東北大学 大学院 理学研究科・理学部|アウトリーチ支援室

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2013年10月15日レポート

日本天文学会公開講演会「宇宙は伊達じゃない!?-仙台からたどる宇宙の誕生から惑星形成-」

9月14日(土)、片平キャンパスさくらホールにて日本天文学会公開講演会「宇宙は伊達じゃない!?-仙台からたどる宇宙の誕生から惑星形成-」が開催されました。日本天文学会2013年度秋季年会は会場が東北大学ということもあり、スピーカーは仙台にゆかりのある3人の先生でした。
この日は、イプシロンロケットの打ち上げ再チャレンジの日で、打ち上げ成功のアナウンスが入ると自然に拍手がわき起こりました。
土佐先生は、中学生の頃から仙台市天文台に出入りをして、現在は仙台市天文台長というまさに仙台市天文台の生き字引の先生。仙台市天文台創設から移転のお話。
二間瀬敏史先生は、今、宇宙論で一番話題になっている暗黒物質と暗黒エネルギーのお話。また、先生の研究グループが2013年1月から試験観測を始めた広視野のデジタルカメラをつかっての銀河探査観測についてを紹介して下さいました。
小久保先生は、スーパーコンピューターを道具として、宇宙の物理法則をプログラムして何が起きるかを計算によって明らかにしています。原子太陽系円盤から地球ができるまでのシミュレーションでダストがどうやって地球まで成長するのかを見せて下さいました。



こちらで、講演会の動画を見ることができます。

2013年10月11日写真日記

卒業生訪問 その1 高田昌広特任教授(東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構)

東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構の高田昌弘先生は天文学専攻の二間瀬敏史先生の研究室出身です。現在、お二人が所属する国際研究チームが進めているすばる望遠鏡の新しい超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam(HSC、ハイパー・シュプリーム・カム)を用いての人類史上最大の銀河探査観測についてお話をうかがいました。

 

DSC_5396.JPG
Kavli IPMU にて


約 80 年前に天文学の研究から暗黒物質の存在の証拠が指摘されて以来、その存在を疑う天文学者は今ではほとんどいないと考えられます。しかしながら、天文学者は宇宙の暗黒物質を直接見ることはできません。また、素粒子物理学者も暗黒物質の候補である未知の素粒子を地上実験で未だ発見できていません。宇宙の物質の約 85 % が暗黒物質であるという強い証拠があるにも関わらず、「暗黒物質とは何か?」という問題は、天文学者および素粒子物理学者が直面している未解決の大問題の一つです。
すばる望遠鏡に新たに搭載されたHSCは、満月9個分の広さの天域を一度に撮影できる世界最高性能の超広視野カメラです。独自に開発した116個のCCD素子を配置し、計8億7000万画素を持つまさに巨大なデジタルカメラです。
我々は、このHSC宇宙探査の準備研究として、現在のすばる望遠鏡のカメラであるシュプーリムカム(Suprime-Cam)で撮影した50個の銀河団の観測データを用いて、宇宙を満たす、光を発しない謎の暗黒物質の密度分布を宇宙空間のひずみ「重力レンズ」効果を通して求め、暗黒物質の分布が "冷たい暗黒物質" (Cold Dark Matter, CDM) モデルの予言する特徴と一致する新たな証拠を発見しました。


本研究成果は、5月17日、米国の天文学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レター』(2013年6月1日号)に掲載され(Okabe et al. 2013, "LoCuSS: The Mass Density Profile of Massive Galaxy Clusters at z=0.2", The Astrophysical Journal Letters, 769, 35)、2013年3月7日、日本天文学会欧文報告論文賞を受賞。
【研究チーム】

岡部信広 (東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構)、Graham Smith (イギリス・バーミンガム大学)、梅津敬一 (台湾中央研究院)、高田昌広 (東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構)、二間瀬敏史 (東北大学大学院理学研究科)。
※Graham Smith氏以外は二間瀬先生の研究室出身です。

2013年10月 1日レポート

平成25年9月修了・卒業者の学位記交付式が開催されました

9月25日(水)、北青葉山厚生会館2階レストランAOSISにて学位記交付式が開催されました。出席者は22名。9月の学位記交付式は、交付式とパーティが合わさった形式になっており、家族や指導教官、友人等とお祝いできます。マスターを修了するSeptiさんの指導教官として出席された地球物理学専攻の坂野井先生は「Septiさんがうちの研究室に来てくれて良かった」と語る。英語でセミナー発表等をするので、来る前と後では研究室の雰囲気が変わったそうです。修了・卒業されたみなさん、おめでとうございました。

 



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2013年10月 1日レポート

物理学専攻キャリアパスシンポジウム~博士の未来~

 7月27日(土)、理学研究科合同A棟203号室にて「物理学専攻キャリアパスシンポジウム~博士の未来~」が開催されました。
 この企画は、人材を受け入れる側の企業の方々と、物理学専攻で博士号を取得し、様々な方面で活躍されている方々にその経験を語っていただくことで、学生たちに物理学科・専攻を修了後の未来について考えてもらおうと、毎年物理学専攻が開催・運営しているシンポジウムです。今年は42名の参加がありました。

IMG_2472.JPG「企業の研究開発体制について」
山田 勉
氏(日立製作所
 企業で働くことの醍醐味は多様な人々との関わり。日本で採用した研究者を育成の課程の一環として海外の研究所へ派遣することも。外国企業の経営者に対抗するためには専門性はもちろんですが、文学や芸術といった幅広い分野についても勉強してきてほしい。


IMG_2501.JPG「今後のことは走りながら考えよう」
木下 忠

東北大学知的財産部 2006D原子核実験)
 研究を離れて7年が経ちました。新卒で知財は少ないが、最近採用する企業も増えてきている。博士課程への進学はチャンス、今ここにいるからその選択肢が生まれている。先生や身近な人たちとディスカッションすることが必要なんじゃないか。


IMG_2529.JPG「情報と教育工学に分野を変えて」吉崎弘一
秋田大学総合情報処理センター 2002D原子核理論)
 東北大学工学部を卒業し、理学研究科に入学(原子核理論研究室)、その後、迷った末に博士課程へ。教育工学との出会いは、私大の教員時代に専門の先生が身近にいたことも影響。分野を変えると無駄になる、そう考えたこともありますが、ポジティブではないかなと。その時々の情熱や環境を大切にするのも良いのでは。


IMG_2549.JPG「アカデミックな研究者へのキャリアパス」
佐藤宇史

東北大学物理学専攻 2002D物性実験)
 修士から博士課程にかけて10回ほど学会等でアメリカへ。指導教員から海外での発表等の話がきたら断らないこと。失敗も多かったが経験になる。また、いま(大学院生)がいちばん研究が出来る時期なので大事に過ごしてほしい。


 また、シンポジウムの後半では、総合討論が行われました。総合討論にパネリストとして参加した物理学科の学生は学部で卒業することを決めていますが「(このシンポジウムを)もっと早く聴きたかった」と語っていました。学部生の早いうちに博士課程進学について考えることも大切なのかもしれません。参加者からは多くの質問が寄せられ、キャリアパスについて活発な議論が交われました。

<主な質問と回答>

【グローバルな人材とは】
 ・英語(外国語)が出来るということではない。国や言語をこえてディスカッションが出来ること、グループとして活動できること。
 ・異文化の中でいろいろな人と交わって対等にできること。
 ・国の垣根を感じさせない人(研究者)では?
【博士のすごいとこ、だめなとこ】
 ・すごいとこ:集中力、道を究めた人、プライドが高い(いい意味で)、根性がある
 ・だめなとこ:視野が狭い、変人?
 ・博士だって多種多様、博士課程に進学したからといって「博士」になれる訳じゃない。
【博士号を取得する方法】
 ・就職してから取得を考えている人もいるかもしれないが、企業にとっては仕事が第一。論文博士は取りにくくなってきているので、学生のうちに取りきったほうがいいのでは?
【インターシップについて】
 ・就職には直結させないというルールがある。ただ、マッチングという意味では直結させてもいいのでは?という意見も。
 ・ちゃんと勉強している人が参加したほうがいい。
【留学生の就職・採用について】
 ・ライバルは海外企業、そのため世界中から人材を集めようとする企業が増加。
 ・日本企業に就職を考える留学生には、日本語が出来ることを望まれている。研究職では日本語を不問とする場合もあるが、後々マネジメントになっていくことも考えるとやはり重要。

IMG_2568.JPG
▲パネルディスカッションの模様



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*参考リンク*
理学研究科物理学専攻ホームページ
物理学専攻キャリアパスシンポジウム~博士の未来~

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