山口氏は量子光学研究とのアナロジーに基づき、ナノメカニカル振動子において観測される様々な現象がフォノン間の相互作用として理解できることを示し、その相互作用を用いた新しい情報処理や振動制御の手法を提案・実証した。また、機械振動における単一フォノンの検出目指した研究では、原子核サイズの振動までをも測定できる著しく感度の高い超電導・半導体融合素子を作製することに成功した。さらに、半導体中の
電子の干渉効果や量子ホール効果と機械振動とを相互作用させ、超高感度の変位センシング技術や新しい半導体物性探索ツールの提案も行っている。これらの成果は、多くの著名学術誌への掲載や学会・国際会議における招待講演を通じて世界的に広く認められ、新しいナノサイエンス分野に発展している。このように量子力学とマイクロ・ナノメカニクスの融合研究というこれまでにない新しい視点の研究分野を確立した功績から、山口氏は井上学術賞にふさわしいと判断される。

財団法人 井上科学振興財団

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