いつもと同じ、でも少しだけ違うことに気づいたとき、不思議な期待を感じることがあります。小さな変化が新しい世界の始まりを知らせているように思えるからです。

どんなに小さな変化でも、数はその変化を正しく表します。世界の変化は数の変化により表現され、そして、方程式を導きます。

例えば、坂道を自転車で下るとき、同じ傾斜であれば、同じ力を感じて、同じように加速をするでしょう。この変化を数で表現することで、質量と運動と力の間の関係が正確に分かります。この力学の関係式は天上の世界においても成り立ち、夜空に輝く星々の動きやハレー彗星が76年ごとに現れることも説明します。

力学の法則の発見の後、約300年の歳月をかけて、精密な測定と解析が続けられ、その結果、全ての存在を小さな点と揺らぎから再構成する量子力学が確立しました。

物質の本質は"波"であり"粒子"でもあるという互いに相容れない2重性の存在を明らかにした量子力学は、捉え難い現実の世界を数の世界の中で忠実に再現します。

小さな変化から生じた、知の世界の創造は今も続いています。