ワクワクする研究をしてみたい!

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

角南 沙己

1.現在、どんな研究をしていますか?

生命起源の謎に、地球化学・有機化学的アプローチを駆使して挑む研究をしています。最初の生命は、約35-40億年前には地球上に存在していたと地質学的証拠により考えられています。しかし生命体が誕生する前の初期地球に、生命の材料がどのように供給・生成されたのかについては謎に包まれたままです。この謎を解く鍵の一つが、隕石です。これまで炭素質隕石からは、生体関連分子のアミノ酸や核酸塩基、糖など多種多様な有機物が検出されており、生命の材料を地球に届けた可能性が強く示唆されています。私は様々な種類の隕石中に含まれる糖、特にRNAの材料の一つであるリボースなどを定量的に分析して、隕石母天体の小惑星内部での有機物生成過程の理解を深めたいと考えています。また、小惑星内部で起こりうる可能性の高い有機物生成模擬実験も行い、天然試料である隕石と実験生成物の両者から有機物反応プロセスを解明しようと研究しています。

2.興味を持ったきっかけは?

3歳の時から恐竜が好きで、その頃から漠然と地球規模の謎に迫りたいという思いがありました。何故自分がいま生きているこの星に、これほど不思議な生き物が生きていたのか。そのロマンは、24歳の今でも変わることなく感じています。さらに高校生の時に「生命はなぜ生まれたのか」(高井研)という本と偶然出会い、徐々に恐竜が生まれるずっと前の、初期生命が誕生した世界に興味を抱くようになりました。その後東北大学の研究者が、世界で初めて隕石から生命に必要な糖を検出したことを新聞記事で知り、是非このような生命起源の謎に迫る、面白い研究をしてみたい!と思い東北大学理学部の地球科学系に進学しました。入学後すぐにその研究者である古川准教授に話を伺いにいき、改めて古川研究室に所属することを決めました。「好き」と思えることに出会えるきっかけを作ってくれた家族、知識を得る楽しさを共有してくれた仲間、研究の面白さを教えてくださった先生方には感謝でいっぱいです。

3.メッセージ

地学は、物理、化学、生物学などの様々な理学を融合した面白い学問です。研究対象も地質、火山、古生物、宇宙、海洋と多岐に渡り、未解明の自然現象を理解することが大きな目的です。高校生の中には地学にあまり馴染みがない人もいるかも知れませんが、こうした広報活動や自分自身の研究成果を通して、少しでも興味を持ってもらえたらと思います。地学専攻に関わらず、東北大学理学部は自分を成長させてくれる教員や仲間、先輩方に多く出会える環境です。知ることの面白さを共有できる人が周囲にいるこの環境は、大学生活においてとても重要だと感じています。皆さんも是非好奇心や探究心を大事にして、将来充実した大学生活を送れることを願っています。