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2018年3月19日レポート

3月6日(火)生物学科 山元 大輔 教授 最終講義

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 3月6日(火)、生命科学プロジェクト総合研究棟(片平キャンパス)講義室にて、生物学科 山元 大輔 教授の最終講義「"自分流・行動遺伝学"のこれまでとこれから」が行われました。
 山元先生は、平成17年に東北大学大学院生命科学研究科教授として着任され、キイロショウジョウバエを用いて、行動を組み立てる遺伝子や行動を生み出す脳の仕組みを研究してこられました。
 本講義では、現在の研究を始めたきっかけやこれまでの研究成果、今後の目標についてユーモアを交えながら熱く語ってくださいました。講義終了後には、山元先生の長年にわたる研究・教育に対するご尽力とご功績に感謝と敬意を込めて、聴衆から惜しみない拍手が送られました。

山元大輔先生よりメッセージをいただきました  

 この度は、最終講義の機会を与えていただき、ありがとうございました。
 私自身が最初に研究室を持ったのは(株)三菱化成生命科学研究所(東京町田)に於いてであり、その後、早稲田大学人間科学部(埼玉所沢)、早稲田大学理工学部(東京新宿)を経て、本学生命科学研究科に着任した。本学では当初、青葉山の理学部合同棟にラボを構えたが、震災の前年に新たにできた片平の生命科学総合研究棟に移転した。そして今回、定年を1年後にひかえてフライング退職し、神戸にある未来ICT研究所に異動することとなった。ラボとしては5回目の引っ越しが目前である。最終講義では、四十余年にわたる研究を振り返るとともに、今後の新たな展開を見据えて、いわば所信表明の意味をも込めて自分独自の道を模索することにした。皆さんに楽しんでいただけたならこの上ない喜びである。


  生物学科の小金澤雅之先生より
山元先生へのメッセージをいただきました  

 山元先生はハエの求愛行動研究のトップランナーで、特に有名なのはオス同士が求愛してしまう突然変異体satoriの発見です。論文や書籍等では良く存じ上げていましたが、まさか私がその研究に関わる事になろうとは思っていませんでした。satori変異は、転写因子をコードするfruitlessと呼ばれる遺伝子の機能異常によるもので、山元先生はfruitless遺伝子の分子細胞生物学的機能の解明に取り組んできました。2005年には雄特異的なFruitlessタンパク質発現が、ニューロンの数や形を変えて、いわば「オスの脳」を作り出している事を明らかとし、Nature誌の表紙を飾っています。私はちょうどその頃から山元先生との共同研究を始め、fruitless発現神経回路の機能解析を行ってきました。最先端の技術を用いた研究に携われたことは、研究者としてとても幸せな事でした。
 山元先生の研究成果は多数の学術論文として触れることができますが、研究室メンバーのみが知る特筆すべきことは、どんなに忙しい時でも自身で実験をされていたことでしょう。研究・教育に忙殺されながらも、自らショウジョウバエの交配をしアイデアの確認を行う姿は驚異的でもありました。
 satori変異体の発見は今から20年以上前にさかのぼりますが、その頃から山元先生は「行動の進化」という難問にアタックしてきました。ゲノム編集技術が開発され、中枢ニューロンの活動記録も可能となった現在は、かつては攻略不能にも思えたこの難問の解明に肉薄できるまたとない時なのだと思います。山元先生は4月より神戸の未来ICT研究所に活躍の場を移しますが、この期を逃さず自らの手で驚くような研究成果を上げていくはずです。何時までもお元気で、これからもますますのご活躍をお祈りしております。


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