J-PARC見学

J-PARC見学

[ Event ] 2010/03/23

tamura2.jpg田村先生と三輪先生:たのしそう
 2月20日、物理学専攻の田村裕和先生に同行させていただき、茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設(J-PARC)を見学してきました。J-PARCとは、世界最高の大強度陽子ビームを生成する加速器と、その大強度陽子ビームを利用する実験施設で構成される最先端科学の研究施設です。リニアック、3GeVシンクロトロン、50GeVシンクロトロンの3つの加速器からなり、これらの加速器で生成した陽子ビームは、物質・生命科学実験施設、原子核素粒子(ハドロン実験施設)、ニュートリノ実験施設、核変換実験施設に供給されます。
 田村先生は、ハドロン実験施設K1.8ラインで、高強度K ビームを用いてハイパー核γ線分光実験を中心とするさまざまなハイパー核の実験やΞ原子のX 線分光実験を行う予定です。

*田村先生の研究はAoba Scientia No.14特集ページに紹介しています。

sato.JPG佐藤美沙子さん
 計測室にいた3人の院生にインタビュー

米本慶央(M1)さん

SKSの大型ドリフトチェンバーの性能評価をしています。立ち上げからいるので、ビームタイムまでに検出器をreadyすることができてうれしい。検出器がうまく作動しなくなり、ふとしたきっかけでまたうまく動くようになった時など楽しい。自分がやりたい実験の検出器は自分で製作したい。

佐藤美沙子(M2)さん

π中間子を検出するエアロジェルチェレンコフカウンターを製作しました。“Hyperball-J”と組み合わせること、99.99%の検出効率を求められたことの2つの制約が厳しかった。装置が完成しデータがとれたのは修論まで1ヶ月ぐらいしかない時で、田村先生は多忙な中、紙が真っ赤になるほど修論を直してくださいました。先生には少しゆっくりして欲しいです。

白鳥昴太郎(D3)さん

検出器をデザイン段階から製作しています。J-PARCという初めての施設で、始めて粒子を生成することが楽しい。田村先生の研究室を選んだのは、研究室がおもしろそうだったことと難しいので挑戦しがいがあると思ったから。

01.jpg仙台は雪38.jpg東海村は青空:リニアック棟03.jpg中央制御棟37.jpgコントロール室

06.jpgどのくらいビームロスがあるのかがわかる

07.jpgコントロール室でビームの状況を見る田村先生と実験メンバー

08.jpg加速器の運転責任者吉岡さんは実験側とビーム制御側と一緒につくりあげていくものと語る

09.jpg物質・生命科学実験施設

10.jpg中性子源のオブジェ?

11.jpgハドロン実験施設入口の入域受付窓口

12.jpgハドロン実験施設を作った田中万博先生が案内をしてくださいました

13.jpg放射線測定器をつけて入る久利先生

14.jpgコンクリート遮蔽ブロックに覆われているビームライン

16.jpgハドロン実験施設は奥行き56メートル

15.jpgテラスから半地下構造の実験施設を見る
17.jpg実験装置として再利用するため移設された1955年製の東大核研のシンクロトロン磁石と高橋先生18.jpg磁石の電源はKEKから移設19.jpgK1.8BRライン20.jpg田村先生の実験が行われるK1.8ライン21.jpgドリフトチェンバーという検出器に流すガスの流量を制御するパネル
22.jpgガスに特殊なアルコールを混ぜる装置。市販の冷蔵庫を改造した手作り36.jpgSKS内部を極低温に冷やすためのGM-JT 冷凍機による冷凍システム24.jpg標的前に置かれたドリフトチェンバーとチェレンコフ光検出器25.jpg標的の陽子(液体水素)にビームをあてる26.jpgクリーム色の装置がSKS(東北大の橋本治先生が昔建設した超伝導電磁石)
27.jpg緑色の電磁石でビームエネルギーを分析28.jpgビーム照射中に測定器に異常が発生、院生が現場に入って原因を調べる29.jpg田村先生のグループ30.jpgデータに異変がないか監視31.jpg計測室
32.jpgデータの解析方法について議論する4年生(この日は学部生も実験に参加)34.jpgびっしり書かれたホワイトボードの前で実験手順を確認35.jpg実験を監視する画面。メモがたくさん貼ってありました

毎年6月頃、物理学科では、理学部物理系1、2年生を対象にしたKEK/J-PARC見学会を企画しています。加速器を使った最先端の研究について学ぶことができます。