誰も知らなかった世界初の知見を自分が最初に知ることができる

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

富田 史章

1.現在、どんな研究をしていますか?

海底での地面の動きを観測することで、2011年東北地方太平洋沖地震をはじめとした海域での巨大地震の発生プロセスについて研究をしています。巨大地震の発生に伴って、地面が大きく変形することが知られていますが、巨大地震発生後にも「余効変動」と呼ばれる特徴的な地面の変形が生じます。余効変動を詳細に解析することで、プレート境界断層や地下の構造についての知見が得られるため、余効変動を捉えることは今後の地震発生予測を発展させる上で非常に重要になってきます。一方で、海域で発生する地震に伴う地面の動きを捉えるには、震源に近い場所、すなわち海底に機器を設置し、データを取ることが重要です。そのため、私の所属する研究グループでは海底での測地観測を行っており、特に私は東北沖地震後の余効変動を精密に捉えるべく日々活動を行っています。

2.興味をもったきっかけは?

小さい頃から周囲で起こる自然災害に関するニュース等を見て、どうして自然災害は起こるのか、自然災害予知するにはどうしたら良いのか、という関心を漠然と抱いていました。このような漠然とした関心ではありましたが、大学選びの際に、自然現象のメカニズムを研究する地球物理学という学問の存在を知り、東北大学で学んでみることを決意しました。実際に研究に取り組んでみると、船で海に出て観測活動を行うことや研究を通じて新たな発見をすることの楽しさ、自分の行う研究の社会的な意義を感じられ、非常に有意義な研究生活を送ることができています。漠然とした関心から進んだ道でしたが、選んで良かったと考えています。

3.メッセージ

私の所属する研究室では、海域での重要なデータを得るために、海底に機器を設置し、観測をしています。私のように「観測」に主眼をおいて行う研究では、自分で集めたオリジナルのデータを扱っているため、他の人は絶対に知り得ない情報を元に研究を行うことができます。そのため、誰も知らなかった世界初の知見を自分が最初に知ることができる、という面白さがあります。そんな世界初の知見から、背景にある物理メカニズムをさらに考察する…そういった点に私は研究の魅力を感じています。もちろん、海底での観測は困難なことも多いですが、それを補って余りある魅力が海底観測にはあると私は考えます。是非、皆さんにも「観測」の面白さとその先の「研究」の楽しさを味わってほしいです。