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2020年3月23日レポート

2月12日(水)物理学専攻 山本均教授 最終講義

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2月12日(水)、合同A棟203号室にて、物理学専攻 山本均教授の最終講義「電子陽電子衝突器とCP対称性の破れ」が行われました。本講義では、山本先生は「四方山話です。」と仰いながら、これまでの研究成果など、様々なエピソードが紹介されました。アメリカで長い期間研究されていた山本先生より「今後は国際化が不可欠で、カリキュラムはもちろん、教員と学生の『契約関係』が良い研究成果を生み出す。」とのメッセージが送られました。



山本均先生よりメッセージをいただきました

実は、これからも物理の活動は続けていくつもりなので「最終講義」はなかろうと、勘弁していただく予定だったのですが、年末の教授懇談会で物理学専攻長を含む数名に取り囲まれて強く迫られ、いやいやながら「最終講義」をすることになりました。しかしいざそのために昔の資料を掘り起こしていると色々な過去の記憶が蘇ってきて、当時のことを懐かしく思い出すきっかけとなり、今ではやってよかったと思っています。
大学院から渡米し、23年間アメリカで研究教育活動をしてから、19年前に東北大学に戻ってきたのですが、驚いたことがいくつかありました。一つには東北大学の学生がおとなしいということで、大学院の講義でも講義中に質問をする学生がほとんどいない。それまで自分が良い講義をしているかどうかの基準として、「ちょっと話の論理を端折ってしまったかなと思った時に、そこ分かりません、と学生が質問すれば講義はうまく行っている」というものがありました。要するに、論理をとばしても質問が出ないようなら、学生たちはついてきていない、ということです。東北大では「そこ分かりません」という講義中の質問はほぼ全くなく、その基準は使いものになりませんでした。あまりに反応がないので一度「みなさん、僕の言ってることはね、間違っているんですよ」といったら、学生たちが「この先生何言ってるんだろう」とポケッとこちらを見ていたことを思い出します。教科書に書いてあることでも疑って欲しかったんですね。
また驚いたのは研究のための時間に食い込む雑用の多さです。特に入学試験関連の、作題、採点、施行にために必要な時間と労力は入学試験の種類の多さもあって大変なものです。間違いでもあれば全国ニュースになりますから手を抜くことはできない。その負荷は若手の教員にも容赦なく降りかかります。日本の大学における研究の成果レベルが低下していると言われますが、雑用の多さがその一因であることは間違いありません。物理学専攻長を務めた時には、少しでも教員の負担を減らそうと、大学院の外国人特別選考委員会と自己推薦入試委員会をまとめましたが、焼け石に水だったようです。一方で国大協は「いろんなタイプの人間を獲得するために入試の種類を増やすべし」と答申を出しています。正気の沙汰とは思えません。
「最終講義」とはあまり関係のない話になってしまいましたが、「最終講義」で伝えたかったことは、物理とそのための道具作りを楽しみ、とことん突き詰めればさらに楽しくなり、もっとエネルギーを注ぎ込むことができる、ということでした。東北大学がそのような活動を育む場所としてこれまでにまして大きく羽ばたくことを念じてやみません。

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  物理学専攻の佐貫智行先生より
山本先生へのメッセージをいただきました  

山本先生の最終講義が、2月12日にありました。最終講義では、山本先生の研究歴の中にある興味深いトピックについて、その背景を含めたお話ししてくださりました。海外での研究や教育の豊富なご経験をお持ちですので、なかなか経験できないようなお話ばかりで、聴講していた学生にとってもスタッフにとっても興味深い内容だったことと思います。最終講義の中では、大変なことが多かったとお話しになっていたILC計画の実現へ向け、山本先生の意志を継いで私どもも精一杯頑張りたいと思います。
山本先生は学生の指導にも非常に熱心で、これからも本学の学生のためにインターネット経由でセミナーをされるとのことです。春からはスペインに本拠地を移されるとのことですが、距離は離れてもこれまでとあまり変わらないものと想像しています。これまでよりは自由な時間が増えて、より一層研究に集中されることと思います。益々のご健康とご活躍をお祈りいたします。



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