元素の多様性に彩られた「化学」の美しさに魅せられました。

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

中村 達

1.現在、どんな研究をしていますか?

新しい有機化学反応、すなわち分子の化学結合を切断し、新たな結合を形成する未知なる過程を探求しています。その結合活性化のツールとして銅や金といった「遷移金属」を「触媒」として用い、さらに反応後に副生成物を排出しない「転位反応」をキーワードに、これまで合成できなかった新しい分子の構築を目指しています。自分たちで開発した独創的な反応が、いつか人類福祉に貢献する分子の合成法に繋がったら嬉しいですね。

2.興味をもったきっかけは?

ことわざの本にあった「虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」という言葉に強いインパクトを受け、どういう生き方をするかを自分に問いかけていました。その中で科学的に真理を追求する「理学」を自分の立脚点とすることに強い安心感を覚え、中でも元素の多様性に彩られた「化学」の美しさに魅せられました。大学4年で研究室配属になって、実際に有機化合物やさまざまな金属触媒を扱い、自由に分子をデザインして、試行錯誤を繰り返し、まだ誰も知らない反応を見つけ出す、という本物の研究に触れ「これだ!」と確信しました。新しい反応を見出した瞬間は、私にとってワールドカップでゴールを決めたような悦びです。分子の普遍的な反応性の追求は子供の頃の問いへの答えであり、「大学人」という生き方に誇りを持っています。

3.メッセージ

実験、面白いですよ。分子デザインにより新しい反応性や機能がまだまだたくさん発見できると確信しています。仙台という落ち着いた街の雰囲気も理学にぴったりだと思います。そして何よりも、理学を通して身近なところから世界中まで、世代を超えた仲間が出来ますよ。素敵な人生だと思いませんか?