東北大学 大学院 理学研究科・理学部|アウトリーチ支援室

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2012年9月19日取材

地学専攻 藤巻宏和教授 最終講義 

 3月5日(月)、理学部大講義室にて地学専攻 藤巻宏和教授の最終講義「 私の研究で会った3人と、ICP-MSによる分析の危うさ」が行われました。
 藤巻先生の最後の講義を受けようと学生、教職員、そして卒業生が大勢参加し、大講義室はほぼ満員となりました。
 藤巻先生は岩石学・固体地球化学を研究、顕微鏡観察や化学分析、特に放射性同位体分析の方法を用いて世界中の様々な岩石を調査されてきました。また、岩石の調査による土壌や地下水の汚染といった環境についての研究も多くされました。
 最終講義では、藤巻先生の記憶に残る印象的な3人と、そのエピソードについてお話してくださいました。
 



藤巻先生よりメッセージをいただきました

  ー東北大学の思い出と、学生さんへー  


 私は地学のうちでも岩石学が最も熱く楽しい時代に、東北大学で勝手気侭な研究生活を過ごさせてもらいとても幸運でした。岩石学に興味を持ったのは月の探査をテレビで見ていて、私が非常に単純な勘違いをしたことが原因です。それは月に行った宇宙飛行士がもって帰ってくる「月の岩石を調べれば月がどのようにできたかわかる」という同時通訳の実況中継の言葉でした。それならば、地球は?と誰でも思うでしょう。その結果かどうか、私の在職中、日本の多くの大学に岩石学研究室ができ、熱い議論が戦わされました。私が出会った熱く楽しい岩石学と同じように、既にやりがいのある研究に出会っている人もいるでしょうし、少しずれたかなと思っている学生さんもいるでしょう。ずれたかなと思っている学生さん、大変な勘違いで始めても、多少の情熱と根気で皆さんの研究は熱く楽しい、やりがいのあるものになります。そのように信じて頑張ってください。


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▲最終講義を行う藤巻先生



  地学専攻の大谷栄治先生よりメッセージをいただきました  


 藤巻教授は、1969年に東北大学に入学されました。私も同年に入学した同級生です。入学当時は、70年安保前年で大学紛争が真っ盛りのころでした。ohtani-thumb-600x900-3111.jpg藤巻先生は、東北大学に入学前にすでに慶応大学で政治経済を学んだ異色の存在でした。その当時は、大学での勉強をそっちのけで、国のありかたや未来の社会について論争をしていました。今、藤巻先生も私も大学の教員として若者を教育する立場になったことを振り返るにつけても、感慨深い思いです。藤巻先生は、東北大学理学部の地学科地学第二を御卒業後、東京大学大学院理学系研究科に進学し、岩石学および地球化学を学びました。東大大学院で博士の学位を取得し、米国地質調査所(USGS)に留学し、ここで質量分析計による放射性同位体地球化学の研究に従事しました。この当時の研究は、繰り返し引用され今でも高い評価を得ています。日本に帰国後、東北大学に助手として着任し、東北大に同位体地球化学の研究手法を導入し活躍されました。東北大学では准教授、そして教授に昇進され一貫して岩石学および同位体地球化学の研究を進める傍ら、海外から多くの優秀な留学生を受け入れました。特にモンゴルから多くの留学生を受け入れ、その卒業生の中には現在モンゴルの地球科学界をリードする優れた研究者が生まれています。このような貢献によって、モンゴル科学技術大学から2009年には名誉教授の称号を授与されました。藤巻先生のモンゴルの地球科学の発展に尽くした貢献は大変大きなものがあります。近年は、研究対象を環境地球化学および環境問題にも広げ、社会とのかかわりを大事にしておられます。
 このように、藤巻先生は東北大学において、国際的にも大きな貢献をしてこられました。このたび、先生がご退職するにあたって、これらの貢献にこころから感謝するとともに、引き続きその経験を後進に御助言と御指導をいただけますようお願いするとともに、先生の御健康と御活躍を心よりお祈り申し上げます。




  研究室の吉岡勝樹さんに藤巻先生との思い出についてお伺いしました  


・藤巻先生の印象について
「竹を割ったようなという形容詞が、ピタリと当てはまるとおもいます。こちらが間違っているときにはしっかりと指摘し、また藤巻先生がわからない場合にはわからないとはっきりと伝える先生でした。あまりにもはっきりものを言われるので、ゼミの時などは冷や汗をかいていた覚えがありますが、自分の意見を伝える姿勢は常に一貫しており、いつも見習わせていただいております。」
・印象に残っている出来事について
「私が研究室に配属される前に行われた歓迎会の会計の際に、ゴールドカードで支払われた時には後光がさして見えました。その2年後に、私が幹事を務めた歓迎会の際に、同じようにゴールドカードで支払おうとされて、カードは受け付けていないと言われた時の藤巻先生の落胆の具合が忘れられません。その節は大変申し訳ございませんでした。」
・最後に藤巻先生へのメッセージをどうぞ
「藤巻先生は、幅広い方面のご趣味をお持ちなので、今まで出来なかったことも多々あるかと思いますが、これから思う存分やりたかったことを実現されてください。いままでありがとうございました。お身体ご自愛下さいませ。」


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▲学士、修士論文発表終了後の打ち上げで:左から藤巻先生、吉岡さん、学部4年生の3人


*Photo Garally*

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