【研究成果】化学専攻飛田研究室の研究成果が"Organometallics"2月号の表紙になりました
飛田研究室では,リチウムイオン内包C60の遷移金属錯体の合成に初めて成功し,その論文がアメリカ化学会の雑誌Organometallicsの最新号に掲載され,表紙にも取り上げられました。表紙左下のイリジウム錯体のX線結晶構造と,右上の葉脈だけ残したホオズキの写真を見くらべてみてください。よく似ているでしょう。ホオズキの実に当たる内包されたLi+イオンは,フラーレンの炭素のカゴによって化学的には外界から完全に保護されています。一方,内包 Li+イオンは,静電気的な力によってC60骨格の電子受容能力を飛躍的に高めるなど,間接的に外界と強く相互作用することができます。その一つの現れが,電子供与的なイリジウムや白金のフラグメントとC60骨格とで形成される錯体が,内包 Li+イオンの存在によって顕著に安定化される現象です。同時に,遷移金属が配位して負に帯電した2つの炭素原子に引き寄せられて,内包Li+イオンはそれらに近い位置に局在しています。この現象は,内包されたLi+イオンを,C60骨格の外側から操れるということを示唆しており,機能性材料等への応用が期待されます。なお,リチウム内包C60は,当研究室と,本学工学研究科プラズマ基礎工学講座の基礎研究を基に材料の大量合成に成功した(株)イデアルスターとの共同研究により,初めて純物質の合成単離に成功しました。現在はイデア・インターナショナル(株)が製造し,和光純薬工業(株)などから販売されています。
▪ 化学専攻 無機化学研究室
▪ "Organometallics" About the Cover
▪ "Iridium and Platinum Complexes of Li+@C60"
Posted on:2014年2月15日