地球内部で生成されたマグマが，如何にして火山噴火を引き起こすのかを調べています。現在は以下の３課題を中心に研究しています。一つ目はマグマの物理化学的性質の研究です。火山噴火はマグマが地表へ噴出する自然現象ですので，それを理解しようと思うならばマグマ自体を詳しく理解する必要があります。二つ目は，火山噴火の推移の研究です。一旦開始した火山噴火が，どのような推移をたどり終息へ向かうのか，それを支配する要因を明らかにしたいと考えています。最後の課題は，火山噴火の地表環境への影響を調べる研究です。特に成層圏に到達するような巨大な噴煙が形成される爆発的噴火が，地表環境へどのような影響を与えているのか調べています。これらの研究を進めるために，火山噴火で噴出した岩石を調べ，高温高圧実験，さらにはコンピューターを用いた研究などを行っています。

子供の頃からクイズや詰将棋など，問題を解決できると非常にうれしく感じていました。今も，面白いと思う問題があればそれを研究したいと考えています。 火山噴火は地学現象の中では，比較的短い時間スケールの現象であり，人間の平均的寿命の間に何度かの火山噴火を体験することが可能です。観察した事実と自分の理解を照らし合わせ正誤を明らかにすることができそうな点に大きな興味がわきます。大学・大学院の先輩方と一緒に研究を進める中でその面白さを知りました。その時，偶然，その先輩方と出会ったことが，火山の研究を長く続けることになったきっかけです。

近年，自然災害や資源問題など地球に関係する多くの問題が顕在化し，地球科学の研究に対する社会的要請が高まってきています。このような状況においても，問題の本質を明らかにする基礎研究の重要性は揺るぎません。一方で，次々に発生する新たな問題に対応していくには様々な知識・能力を身につけた人材が必要不可欠です。地球の将来を生きる若い皆さんには，既存の学問を深く理解すると同時に広く様々な能力（全体を俯瞰し将来を見通す能力など）を伸ばすための勉強も大事になってくるでしょう。