大地震による被害を少しでも減らすために

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

中田令子

1.現在、どんな研究をしていますか?

日本海溝沿いや南海トラフで発生する海溝型地震を対象とした地震発生サイクルの数値シミュレーションを、東北大のスパコンを使って行っています。地震発生の原因であるプレート境界面上での応力の蓄積と解放に関する物理法則を用いたシミュレーションによって、過去から現在までに知られている様々な断層すべり現象(巨大地震やスロースリップなど)の時空間発展を説明し、地震発生準備過程の時空間変化を定量的に理解しようとしています。現在は、2011年東北地方太平洋沖地震が日本海溝中部で発生した(三陸沖や福島県沖まで破壊が広がらなかった)のはなぜか?を、様々な仮説を立てながら検証しています。また、中長期的な地震発生予測として、今後、日本海溝沿いではいつどのような地震が起こりうるのか?というテーマにも取り組んでいます。

2.興味を持ったきっかけは?

子供のころから5教科の中では理科に興味があったので、理学部に進もうかな、将来は気象予報士になりたいなと、なんとなく考えていました。最終的に大学で地震学を勉強しようと思ったきっかけは、中学生の時(1995年1月17日)に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)です。私の地元は震源から遠いため、震度1あるかないかくらいの揺れでしたが、地震による被害のニュースをTVで見ていました。そこで、多くの建物が壊れている状況や、どんどん増え続ける死者・行方不明者の数に、大きなショックを受けました。高校3年生になって、将来なりたい仕事を考えたときに、気象予報士はイメージがしやすかったのですが、大地震による被害を少しでも減らすためには、何をしていいかわからなかったので、まずは地震の勉強をすることにしました。

3.メッセージ

青葉山キャンパスは自然が豊かなので、天気の良い日は周囲の景色や空を眺めているだけで楽しいですし、いい気分転換になります。私は結果的に、大学入学の志望動機と現在の研究テーマとが近いものになりましたが、将来の仕事につながってもつながらなくてもいいので、日々の生活の中で、何か気になること、興味を持ったことがあれば、少し時間をかけて深く調べたり、考えたりしてみてはいかがでしょう。自然現象の中には、まだ解明されていないことがたくさんありますから。