新しいことに挑戦できる、やりがいのある研究だと思います

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

滝澤 護

1.現在、どんな研究をしていますか?

タイ国で採取された古生代ペルム系(約2億7000万年前)の腕足動物化石の化学組成を詳細に分析することで、当時の環境を復元する研究を行っています。

2.興味をもったきっかけは?

腕足動物殻の化学組成は、過去の海洋環境(水温や塩分、生物生産など)を復元するために、多くの研究で用いられてきました。しかし、すべての腕足動物が常に海洋環境を正しく記録しているとは限らないので、どの種類の腕足動物殻の、どの部分を使えば古環境を正しく復元できるのかを考えなくてはなりません。私は、今まで研究された事例の少ない、腕足動物殻化石の化学組成の殻内・種内変化を考慮した古海洋環境の復元を行っています。腕足動物の生態や成長速度の変化なども考えねばならず、解決しなければならない課題もたくさんありますが、新しいことに挑戦できる、やりがいのある研究だと思います。

3.メッセージ

私は、大学では研究だけでなく東北大学総合学術博物館の支援団体である「みちのく博物楽団」という団体に所属し、地球科学を始めとした自然科学の面白さや大切さを、博物館の展示やワークショップ講座を通して子どもや地域の方々に伝える活動を行っています。一般の方々にとっては「地球科学」はなじみにくい分野かもしれません。しかし、私たちが今、立っている大地の成り立ち、現代社会を支える石油や石炭、金や鉄などの天然資源、そして災害を引き起こす地震や異常気象は、私たちの生活と深い関係があり、これらを理解するためには、地球科学の知識が不可欠です。地球科学だけでなく大学で研究されている全ての学問はどこかで私たちの生活につながっています。しかし、大学で行われている研究は一般の方には親しみにくいのも事実です。博物館はそういった専門的な難しいことを分かりやすく伝える場でもあります。そんな博物館の魅力をたくさんの人に伝えられるように日々の研究の合間に活動しています。みなさんもぜひ、お近くの博物館へ遊びに行ってください。きっとたくさんの新しい発見があると思います。

*参考リンク*
みちのく博物楽団