東北大学 大学院 理学研究科・理学部

Graduate School of Science and faculty of Science , Tohoku University

トップ > お知らせ

お知らせ

【研究成果】地球の自転に同期して放射される電波の発見:地球は宇宙にむかってハミングする電波惑星

東北大学大学院理学研究科
惑星プラズマ・大気研究センター


私たちは、日本が打ち上げたジオテイル(Geotail)衛星の長期にわたるデータの詳細な解析から、連続した電波が地球の極地方から宇宙空間にむかって放射されていることを発見しました。しかも、その電波は地球の自転とともに旋律(周波数)が変化する特徴を持つことがわかりました。このことは、惑星である地球は電波灯台のように光り続ける電波星であると言うことが出来ます。本研究成果は、3月19日Journal of Geophysical Research誌電子速報版に報告され、近く正式online掲載及び印刷される運びになっています。

【研究成果の概要】

  極地方で発生するオーロラ爆発に伴って強い電波が突発的に宇宙にむかって発射されることはよく知られている現象です。これは、太陽面の爆発(フレア現象)と同様に急速に加速されたオーロラ電子が作り出す突発性の電波です。これに対して、今回私たちは日本の宇宙科学研究所が打ち上げたGeotail衛星(地球周辺の磁場や粒子、波動を観測する衛星)の観測する長期にわたる電波データの詳細な解析から、強度は弱いながら連続した電波が宇宙空間にむかって放射されていることを発見しました。波長がキロメータ級であることから連続性地球キロメータ電波と名付けました。この電波は、地球の一自転に同期して周波数が200 kHzから600 kHzまで、ある規則に従って変化します。これは、地球が丁度24時間周期で電波で宇宙にむかってハミングしていると言うことが出来ます。さらに、このハミング電波の周波数の変化の規則が、春分と秋分を挟んで全く反転するという大変不思議なことも明らかになりました。   地球が回転することによって何が電波の周波数を変化させるのか、とても不思議な現象です。これまでの観測結果をふまえて、この奇妙な電波発生とその周波数変化の原因を探る研究を続けていますが、現段階では、自転に伴って歳差運動をする地球の磁場と太陽から吹いてくる風(太陽風)との相互作用が生み出す効果が関与していることが強く示唆され、ある仮説を提案しました(詳細は省略)。今後この仮説を実証する研究が必要です。
  もしこの仮説が正しいとすると、地球で見つけられたこの現象は、磁場を持つ天体に共通すると考えられ、今後の惑星の磁場やプラズマ、電波放射の研究に役たつことが期待されます。


  なお、この研究は、本学の研究者(森岡昭名誉教授、栗田怜大学院生、笠羽康正教授、三澤浩昭准教授)の他、名古屋大学(三好由純准教授)、カリフォルニア大学ロサンジェルス校(V. アンジェロポウロス博士)、京都大学(小嶋浩嗣教授)、カリフォルニア大学バークレイ校(P. マクファデン博士)との共同研究で行われました。


【発表論文】

発表雑誌:Journal of Geophysical Research誌
        J. Geophys. Res. Space Physics, 118, doi:10.1029/2012JA018485
  発表論文名: Universal time control of AKR: Earth is a spin-modulated variable radio source.
  (日本語訳:オーロラキロメータ電波の世界時コントロール:地球は自転周期で変調する変光電波星)
  著者名:Morioka, A., Y. Miyoshi, S. Kurita, Y. Kasaba, V. Angelopoulos, H. Misawa, H. Kojima and J. P. McFadden (2013),


【解説図】

  ジオテイル衛星で観測された地球キロメータ電波の一日の変化。横軸は世界時(グリニッチ標準時)、縦軸は周波数。24時間(地球の一自転)のうちに周波数約200キロヘルツと600キロヘルツの間を規則的に波打って(正弦波状に)変化している。
また、冬(上図)と夏(下図)で、周波数変化の様子が反転している。


20130418111853.jpg

【問い合わせ先】

東北大学大学院理学研究科 惑星プラズマ・大気研究センター
      森岡 昭(客員研究者・名誉教授)
        E-mail: morioka@pparc.gp. tohoku.ac.jp
        TEL:022-234-4988

      小原 隆博(センター長・教授)
        E-mail:T.Obara@pparc.gp.tohoku.ac.jp
        TEL:022-795-3974
※メールアドレスの「@」を半角にしてください。

ニュース
ページの先頭へ