東北大学 大学院 理学研究科・理学部|アウトリーチ支援室

ホーム > お知らせ > レポート > 4月22日(土)仙台市天文台 アースデイ講演会 花輪 公雄 教授「海は泣いているー地球温暖化と海洋ー」
2017年4月24日レポート

4月22日(土)仙台市天文台 アースデイ講演会 花輪 公雄 教授「海は泣いているー地球温暖化と海洋ー」

20170422_10.jpg 20170422_20.jpg

 2017年4月22日(土)、仙台市天文台 加藤・小坂ホールにて、地球物理学専攻 教授 花輪 公雄 先生のアースデイ講演会が開催されました。仙台市天文台では、2010年から毎年、ユネスコが定めた地球環境について考える日「アースデイ」にちなんだ講演会を行っており、今年で7回目となります(2011年は震災のため休止)。花輪先生は初回より毎年欠かさずご講演されております。
 今回は「海は泣いているー地球温暖化と海洋ー」と題し、地球温暖化と海の関係、そして海洋のごみ問題についてご講演されました。
 最初に、海洋のごみ問題について、最近の報道(テレビやプレスリリース、新聞など)を用いてお話しされました。中でも国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の公開した「深海デブリデータベース」では衝撃的な光景が広がります。本来は研究目的の調査船や探査機等の撮影画像にたくさんの「デブリ(=ごみ)」が映っています。注目すべきは水深約10900m付近でもデブリ見つかっていることです。この水深約10900mとは世界の海洋の最深部に匹敵する深さとなります。
 次に、地球温暖化と海洋について、お話しされました。地球温暖化における海の役割は、大きく3つ挙げられます。(1)大きな海の熱容量:海水は熱を吸収し、地球温暖化を遅らせています。しかし、熱を吸収すると海洋は膨張し水位も上昇します。更に、高水温で生態系の破壊に繋がります。(2)温室効果気体の吸収:海は30%のCO2を吸収し、地球温暖化を遅らせています。しかし、それは海の酸性化をもたらし、海洋生態系の破壊に繋がります。(3)生物の存在:海は多様な生物の宝庫です。「生物ポンプ」により、炭素を深海に急激に落としています。しかし、海洋生態系の破壊が進行すると、生物ポンプが現在のように働かなくなり、CO2吸収量の減少をもたらします。
 では、温暖化について我々はどのように臨むべきなのか?花輪先生は、「温暖化問題は、極めてグローバルな問題である。」と前置きした上で、「このような状況を作り出したのが私たちであれば、解決するのも私たちであり解決できるのも私たちしかいないのだ。」と結ばれました。講演後は、質疑応答が行われ、中には鋭い意見もあり、地球温暖化への関心の高さが伺えました。


カテゴリー

最新の記事

アーカイヴ

ページの先頭へ