とことん“自分らしく”生きること

青葉山の面々 - Message from Aobayama.

高岸 直生

1.現在、どんな研究をしていますか?

モチーフ理論を研究しています。芸術において、モチーフという語は「芸術作品を生み出す素材」と「完成された芸術作品」の中間にある、やや捉えどころのないものを指すようです。一つのモチーフが絵画・音楽・文学など多くの芸術作品として実現されることもあります。数学でも、一つの素材から豊かな理論が代数・解析・幾何など多くの形で実現されることがあります。この現象の源を直接に捕まえたい、というのが数学におけるモチーフ理論です。

2.興味をもったきっかけは?

共同研究です。以前はやや異なる題材を研究していましたが、そこで生じたモチーフ理論の問題について Bruno Kahn さんに質問に行ったことがきっかけで、10年に渡る長い共同研究が始まりました。その間に書いた論文が次の問題が生まれ、今度は別の人たちとの共同研究が始まる、というようにして研究が続いていきました。私の研究は幸運な出会いによって続いてきたのだと、つくづく思います。

3.メッセージ

数学は人それぞれの方法で付き合うことができます。抽象的なものを好み論理で迫る人もいれば、具体例の計算を通じて新発見に到達する人もいます。一人でもくもくやるのもあるし、人と議論しながら共同研究することもできます。そこに存在するはずの未開の数学的領域を探検すると考える人も、自分の頭で無から数学的世界を作り出すと考える人もいます。試行錯誤を繰り返し、自分の数学を見つけてください。