自然は懐が深いですので、意思をもって突き進めば、きっと面白いことが見つかると信じています。

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

小谷先生

1.現在、どんな研究をしていますか?

私の専門は「幾何学」なかでも「離散幾何解析学」です。20世紀数学の一つの成果は、曲がった(連続)空間の上で解析学ができるようになったことです。この研究分野を「幾何解析学」といいます。興味の対象を連続な空間ではなく、離散空間に移すと「離散幾何解析学」になります。4~5年前から離散幾何解析学を物質・材料科学に応用することに興味を持ち、物質科学、材料科学の方たちと連携研究を開始しました。

2.興味をもったきっかけは?

離散幾何解析学では、「離散」と「連続」の関係を扱います。2000年頃からの研究は純粋に数学の問題でしたが、敢えていえば、物質の原子・分子のようなミクロ構造と、熱伝導度、電気伝導度などのマクロな性質の関係を調べることに対応しています。もっとも、数学は理想状態を扱うので、物理からみれば、我々の扱う数学のモデルはあくまでオモチャ・モデルです。現実世界と縁遠いと思っていました。しかし、最近の物質科学や材料科学では、原子・分子などのミクロ構造を自由自在に制御するようになり、数学の世界に近づいてきています。また、数学も段々複雑な現象を扱えるようになりました。そんなことに気がついて、物質や材料の研究から受けた刺激を数学にしようと、妄想の世界で遊んでいます。

3.メッセージ

2006年頃から、数学を使いたい他分野の研究者と、他分野の研究者と話をしたい数学者の出会いの場である「東北大学応用数学連携フォーラム」に関わっています。情報科学研究科の尾畑伸明教授がリーダーです。この活動を通じて、物理や材料科学のかたと知り合うことができ、連携研究を開始しました。現在は、理学研究科数学の教授であるとともに、原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)の主任研究員でもあります。(私にとっては)数学ほど面白い学問はない、という気持ちは変わりませんが、専門外の方の話を聞くと、想像力がかきたてられます。せっかくの機会ですので、人とは違う研究に挑戦してみたいと思っています。自然は懐が深いですので、意思をもって突き進めば、きっと面白いことが見つかると信じています。このような混沌から何かを形にすることに興味を持たれる方、是非、応用数学連携フォーラムや、WPI-AIMRに遊びに来てください。

*参考リンク*
東北大学応用数学連携フォーラム
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)