素粒子ニュートリノの観測により、地球を駆動する動力源を明らかにしようとしています。電荷を持たず質量も極端に軽いニュートリノは高い透過性を持つため、何でも通り抜けて長い距離を飛ぶことができます。その性質故に観測は困難であるものの、地球深部のウラン・トリウム・カリウムといった放射性熱源物質の崩壊で発生する「地球ニュートリノ」の観測によって放射性熱量を理解するという道具として用いることもできます。私は、東北大学の主導する国際共同研究であるKamLAND実験に携わっています。岐阜県の神岡鉱山内の地下約1km、高さ約20mの世界最大の液体シンチレーター検出器で、2005年の地球ニュートリノの世界初観測以来、「ニュートリノ地球科学」という学際的な研究分野を率いています。近年は、更に有益な知見を得るため、研究分野の垣根を超えて様々な分野の方々と試行錯誤しています。より深部のマントルの謎の解明を目指し、ニュートリノ検出器を深海に設置する「Ocean Bottom Detector」プロジェクトを進めています。