地球の表層すなわち地表面と大気のエネルギー収支の実態解明、およびその変動要因に関する研究です。地球は太陽から短波放射(光)を受け取り、長波放射(赤外放射)を宇宙空間へ射出することによってエネルギー収支のバランスをとっています。一年を通して地球全体で平均すればバランスが取れていますが、季節や場所によって受け取るエネルギーは異なります。その結果、風が吹き、海流が生じます。また、地球表層には水があり、程よい温度のために、その形は水蒸気(気体)、水(液体)、氷(固体)の3種類の形態になります。水蒸気は凝結して雲を作り、雨や雪を降らせます。雲の凝結過程においてはエアロゾル(大気中の浮遊微粒子)が凝結核として重要な役割を果たします。雲は短波放射を反射・透過・吸収するとともに長波放射を吸収・射出するので、地表面(地面と海面)のエネルギー収支に大きな影響を及ぼします。水蒸気も短波放射・長波放射に影響を及ぼします。地表面における蒸発や降水(雨と雪)は潜熱の吸収・放出を伴うので、これも大気・地表面系のエネルギー収支に影響します。このような背景の下、現在、衛星観測データの解析や地上、船舶からの多様な観測によって、水蒸気、雲、降水、エアロゾルが大気・地表面系のエネルギー収支に及ぼす影響、また、北太平洋における雲と海洋の相互作用に関する研究を進めています。