自分が選んだ道を信じてみてください

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

阿蘇 愛理

1.現在、どんな研究をしていますか?

低次元位相幾何学の一分野である結び目理論について研究しています。結び目とは1本の切れ目のないヒモからできる図形で、結び目に対する研究は数学のみならず、DNAやタンパク質の構造における研究や統計力学における相転移現象の研究など、幅広い分野へ応用されています。
結び目理論の研究における重要なテーマとして、結び目の分類問題が挙げられます。あやとりの要領での変形(ライデマイスター移動)で移り合う2つの結び目は同値であるといいます。結び目理論の研究では同値な結び目に対して変わらない量(結び目不変量)を用いることが多く、様々な不変量が研究されています。特にアレクサンダー多項式やジョーンズ多項式という、結び目に対して多項式を対応させる不変量がよく知られており、私自身もアレクサンダー多項式を一般化した多項式不変量を用いた研究を行っています。

2.興味を持ったきっかけは?

高校生の頃は数学よりも物理に興味を持っていたのですが、進学した大学のカリキュラムの関係と、大学生の頃に偶然見たテレビ番組で紹介されていた位相幾何学に惹かれたことから、数学の一分野である位相幾何学の中でも目で見ることができる3次元の空間内にある図形を対象にして勉強したいと考えるようになりました。しかし、大学生の頃には結び目自体には特別に興味を持っていたわけではなく、大学院進学後に先生から勧められて「Introduction to knot theory」という教科書を読んだことで、少しずつ結び目に興味を持つようになりました。今では図形としての結び目の美しさが好きです。

3.メッセージ

私は数学がやりたくて大学へ進学したわけではなかったので、進路に迷い、将来への希望が持てない時期もありましたが、その時々でやりたいと思えることを頑張っていたら、いつの間にか数学を好きになり、実際に今では仕事にしています。皆さんも将来や進路について不安を感じたり、自分の選択が正しいのか悩むことがあるかもしれませんが、本当の結果が出るのはずっと後のことなので、まずは自分が選んだ道を信じてみてください。そして数学を学びたいと思ったら、東北大学の数学科は間違いなく良い環境です。少しでも興味があったら一緒に学んでみませんか?