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2014年12月19日レポート

第5回 気象サイエンスカフェ東北「気象衛星ひまわり」が開催されました


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   11月16日(日)、エル・ソーラ仙台にて第5回 気象サイエンスカフェ東北「気象衛星ひまわり」が開催されました。"気象サイエンスカフェ"は、日本気象学会と日本気象予報士会が共催するイベントで、「気象の専門家や有識者」と「その話を聞いたり話してみたい方」との科学コミュニケーションの場です。2006年春に東京でスタートし、気象学会・予報士会の各支部を中心に全国各地で開催されています。

 今回のテーマは「気象衛星ひまわり」です。まずはじめに、大気放射学や気候変動、雲とエアロゾルを研究されている理学研究科・理学部長の早坂忠裕教授が「気象衛星ひまわりー地球を見る、空を見る、天気を見る:人工衛星から見えてくるものはー」と題した講演を行い、気象衛星「ひまわり」の解説をしてくださいました。
 静止気象衛星「ひまわり」の歴史は1号(1977年打ち上げ)から始まりました。そして、今年10月、新しいひまわり8号の打ち上げに成功しました。全球を1時間に1回、赤道より北を30分に1回観測だった7号に比べて観測機能が大きく向上した8号は、全球を10分ごとに、日本付近を2.5分ごとに、またチャンネル数も増加したためカラー画像での観測が可能になりました。その他、雲だけではなく水蒸気や黄砂、海面水温、風向き風速など多様な情報を得ることが出来ます。
 司会の鈴木智恵さん(気象予報士)からの「研究のどんなところが面白いですか?」という質問に、早坂先生は「衛星を使って地球を観測する、それは社会に貢献するという点では気象予報などがありますが、地球を惑星の中のひとつとして捉え衛星で観測する、そういう観点でみた時、地球は非常に複雑でサイエンスとしても面白い、それが魅力でしょうか?」とお話くださいました。

 講演後、テーブルごとに分かれてディスカッションを行い、それぞれのグループのファシリテーターが話し合った内容をまとめて発表しました。その中の質問と回答をいくつかご紹介します。
 (回答:早坂先生と仙台管区気象台の高瀬邦夫台長)

Q. ひまわり8号はいろんな波長を使って観測をするそうですが、波長によって水蒸気がみえたり二酸化酸素がみえたり、この波長ならどういう物質が見えるというのが決まっているのが不思議です。

A. たとえば水の化学式はH20ですが、水の分子は振動したり回転したりしています。そこに、ある決まった波長の光がきたときだけ吸収して振動や回転の状態が変わります。分子の構造によって決まった波長の電磁波だけを吸収するので、物質によって見える波長が違うのです。

Q. 衛星は休憩しないんでしょうか? 衛星に搭載されているカメラが撮影する動画をみせていただきましたが、カメラがずっと撮影をつづけて動いています。休憩する時間はあるのでしょうか?

A. 休憩しなくてもけっこうタフなんです。今まで具合が悪くなったひまわりは2号だけだと思います。太陽電池で発電しているので、太陽の裏側に入ったときは休みます。むしろ休んだ後、再開する時のほうが怖いというのが衛星関係ではよくある話です。

Q. 地球の裏側は観えないんですか?

A. 静止気象衛星はいつも同じところ(日本側)を観測するように、地球の自転と一緒にまわっていますので裏は観えません。アメリカやヨーロッパ、インド、中国などいくつかの衛星で地球全体はカバーしています。その他にも、南極北極を縦にまわる高度が低い極軌道衛星とか、いろんな軌道の衛星で地球を観測しています。

 2015年夏頃に、現在のひまわり7号から8号へ運用が移行される予定になっています。新しい気象衛星ひまわり8号から送られてくるデータで地球のどんなことが解るようになるのか、運用開始が待ち遠しいですね。

*参考リンク*
気象サイエンスカフェ http://meteocafe.blogspot.jp/

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