情熱を持って貫いた先には素晴らしい景色が待っている

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

野田 博文先生
天文学専攻
准教授

1.
現在、どんな研究をしていますか?

宇宙から飛来するエネルギーの高い電磁波「X線」を観測することで、ブラックホールをはじめとする高エネルギー天体の観測的研究を行なっています。天体由来のX線は地球の大気に吸収されて地上に届かないため、人工衛星にX線観測装置を搭載し、宇宙から観測します。この観測装置の開発も手がけています。JAXAがNASAやESAと協力して進めるX線分光撮像衛星「XRISM」(クリズム)プロジェクトでは、搭載されたX線観測装置の開発を主導し、2023年9月に打ち上げ成功を果たしました。現在は、主にこの「XRISM」の観測データを用いて、銀河の中心に潜む太陽の1億倍もの質量を持つ超巨大ブラックホールの近傍領域の研究を進めています。また並行して、次世代の天文衛星に搭載することを目指したX線検出器の基礎開発も進めています。

2.
興味を持ったきっかけは?

東北大学天文学教室で学部時代を過ごし、宇宙には地上で人類が実現できない極限状態の天体が多様に存在することを学びました。その中でも、銀河の中心に一つずつ存在する超巨大ブラックホールという謎の存在に魅了され、自分自身で作り出した装置を使って観測することでその謎を解き明かしたいと思い、この分野に飛び込みました。学生時代は学友会剣道部に所属し、仲間と切磋琢磨してチームで上を目指してきましたが、多くの研究者やメーカーの方々と力を合わせて一つの科学衛星を作り上げる現在の研究も、チームワークで目標を達成するという点で、剣道部時代に培った姿勢が活きているように感じています。

3.
メッセージ

本当に好きなこと、大切なことなら、たとえ困難が待ち構えていても最後まで貫く姿勢が大事だと思います。今、順調に稼働し多彩な天体の観測に成功しているX線分光撮像衛星「XRISM」ですが、実は2016年に打ち上げ後まもなく事故で運用停止となったX線天文衛星「ひとみ」のリカバリーミッションとして始まりました。私は、大学院時代から研究員時代までの約7年間にわたり、「ひとみ」搭載装置の開発に全力を注いできたため、当時の事故は「研究者としての道が途絶えるかもしれない」と感じるほどの大きな出来事でした。しかし、諦めることなく、多くの仲間とともに後継機XRISMの開発に全力で挑み続けた結果、今、XRISMがもたらす誰も知らなかった宇宙の姿に感動することができています。壁にぶつかったとしても、情熱を持って貫いた先には素晴らしい景色が待っていると思います。

名前:
野田 博文(のだ ひろふみ)
所属:
天文学専攻 准教授
研究室:
天文学専攻 野田研究室
出身地:
長崎県
最近読んでいる本:
剣道日本
研究分野:
高エネルギー観測天文学(宇宙X線観測、衛星搭載装置開発)
掲載日:
2026.9.30
JAEN