自分の人生を楽しいものにする「何か」を見つけられますように。

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

加治 拓哉

1.現在、どんな研究をしていますか?

有機合成化学の手法を用い、植物ホルモンの1つであるジャスモン酸に着目したケミカルバイオロジー研究に取り組んでいます。ジャスモン酸類は植物の防御応答に深い関わりがあり、生長抑制、虫害防御応答、病原菌感染防御応答、気孔再開口活性、二次代謝誘導など多様な活性を示しますが、例えば生長と防御応答にはトレードオフの関係があることが知られます。外部からの攻撃(例えば昆虫による摂食、病原菌の感染など)に対する防御応答など、特定の生物活性を選択的に誘導できれば面白いですが、そのように生命現象を人為的に制御できるような分子を化学者の視点で設計・合成し、生物における機能評価までを一貫して行うような、化学による生命現象の解明を目指しています。

2.興味を持ったきっかけは?

出身学部である薬学部で生命現象をコントロールする「薬」に関わる諸科学に触れ、とりわけ有機化学や天然物化学といった生物活性分子を基盤とした科学の奥深さに魅せられました。生命現象も分子の相互作用の結果であり、生物活性分子はその相互作用の中で上手く機能することで生命現象に影響を与えることが出来る、という事実は驚くべきことだと思います。所属研究室で研究対象として用いている植物は、動くことが出来ない代わりに植物ホルモンなど生物活性分子による化学コミュニケーションを発達させています。所属研究室での植物生物活性天然物のケミカルバイオロジー研究を通した化学による生物制御、生命現象の化学的解明を目指す方針に私は強く惹かれました。

3.メッセージ

仙台に来て半年以上経ちましたが、自然も豊富でお酒も美味しく、満員電車と無縁の生活のしやすさは魅力的です。大学での学びには、自分は何を面白いと思うか、またどうすればより楽しい方向にもっていけるかを考え、実践することが大切です。幸いなことに私自身は恩師や周りの環境などに恵まれ、素直に自分の興味関心を伸ばすことが出来ました。あなたにとって、東北大学がそのような自律した学びの場として役立つことを願っています。その中でも理学部の研究を中心とした生活は刺激に満ちていて、中々楽しいですよ。自分の人生を楽しいものにする「何か」を見つけられますように。