東北大学 大学院 理学研究科・理学部|アウトリーチ支援室

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2012年5月21日取材

数学専攻 西川青季教授 最終講義

 3月16日(金)、数理科学記念館にて数学専攻 西川青季先生の最終講義「複素フィンスラー計量と調和写像-数学や人との思いがけない出会い-」が行われました。始まる10分ほど前に伺った時には、すでに教職員や在学生、卒業生のみなさんで会場はあふれ、補助席を追加しましたがそれでも足りず立ち見が出るほどの超満員となりました。


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 西川先生は幾何学的変分問題、測地線や面積最小曲面の一般化である「調和写像」の存在問題と応用を研究、また長年に渡り数学専攻が発行する欧文数学専門誌『東北数学雑誌(Tohoku Mathematical Journal)』の編集長を務められました。
 最終講義は西川先生が手紙を読むところから始まり(手紙は、西川先生が東北大ではじめて持った演習を受けていた卒業生から届いたものでした)、ご自身の学生時代や研究テーマに巡り会うきっかけとなった、数学や人との思いがけない出会いにまつわるエピソードなどをお話してくださいました。 


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  西川先生よりメッセージをいただきました  


 私の実質的な最終講義は,学生諸君は気づかなかったかもしれないが,2月3日に行った解析学Bの講義である.在職中もっとも多く行った講義は,1・2年生向けの解析学であるが,これは私の専門ではない.専門分野の講義とは異なり,試行錯誤の繰り返しであったが,先人の英知を文化遺産として伝えることを目標とした.
 さて,定年退職教員として行う最終講義であるが,何について話せばよいかが,頭の痛い問題である.退職前に自分の足跡を振り返り,反省する機会があたえられたと考えるべきであろうが,定年退職という美酒を味わう前に課されたスピーチのような気もする.スピーチなら,依頼されないに越したことはないと考えていたが,多くの卒業生や友人が駆けつけてくれたのは,教師冥利につきる経験であった.出席していただいた方々に深謝.


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  数学専攻の小谷元子先生よりメッセージをいただきました  


 西川先生は、間違いなく日本の数学を牽引されてきた中心的存在である。その西川先生に、「東北大学の幾何セミナーに話に来ませんか」と大学院生の時に声をかけていただいたことを今でもはっきりと覚えている。おそらく、アウェイでの始めての機会ではなかったか。IMG_2673.JPG西川先生は、細やかな気遣いをされることでも有名で、「青葉山に来るバスの中には理学部キャンパスに来ないものもありますので、気を付けて乗ってください」と事前に忠告をいただいた。ところが、仙台駅より乗ったバスはどんどん山を登り始め、行けども行けども「理学部前」(自然標本館前)に着かない。理学部キャンパスが予想以上に自然に恵まれたロケーションにあったため、(今思えば)入試センターあたりで青くなっていたのである。ようやく辿り着いた私を西川先生始め、幾何グループの皆さんが優しく歓待してくれたおかげで、無事講演を終えた。西川先生の最終講義・祝賀会でのご挨拶、人生をセミになぞらえ、穏やかながら新たな決意を語られた素晴らしいものであった。


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