現在、主に次の二つのテーマに興味を持って、すばる望遠鏡やアルマ望遠鏡などを用いて研究を進めています。
(1)原始銀河団の形成と進化:
銀河は宇宙においてしばしば集団として存在し、銀河団と呼ばれます。これが宇宙史の中で、いつどのようにして形作られたのでしょうか?そしてその中で銀河は、周辺環境の変化に伴い翻弄されながらどのように進化を遂げたのでしょうか?我々は地球からできるだけ遠く離れた(つまり昔の)銀河団の祖先(原始銀河団)を探し、詳しく観測することによって、その形成史を紐解きます。現在の宇宙では不活発な楕円銀河が銀河団に多いことが知られますが、その棲み分けの起源も明らかにします。
(2)宇宙初期の大質量銀河の形成:
宇宙初期には先に小さい銀河が多数作られ、それらが合体しながら大きな銀河へと成長してきたと考えられています。したがってまだあまり時間が経っていない初期宇宙に大きな銀河を発見すれば、銀河形成論に強い制限を与えることができます。宇宙の最初期から加速的に作り始める必要があるからです。我々は独自に設計・開発した近赤外線の特殊フィルターによって初期の宇宙を探査し、最も遠方の大質量銀河を見つけようとしています。それは原始銀河団に見つかる可能性も高く、そのような環境での銀河形成の加速メカニズムも明らかにします。