周りの誰もが見落としている何かに、あなただけは気づいたのかもしれない

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

津村 耕司

1.現在、どんな研究をしていますか?

観測天文学の研究をしています。天文学の観測対象といえば、普通は星や銀河を想像しますが、私の観測対象は「宇宙赤外線背景放射」、分かりやすく言い換えると「宇宙の明るさ」です。宇宙の明るさを精密に測定することができれば、この宇宙には、星や銀河などの光源が、宇宙の歴史を通してどれくらいあるはずかという事がわかります。大きな望遠鏡を用いても、100億光年かなたの遠くにある天体は、暗すぎて個別に観測することは不可能ですが、この「空の明るさの測定」だと、そのような個別観測が不可能な暗い天体が、宇宙の歴史を通した合計としてどれくらいあったのかがわかるのです。このような「宇宙の明るさ」の観測を、地上望遠鏡を用いて観測するのは困難です。なぜなら、測定したい宇宙の明るさと比較して、手前の地球大気はその何百倍も明るく眩しいからです。そのため、ロケットや人工衛星などに搭載する宇宙望遠鏡の開発も進めています。最終的には、木星軌道あたりまで望遠鏡を持って行きたいと考えています。

2.興味をもったきっかけは?

高校の時の物理の授業が面白かったのがきっかけです。高校物理では、惑星の運動などがニュートン力学で記述されることを学びますが、物理を学ぶと、宇宙で起こっている現象まで理解できるんだということに感動しました。その後、ブルーバックスなどで宇宙に関する一般書を色々と読み始めると、この宇宙はビッグバンで(当時の精度で)約150億年前に誕生した(注)という事が、天文観測に基づく証拠つきで分かっていることを知り、物理で宇宙の始まりまでわかってしまうんだとますます感動して、天文学を学びたいと思い、日本でも数少ない天文学専攻がある東北大学への進学を決めました。(注:現在の精度では138億年前にビッグバンがあったという事が分かっています。)

3.メッセージ

大学では、自分が面白いと思ったことをとことん追究する事ができます。私の場合は、それはたまたま宇宙でしたが、興味の対象は人それぞれでしょう。そして、東北大学のような大きな総合大学の最大の魅力の一つは、どんな対象であれ、その対象の専門家と繋がる事ができるという点です。ぜひ、あなたが「面白い」と思っていることを見つけて、それを東北大学でめいっぱい追究してみてください。