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2017年12月 1日レポート

【広報サポーターレポート】11月25日 (土) ぶらりがく『113番新元素「ニホニウム」発見物語』

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今回は11月25日(土)開催「ぶらりがく」の様子を福島和紀(理学部生物学科2年)がお伝えします!

 11月25日(土)、東北大学理学研究科合同C棟青葉サイエンスホールにて、電子光理学研究センター須田利美教授によるぶらりがく『113番新元素「ニホニウム」発見物語』が開催されました。当日は約50名の方々と113番元素のニホニウムについて理解を深めました。ニホニウムについてはニュースでも大きく取り上げられていたことは記憶に新しいですよね。日本の理化学研究所で合成された113番元素は2015年12月31日に命名権が与えられ、のちにこれはニホニウム(Nh)と名付けられました。実は、今回元素の命名権を獲得したのはアジアの国々で初めてのことでした。発見までの道のりは漫画にもなったそうです。この快挙に至るまでの物語を須田先生が楽しくお話してくれました。


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講演の様子

 まず初めに、元素とはどんなものなのかという説明がありました。参加者の多くの小学生に合わせ、元素の正体である原子について須田先生は分かりやすく教えてくれました。原子は原子核と電子からできています。さらに原子核は陽子と中性子からできています。この陽子の数が原子番号になっています。今回のぶらりがくの主役であるニホニウムは、原子番号が113番なので、陽子を113個持っています。新元素の合成にはこの陽子の数が重要なのです。
 次は、ニホニウムが合成されるに至るまでの経緯についてのお話でした。ニホニウムは亜鉛とビスマスという元素から人工的に合成されました。加速器という装置を使って亜鉛をビスマスに衝突させ、陽子を足しあわせるのだそうです。すなわち、亜鉛が持つ30個の陽子と、ビスマスが持つ83個の陽子が足されることで113個の陽子を持つニホニウムが合成されるのです。「加速器」という言葉は普段聞きなれない言葉ですが、須田先生の加速器をすべり台に例えながらの説明で、会場の皆さんも納得した様子でした。原子を衝突させるこのような実験が、昼も夜も、そして休みもなく10年以上も続けられたのだそうです。その間、合成が確認された113番元素は3個。これだけ長い期間をかけても、3個しかできないことには驚きでした。
 会場からは多くの質問があがりました。そのなかで、ある小学生から「なぜ、ニホニウムを亜鉛とビスマスの組み合わせで合成したのか?」という質問がありました。須田先生によると、他の組み合わせではなかなか難しく、亜鉛とビスマスの組み合わせが最適だったのだそう。この組み合わせを探すことにも、研究が重ねられていたのですね。
 最後に、須田先生から、ダークマターやニュートリノなど物理学にはいくつもの謎が残されているというお話があり、いつかこの謎を解いてほしいと会場の子ども達に熱いメッセージが送られました。参加してくれた子ども達の中から、物理学の謎に挑戦する人が現れるかもしれませんね。
 会場では参加者に元素周期表が配られ、そのなかには中国で使われている周期表がありました。元素それぞれに漢字が一字あてられおり、新元素が合成されれば、新しく漢字が作られるのだそうです。もちろんニホニウムもこの中にあります。


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中国語で書かれた元素周期表

 今回のぶらりがくでは、元素の奥の深さが感じられました。ニホニウムをきっかけに、日々の生活の中で身近な元素に注目してみてはいかがでしょうか。


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