東北大学 大学院理学研究科・理学部

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【受賞】地震・噴火予知研究観測センター 海陸測地観測グループが第13回日本測地学会賞坪井賞団体賞を受賞

地震・噴火予知研究観測センター 海陸測地観測グループ(代表:藤本博己、メンバー:日野亮太、木戸元之、伊藤喜宏、太田雄策、飯沼卓史、長田幸仁、稲津大祐*、鈴木秀市、佐藤俊也、立花憲司、出町知嗣、三浦哲(*現在、防災科学技術研究所))が「海陸統合測地観測に基づく2011年東北地方太平洋沖地震に関する研究」により、第13回日本測地学会賞坪井賞団体賞を受賞しました。



授賞理由:

受賞団体は、M7.5程度のプレート境界地震が約40年間隔で繰り返し発生すると考えられてきた宮城県沖において、2003年以来推進してきたGPS音響測位による海底基準点の3次元的変位場の観測、および2008年から継続している自由落下・自由浮上式の海底圧力計による上下変動観測の経験と地理的な条件を活かして、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震発生直後に、これらの観測の再測を速やかに実施し、未だかつて観測されたことのないような大きな地震時地殻変動を捉えることに成功した。これらの観測をもとに、他のGPS音響測位や海底圧力計のデータ等を加えて同団体により推定されたプレート境界の地震時滑り分布は、観測点の配置の的確さもあり、多くの類似した研究の中にあって最も信頼性の高いもののひとつであると認められる。

また、本震の2日前の3月9日に発生した最大前震と考えられるM7.3の地震に伴う地震時地殻変動やそれに引き続く余効地殻変動についても、同団体が開発した、全球客観解析による潮汐補正や非潮汐海洋変動成分の除去方法を用いることによって、上記の海底測地観測網の記録から明瞭に抽出することに成功した。これらの記録は、最大前震時滑りおよびその後の余効滑りの分布が明瞭に棲み分けていることの発見につながった。

このような詳細なプレート境界の滑り過程は、現象が起こっている領域の真上における測地データがあって初めて測定できることであり、陸域のみの測地データでは決してなし得るものではない。また、これらの海底測地データは、同団体の多年にわたるハードウェア及びデータ解析における技術開発の取り組みや、現場観測に伴う並々ならぬ努力の上に成り立っていることも特筆に値する。同グループにより得られた貴重なデータは、M9クラスの超巨大地震の発生メカニズムの解明に大きく寄与し、今後も世界的に高く評価され続けるものと考えられる。

同団体のこれら一連の研究活動は、測地学の発展に大きく貢献しており、日本測地学会坪井章にふさわしく、大きく評価されるべき業績と認められる。

日本測地学会賞坪井賞とは:

測地学の発展に大きな寄与をされた故坪井忠二先生の業績を記念し、測地学の分野で特に顕著な業績を揚げた若手研究者を奨励するために設けられた賞です。さらに、組織的研究が要求されるという測地学の特性から団体研究が重要な意義を有することに鑑み、顕著な業績をあげた団体を顕彰する団体賞も2001年に設けられました。

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