キャンパスライフ支援室は理学研究科・理学部独自の学生相談室です。
気がかりに感じていること、困っていることなど
些細なことから深刻なことまでなんでもお話いただければと思ってお待ちしています。
臨床心理士の資格を持った専門の相談員が対応いたします。
また、大学院生による学習相談(学習支援や進路相談など)も行っています。
必要に応じて他の窓口やサービス、専門機関を紹介することもあります。
例えば、東北大学には全ての学部や研究科の学生が利用できる
学生相談所や特別支援室があります。
学部1-2年生の学習の相談は学習支援センターでも受け付けています。
※カレンダー右上の表示形式を「月→週」に変更すると見やすくなります。
※平日の10:00-17:30のうち、何も予定が入っていない空欄箇所が予約受付可能な日程です。
いつもは年始に特段記事を書いていないですが、今年(2024年)は年始から世の中で色々ありすぎたので、相談員の立場から学生の皆さんに向けたメッセージを書いてみます。
まず、能登半島地震をはじめとする、年始から続いた様々な出来事で被災・被害に遭った皆様にご冥福やお見舞いを申し上げます。
結論としては、以下の3点について述べていきます。
①情報に「触れる」か「触れない」かをコントロールする感覚を保つ
②具体的な被災者・被害者支援をしなくても、関心を持つこと自体が支援になる
③「余計なお世話」はしない
今回の出来事に付随して、全ての人々の中で様々な考えや感情が生じていることと思います。
(考えや感情が生じないように、心理的に防衛機能が働いている人もいるかもしれません)
東日本大震災の時に話題にあがったことですが、災害・事件・事故が「ありありと報道」されることで、直接的な被災・被害に遭っていない人も、間接的に被災・被害に遭ったような状態に陥ることがあります。
津波の浸水地域の映像、火災で焼け野原になった地域の映像、生き埋めになった人がいる建物の映像など、見ているだけで心が落ち着かなくなることがあります。そして、その反応はとても自然なものです(もちろん冷静に情報を見れる人もいますし、それもそれで自然なことです)
心が落ち着かない時、まず情報のインプットを止めることが有効です(SNSから離れる、スマホを触らない時間を作るなど)。
そして、情報のインプットを「する」か「しないか」を、「自分で決める」という感覚(自己統制感)を取り戻してみましょう。
「なんとなく見続けてしまう」状態だと、心が落ち着かない状態が長引いてしまうことが良くあります。
※心理療法の1つにエクスポージャー法というものがあり、そこでは「敢えて」見たくない情報に触れることで、心理的な問題の解消を図ります。しかし、「なんとなく見続ける」ことは、治療行為としてのエクスポージャーに不可欠な安心・安全と自己統制感が不十分な点で、全くの別物と考えられます。
情報と自分の意思で距離が取れるようになったら、次は「自分も間接的な被災者・被害者だ」と捉えてみても良いかもしれません。
あんなに大変な目に遭った人たちがいるのに、普通に授業を受けている自分に罪悪感を覚える人たちがいます。
この考えは「自分は被災者・被害者ではない」という認識の元に生じることが多いようです。
しかし、前述のように「自分も間接的な被災者・被害者」と捉えてみると、重度な被災・被害には遭っていないけれど、心理的にダメージを負った事実は肯定しやすくなることもあります。
もちろん、「そんな考え方はけしからん」と思う人には無理強いするつもりはありません。
しかし、重度な被災・被害に遭った人たちが、「あいつらのほほんと過ごしやがって」と24時間考えているかと言えば、(多くの場合)そんなことはないでしょう。
あなたが心理的にダメージを負っていることを喜ぶ人は、(ゼロとは言いませんが)ほぼいません。
あなたが「自分も間接的な被災者・被害者だ」と考えることで怒りを覚える人は、(ゼロとは言いませんが)ほぼいません。
むしろ、あなたが健やかに過ごすことを望む人の方が、圧倒的に多いでしょう。
そして、健やかに過ごせる時間が持てるようになってきたら、「自分の意思」でニュースに関心を払ってみても良いでしょう。
「なんとなく見続ける」のではなく、「自分の意思」で関心を払うことが重要です。
もちろん、24時間関心を払い続ける必要はありません。ふとした時に思い返すタイミングがあれば、それで(も)良いと捉えてみます。
すると、心理的に強いダメージを負うことなく、被災者・被害者に思いを寄せることができるかもしれません。
なお、これは完全に個人的な考えですが、東日本大震災を通して、世間の関心が薄れることが被災者の心理的負担を増加させることを強く感じてきました(詳しくは山崎、2020)。
多くの人々が関心を持ち続けること、それ自体が支援になるという考え方は、こうした経験に基づくものです。
また、何か「支援」をしたいと思う時が来るかもしれません。
その時には「余計なお世話にならない」ように気を付けたいものです。
実際に被災地に行くことや、自分で被災・被害に関する情報をまとめて発信すること等は、誰かを傷つけたり、誰かを邪魔するリスクをはらみます。
良かれと思ってしたことが、逆に余計なお世話になってしまったなら、あなたも、余計なお世話と感じた人も、どちらも嫌な気持ちになってしまうでしょう。
幸い、日本には専門的な訓練を受けた支援者がたくさんいます。自衛隊や警察、日本赤十字社をはじめとする各機関は、被災者・被害者にとって、とても心強い存在です。
専門的な支援者たちが動きやすいよう、邪魔をしないことが、サイレントマジョリティにできる支援の一歩目です。
そして、支援者たちの動きを応援することが、サイレントマジョリティの支援の二歩目と言えるかもしれません。
その具体例として募金が挙げられそうですが、募金以外のアイデアがあれば、もちろんそれでも良いでしょう(ふるさと納税等)。
※主要なポイントサービス(dポイントや楽天ポイント等)は募金できる仕組みを作っているので、そういうものを利用しても良いかもしれません。
念のために明記しておきますが、募金はしても、しなくても、どちらでも良い行為です。
ただし、何かをしないと自分の気持ちが収まらないのであれば、募金は「余計なお世話」になるリスクが低いので、例として挙げました。
ちなみに、心理学屋として心に留めていることに「安易な励ましをしない」というものがあります。
塩屋(2013)では、東日本大震災の「軽度被災者」に対する精神的な励ましが抑うつ傾向(気分の落ち込み等)を悪化させた可能性が指摘されています。
安易な励ましが「余計なお世話」になるリスクについても、この機会に書き記しておきたいことでした。
最期に、結論を再度記載しておきます。
①情報に「触れる」か「触れない」かをコントロールする感覚を保つ
②具体的な被災者・被害者支援をしなくても、関心を持つこと自体が支援になる
③「余計なお世話」はしない
なお、今回の記事は直接的な被災者・被害者や、その身近な人ではなく、間接的な被災者・被害者に向けたものです。
直接的な被災者・被害者やその身近な人は、安全・安心の確保が脅かされており、上記のような悠長なことを言っている状況ではないでしょう。
生活の基盤を再建する作業は多くの困難を伴います。自治体や様々な支援団体の力を使いながら、時に歩みを止めて力をためながら、一歩ずつ進んでいかれることを願っています。
<リンク>
・ストレス災害時こころの情報支援センター
・災害グリーフサポートプロジェクト
下記の日程は冬季休業のため、キャンパスライフ支援室を閉室します。
1/9(火)から支援室となんでもサポート室は通常通り開室予定です。
詳しくはGoogle Classroomのお知らせをご確認ください(在学生の方のみ)。
下記の日程は夏季休業のため、キャンパスライフ支援室を閉室します。
8/17(木)からは通常通り開室予定ですが、「理学なんでもサポート室」は日によって開催したりお休みしたりします。
詳しくはGoogle Classroomからのお知らせをご確認ください。
下記の日程は室員不在のため、キャンパスライフ支援室を閉室します。
5/8(月)からは通常通り開室予定です。
ご不便をおかけして恐れ入りますが、ご理解・ご協力の程お願いいたします。
2023年4月時点のキャンパスライフ支援室のスタッフ紹介をさせていただきます。
◎常勤相談員 岩渕 将士(臨床心理士・公認心理師)
「皆さんは色々なことを感じながら普段の生活をお過ごしと思います。嬉しいことから辛いことまで、ちょっと困ったことからすごく困ったことまで、幅広くお話をうかがい、より充実した生活が実現できるよう応援します。」
◎常勤相談員 菊地 幸恵(臨床心理士・公認心理師)
「『何となくモヤモヤする...』『ただ話を聞いてほしい...』上手く言葉に出来ないことでも1度お話してみませんか。皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。」
■月曜日担当
◎千葉 隆司:物理学専攻 修士2年・原子核理論
◎長谷川 博紀:物理学専攻 博士1年・物性理論
◎加藤 建:化学専攻 博士1年・量子化学
■水曜日担当
◎山本 哲也:数学専攻 修士2年・解析
◎イ ジュンソク:物理学専攻 修士2年・素粒子理論
◎鈴木 碩通:生命科学研究科 生態発生適応科学専攻 修士2年・水圏生態
■金曜日担当
◎秋山 慧斗:数学専攻 博士2年・解析
◎成田 悠馬:物理学専攻 修士2年・素粒子理論
◎及川 達希:物理学専攻 博士2年・物性理論
今後ともキャンパスライフ支援室をよろしくお願いいたします。
〒980-8578
仙台市青葉区荒巻字青葉6-3
理学研究科 合同A棟 307号室
開室時間 : 平日 10:00~17:30
TEL : 022-795-6706
E-mail : sci-campuslife@grp.
※メールアドレスの@grp.のあとに「tohoku.ac.jp」をつけてください
理学研究科 物理系研究棟 825号室
開室時間 : 平日 9:00~18:00