東北大学 大学院 理学研究科・理学部|広報・アウトリーチ支援室

2018年5月 7日レポート

4月22日(日)仙台市天文台 アースデイ講演会 花輪 公雄 名誉教授「黒潮大蛇行ー12年ぶりに起こった大蛇行とその影響ー」

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2018年4月22日(日)、仙台市天文台 加藤・小坂ホールにて、名誉教授 花輪 公雄 先生のアースデイ講演会が開催されました。仙台市天文台では、2010年から毎年、ユネスコが定めた地球環境について考える日「アースデイ」にちなんだ講演会を行っており、今年で8回目となります(2011年は震災のため休止)。花輪先生は初回より毎年欠かさずご講演されております。
今回は「黒潮大蛇行ー12年ぶりに起こった大蛇行とその影響ー」と題し、12年ぶりに大蛇行流路を取った日本南岸を流れる世界有数の海流である黒潮についてご講演されました。
講演は、「1.黒潮の成り立ち」「2.黒潮大蛇行とは」「3.黒潮大蛇行の影響」の3部構成で行われました。黒潮大蛇行の発生メカニズムは諸説あり、中でも最近注目されている黒潮大蛇行の発生メカニズムとして「引き金蛇行の形成と膠州海山の効果」について説明されました。
当日は仙台市内で大きなイベントが行われたにも関わらずたくさんのご来場者に恵まれ、講演後の質疑応答でも多くの質問が投げかけられました。


2018年5月 1日レポート

東北大学大学院理学研究科 合同入試説明会2018が開催されました

4月28日(土)、東北大学東京分室(サピアタワー10階)にて東北大学大学院理学研究科合同入試説明会が開催されました。 平成22年から9回目を迎えた今年度の合同入試説明会の参加者数は最多の136名となりました。たくさんのご参加ありがとうございました。

実行委員長の兒玉忠恭先生による全体のスケジュール説明、教務委員長の日笠健一先生による理学研究科の紹介の後、各専攻にわかれて入試、各研究室の紹介となります。教員による説明はもちろん、過去に他大学から東北大学に進学した学生から直接話を聞ける貴重な機会となったようです。

説明会参加者数推移
  H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30
参加者数 60 60 45 76 75 92 93 129 136

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2018年4月27日レポート

平成30年度 新入生オリエンテーションが実施されました

 4月6日(金)~7日(土)、青葉山北キャンパス理学部内及び秋保温泉岩沼屋にて平成30年度理学部新入生オリエンテーションが実施され、新入生、教員、引率学生など約370名が参加しました。
 このオリエンテーションは、全学教育科目及び理学部カリキュラムの履修方法やサークル活動など、大学におけるあらゆる活動のアドバイスなどが行われ、新入生にそれを参考にして充実した学生生活を送ってもらうことを目的としています。少し肌寒い天候でしたが、2日間(数学系は6日のみ)を通して時間割の作成や、友達や先輩、先生方と交流を図り、充実した時間を過ごせたのではないでしょうか。
 新入生のみなさん、ようこそ東北大学理学部へ!!

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2018年4月26日レポート

【広報サポーターレポート】4月21日 (土) ぶらりがく「地球生命環境史」

tsuchida.jpg広報サポーターレポート
今回は4月21日 (土) 開催「ぶらりがく」の様子を土田星奈(理学研究科地学専攻修士2年)がお伝えします!

 4月21日(土)、東北大学理学研究科合同C棟青葉サイエンスホールにて、ぶらりがくが開催されました。今回は一般の方々を対象に『地球生命環境史』と題し、地学専攻の海保邦夫教授から、地球に生命が誕生してから今日の人類に至るまでに起こった、地球環境の変化についてお話ししていただきました。当日は土曜日ということもあり、幅広い年齢層の60名以上の方々が足を運んでくださりました(図1)。


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図1. 海保教授による講演の様子1

 講演では、生物の大進化と大量絶滅をもたらした環境変動について、その原因なども含めて非常に詳しく教えていただきました。うなずいたりメモを取ったりしながら、熱心に耳を傾けておられる方々が大勢おられました。小学生には少々難しい内容だったかもしれませんが、"恐竜絶滅"や"スノーボールアース"など、学校で習ったワードを聞いて「知ってる!」と反応したり、昔はこんなに大きなトンボが飛んでいてね...」という先生のお話に驚いたりするお子さん達も見受けられました(図2)。


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図2. 海保教授による講演の様子2

 最後の質問コーナーでは、講演の中で抱いた疑問を教授にたくさん投げかけていただき、中でもある中学生の方は、質問の答えを自分なりにまとめて見せてくださり、非常に感動すると同時に私も刺激を受けました(図3)。


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図3. 質問コーナーの様子

 今回のぶらりがくを通して、皆さまに地学の面白さを改めて認識していただき、今日私達が存在している奇跡、生命の神秘を感じていただけていたら嬉しいです。今回のお話の続きは、6月24日に開催される日本古生物学会普及講演「大量絶滅はなぜ起きるのか ー恐竜は今も生きていたかもしれない!ー」で聞くことができますので、ぜひお越しいただいて楽しんでいただければと思います。

2018年3月30日レポート

2月23日(金)東北大学サイエンスカフェ「宇宙に響くさえずりとジオスペース」

2月23日(金)、せんだいメディアテーク1階オープンスクエアにて、第149回東北大学サイエンスカフェ「宇宙に響くさえずりとジオスペース」が開催されました。講師は理学研究科 地球物理学専攻の 加藤 雄人 准教授。当日は80名の方々にご参加いただきました。たくさんのご来場ありがとうございました。
地球の周りの宇宙空間はジオスペースと呼ばれ、オーロラをはじめとする様々な現象が絶え間なく生じています。「宇宙のさえずり」とも称される特徴的な自然電波・コーラスを取り上げ、実際に会場にて聴き、ジオスペースの科学について考察しました。加藤先生の講演後は、各テーブル毎にディスカッションを行います。地球物理学専攻の教員や学生達がファシリテータとなり、皆さんのご意見をお伺いしました。
参加者からは「実生活からはなれた話題が楽しかったです。東北大学がとのようなことをしているのかを知ることができて良かったです。」「ファシリテータの方が質問に対してとても楽しそうにお話しされていたので、みなさんが前向きに楽しく研究されているんだなと、良い雰囲気を感じた。」などの感想をいただきました。

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  理学研究科 地球物理学専攻 中川広務助教  
加藤先生から最新の宇宙環境探査についてご講演いただいたあとに、宇宙環境や惑星に関する様々な疑問について各テーブルでファシリテータを中心に活発な議論が交わされました。「火星人はいますか」「超高層はなぜ気温が高いのですか」といった素朴な疑問から、「他の周波数でも宇宙のさえずりは聞こえるのですか」「地球の磁場はなんで生じているのですか」など学会さながらの専門的な観点からの意見も出て大変驚きました。ファシリテータや我々も、高校生を含め様々な年齢層の方々とお話しすることができたことで改めてモチベーションがあがり、初心に返れる貴重な体験でした。ありがとうございました。
2018年3月29日レポート

3月24日(土)地球物理学専攻 花輪 公雄 教授 最終講義

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 3月24日(土)、理学研究科大講義室にて、地球物理学専攻 花輪 公雄 教授の最終講義「東北大学に世話になった47年間 -教育と研究、そして大学運営-」が行われました。
 花輪先生は、1971年の大学入学から現在までの47年間を東北大学一筋で過ごされました。その間、研究や教育・大学運営と、本学発展のために多大なる貢献をされました。ご専門は海洋物理学です。
 本講義では、花輪先生の略暦、研究活動(の裏話)、大学運営の三部構成でお話されました。また、途中途中で花輪先生の好きな言葉が紹介されました。質疑応答では、聴講者が花輪先生とのエピソードを展開するなど、大変思い出深い講義となりました。講義後には、これまでの花輪先生の教育・研究、大学運営へのご尽力とご功績に感謝と敬意を込めて花束が贈呈され、盛大な拍手が送られました。

花輪先生よりメッセージをいただきました  

 1971年4月に理学部物理系学科に入学して以来、あっという間に47年が過ぎました。最終講義をやる日は遠い先のことと考えてもいなかったのですが、その日程が決まり準備をしなければならなくなると、さすがに47年間を振り返ることが多くなりました。
 47年間は、学生として過ごした10年間、曲がりなりにも研究と教育に勤しんだ27年間、そして最後は大学運営に専念した10年間と分けることができます。
 学生時代は学位を取得するために一つのテーマに集中するのが一般的ですが、指導教員が外国出張したこともあり、後輩の研究テーマにも付き合ったことが特徴でしょうか。研究は興味の赴くままに、研究室の仲間たちや、日本や世界の仲間たちと行ってきました。知ることの苦しみと喜びを、十分に味わえたと思います。
 ここ10年間は、理学研究科長・理学部長と教育担当の理事職にありました。大学運営を専門的学ぶ機会などは当然ありませんでしたので、すべてが手探り状態でしたが、多くの先生方や事務系職員の方に支えられて何とかこなすことができたのではと思います。
 これで定年退職を迎えるわけですが、理学研究科、そして東北大学が、教育と研究で世界から尊敬される大学になっていくことを期待し、今後はOBとして微力ながらも貢献できればと思っております。

pic.jpg ▲「気候変動に関する政府間パネル (IPCC) 」第1作業部会第4次評価報告書第5章 (海洋) の執筆メンバー (2006年6月28日、ノルウェーのベルゲン近郊にて、後列左端が筆者)


  地球物理学専攻の須賀利雄先生より
花輪先生へのメッセージをいただきました  

 花輪先生の『流体力学演習』の授業を受けた学部3年次から数えると、35年の長きにわたりご指導いただいたことになります。先生の授業は、非常によく整理されており、現象の具体的なイメージを明快に説明する内容に引き込まれたことを思い出します。4年生になり、先生が助手として所属されていた海洋物理学講座に配属されました。そこでは、先生を兄貴分のように慕う多くの大学院生たちが、先生を囲んで日々議論し、生き生きと研究していました。そこが、当時、世界的にもまだ注目されていなかった大規模大気海洋相互作用の研究の「ゆりかご」であったことは、その後の「歴史」が証明しています。その背景には、先生の学問的な先見性はもちろんのこと、人間的魅力があったことは間違いありません。そんな世界に出会い、その仲間になれたことは、私の人生の最大の幸運でありました。
 周囲の人を引き寄せる、先生の人間的な魅力の源泉は何なのか?少なくとも、その一つは、先生の膨大な読書量にあると思っています。先生は、ご自身で「活字中毒」と称されるほどの読書家です。先生のウェブサイトの「書評欄」をご覧になればわかるとおり、幅広いジャンルを網羅しています。話題の豊富さはもちろんのこと、物事を多面的に捉え、全体の構造を把握し、課題に建設的に取り組む力の源もそこにあるのではないかと折に触れ思っておりました。そんな先生を、周囲が放っておくはずはなく、学会、研究科、大学全体を指導する立場の重責を次々に担われることになったのは、必然だったと思われます。
 先生は読書家であるだけでなく、名エッセイストとしてもよく知られています。科学から日常の出来事まで幅広い題材を扱った、示唆に富んだエッセイには多くのファンがいます。重責から解放された今、大作に挑んで、われわれを楽しませてくれるのでは、と密かに期待しているのは私だけではないと思います。先生のご健康と新たなステージでのますますのご活躍をお祈りいたします。

1986pic.jpg ▲1986年当時の海洋物理学講座(鳥羽研究室)。前列右から二人目が花輪先生。

2018年3月28日レポート

3月9日(金)生物学科 経塚啓一郎准教授 最終講義

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3月9日(金)、生命科学研究科プロジェクト総合研究棟 講義室にて、生物学科 経塚啓一郎准教授の最終講義「浅虫の海で過ごした40年」が行われました。
経塚先生は、40年以上浅虫海洋生物学教育研究センターにて海産無脊椎動物を用いた卵成熟及び受精機構の研究及びCa2+ を中心にした卵成熟及び受精時のシグナル伝達機構の解析を進めて来られました。そして経塚先生は研究はもとより、教育普及活動、啓蒙活動も盛んに実施され講演の中ではそれらの様子もお話しになりました。また平成27年にはその活動が認められ「日本動物学会動物学教育賞」を受賞されています。

経塚啓一郎先生よりメッセージをいただきました

私が41年間スタッフとして過ごした浅虫海洋生物学教育研究センター(浅虫センター、旧理学部附属浅虫臨海実験所)は、理学部生物学科の開設1年後の大正13年に現在の地青森市浅虫に設置されました。学生の臨海実習施設として開設されましたが当初から水族館を併設し、一般啓蒙活動にも力を入れてきました。現在は文部科学省の東北海洋生物学教育拠点に認定され、全国の大学の共同利用施設として、臨海実習を含めた各機関の海洋教育を支援する役割を担っています。天気の良い日は海に映える美しい夕焼けを眺められる風光明媚な場所ですが、私は「何が一番浅虫センターらしい風景か」と問われれば、雪に閉ざされた冬の墨絵の世界と答えます。このような厳冬期でも、私の研究材料となる一部のウニやホヤ類は産卵期を迎え、海の中では脈々と生命の営みが続いています。
浅虫センターは、陸奥湾に生息する海産動物だけでなく太平洋側の寒海性生物、日本海側の暖海性生物の採集も容易で、多種の生物に接することが出来ます。地球上の生物は海から生まれ、進化の過程で陸上に上がった一部の生物を除くと、現在でも多くの生物が海で生息しています。海は生物の宝庫であり、様々な動物に接することが出来ます。
私はこれらの海産動物、特にホヤ類など原索動物、ウニやヒトデなど棘皮動物、カキやホタテガイなどの軟体動物、その他にもゴカイ類などの環形動物、クラゲ類などの刺胞動物を用いて「卵成熟と受精機構の研究」を行ってきました。多くの海産動物は体外に配偶子(卵や精子)を放出して、海の中で受精発生が進行します。そこで、顕微鏡下で海水中に卵と精子を加えれば容易に受精発生過程が観察できるメリットがあります。有性生殖を行う動物は受精により新たな個体発生を開始します。卵も精子も1つの細胞であり、それぞれ単独では長く細胞を維持することは出来ません。しかし受精が成立すると個体発生を進行することにより生命を維持することが出来ます。この時、卵と卵あるいは精子と精子が融合しても新たな個体発生は開始しません。卵も精子も個体発生を開始するために特殊化した細胞です。この中で、卵は精子を受容すると発生する能力をどのように獲得するのか(卵成熟機構)、精子はどのように同種の卵を認識して一匹のみ卵内へ侵入するのか(精子侵入機構)、精子が卵内へ侵入すると卵はどのように発生を開始するのか(受精時の卵活性化機構)を中心に解析を行ってきました。卵が成熟し受精発生能力を獲得するためには卵成熟誘起ホルモンが作用します。受精時に卵が活性化するためには精子による刺激が必要です。これらの過程には、卵内のカルシウムイオンがシグナル伝達因子として重要な役割を担っていることを明らかにしました。さらの卵成熟誘起ホルモンが作用するとどのように卵内カルシウムイオンの上昇が起こるのか、受精時の卵活性化時に精子はどのように卵内カルシウムイオン上昇を引き起こすのかは現在も進行中の中心的なテーマです。
私は1990年代初頭から共同研究のためにヨーロッパ及びアメリカに滞在する機会がありました。最初に長期に訪れたのはイタリアナポリにあるナポリ臨海実験所でした。日本国内にも多くの臨海実験所がありますが、ナポリ臨海実験所は世界で一番歴史のある臨海実験所で、併設されている水族館も世界で一番古い水族館です。当時はソビエト連邦が解体し、ベルリンの壁が崩れる頃でした。まだインターネットからのニュース情報を得ることは出来ずに、たまに家族から船便で送ってもらう一か月遅れの日本の新聞を読みながら、またテレビに映るベルリン市民の混乱した様子を見ながら、世界はどのようになるのか詳細が分らずにぼんやりと不安を感じていました。余談になりますが、その後も私は歴史の節目、例えば神戸の震災、地下鉄サリン事件、ニューヨークの貿易センタービルが崩れる時なども国外でニュースを見て知りました。先の東日本大震災の際もナポリ臨海実験所に滞在中で、朝7時半頃アパートで朝食をとりながらニュースを見ていたところ、日本の三陸沖で大きな地震が起こったことを知りました。日本とイタリアの時差は8時間、日本時間の午後3時半にはヨーロッパで日本の地震のニュースが流れていました。朝の8時に出勤しようとした時には、既に橋の下を船と車が一緒に流れていく動画がニュースで配信されていました。初めてイタリアへ来たころに比べて世界が狭くなったこと、情報を容易に共有できることを実感しました。
一般に海外の研究室で研究を行う際には言葉の問題があり、コミュニケーションをとることに苦労します。これからはますますグローバル社会となり、外国の研究者と交流する機会も増えます。既に言われていることですが、若いうちからコミュニケーションをとれる環境とそれを活用する積極性を持つことが大切であると思います。若い人たちの方が趣味のことなど研究の話を離れてもコミュニケーションをとりやすいと思います。私も30代のうちに外国生活の機会に恵まれました。この中でイタリア人やアメリカ人も同年代に人たちは私と大して変わらない考えや行動をとるのだということを自分自身で体験することで、相手とコミュニケーションをとることに気負いがなくなりました。私たちと大して変わらないことが分れば、肩の力も抜けスムーズにコミュニケーションができるようになります。その意味でも、研究を離れても共通の話題を見つけやすい若いうちに外国を体験しておくことは大切なことだと思います。
しばらくアメリカデトロイトのウェイン州立大学の臨時スタッフとして研究室の運営に携わっていたときに、夏休みになると研究室に高校の先生を受け入れていました。先生は研究室の所属学生と同じように研究室のテーマにそった研究を行い、新学期が始まると先生は自分の学校の生徒を連れてきて熱心に自分の研究を説明する、それに目を輝かせて聞き入る生徒たちの様子を見ました。研究は自分自身だけのことではなく、真理を追究することは受け継がれていくものでなければ更なる発展はありません。研究のすそ野の拡大は私たちにとっても重要な役割の一つです。現在は日本でも社会人や高校教員等を大学で受け入れるプログラムはありますが、アメリカで1990年代に既にそのようなプログラムが実施されていることを見てその必要性を感じました。帰国後は、小中高校生など青少年への臨海実習を通した理科教育のすそ野拡大も、私にとっては浅虫センターの中での重要な柱の一つでした。平成27年度に日本動物学会から青少年への臨海実習を通した動物学啓蒙活動により教育賞をいただきました。研究者、研究者を目指すものにとっても社会が何を欲しているのか、それに対して自分のフィールドで何ができるのか考えることは大切であると思います。今後も青少年に対する臨海実習などを通して、このような活動を積極的に行う予定です。

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  浅虫海洋生物学教育研究センターの美濃川拓哉先生より
経塚先生へのメッセージをいただきました  

経塚啓一郎先生は40年以上もの間、浅虫に腰を据え、目の前に広がる陸奥湾に産する様々な動物の受精と卵成熟の研究をすすめてこられました。浅虫海洋生物学教育研究センターのスタッフとしての研究は今月を以って終了されますが、当分の間は浅虫で研究を継続されることが決まっています。経塚先生から教えていただける日々が今しばらく続くことをうれしく思っています。
私は経塚先生と13年間、おなじ研究施設のスタッフとして働かせていただきました。その間、経塚先生から直接教えをうけたわけではありませんが、先生との日々のやりとりのなかから様々なことを教えていただきました。ひとつだけ取り上げるなら、多様な着想の重要性でしょうか。セミナー、会議、昼食での雑談など、折々に経塚先生から伺うご意見には、私には到底思いつけないものが多いのです。自分の視野の狭さに気付かされると同時に、異なる視点を知ることで問題をより深く理解するきっかけを掴んだこともよくありました。特に数年前の教育拠点立ち上げのときにはことあるごとに議論したものでしたが、この時に経塚先生から学んだことは貴重な財産になっています。研究のうえでも先生から重要な刺激をいくつもいただきました。私の力不足から、経塚先生との共同研究のアイデアを結実するところまでは育てられていませんが、この萌芽はこれからも育てていきたいと思っています。
先生と同じ場所で同じ時間を過ごし、学ぶことができたことに感謝しています。先生の益々のご健康とご活躍をお祈りします。

20180309_20.jpg 2017年7月に浅虫海洋生物学教育研究センターで行われた国際公開臨海実習の歓迎パーティーで撮影したもの。前列中央が経塚啓一郎先生。この国際公開臨海実習は経塚先生が企画・運営の責任者を務めた。写真提供:根岸剛文先生。


2018年3月27日レポート

3月9日(金)生物学科 水野健作教授 最終講義

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3月9日(金)、生命科学研究科プロジェクト総合研究棟 講義室にて、生物学科 水野健作教授の最終講義「The long and winding road-ペプチドホルモンからシグナル伝達研究へ―」が行われました。水野先生は、細胞運動・形態形成、細胞増殖・分化、細胞がん化を制御するシグナル伝達機構の研究をされています。大阪大学理学部から宮崎、九州大学を経て1999年に東北大学に着任されました。会場は満席となりたくさんの方々が聴講され、水野先生のお人柄を表す会となりました。

水野健作先生よりメッセージをいただきました

1999年春に理学研究科生物学専攻に着任しました。着任の前日の3月31日に雪が降り、暖かい九州から来た私は、あまりの寒さに驚いたことを今でもよく覚えています。2001年に生命科学研究科が設立され、本務はそちらに移りましたが、その後も理学部生物学科の兼担として、合わせて19年間、青葉山の理学部生物棟において、研究と教育に打ち込むことができました。その間、理学研究科・理学部の皆様には大変お世話になりましたことを感謝いたします。
私は、以前にはペプチドホルモンとそのプロセシング酵素の精製と構造解析や、細胞増殖因子とその受容体の機能解析の研究を行っていましたが、1994年に偶然見出した新しいプロテインキナーゼ、LIMキナーゼの発見をきっかけとして、アクチン細胞骨格を制御するシグナル伝達機構を主な研究テーマとするようになりました。東北大学に赴任してからは、LIMキナーゼ-コフィリン経路を中心とした細胞骨格のシグナル伝達機構と、その細胞運動や細胞応答における機能の解析を進めてきました。さらに、最近では、細胞のメカノセンシング機構や一次繊毛の形成機構にも興味を持って研究を進めています。研究テーマの決定は研究者にとってもっとも重要なことの一つですが、私はこのようにいろいろなテーマで研究を進めてきました。最終講義の題目に挙げましたように、"The long and winding road"を、曲がり角ではテーマに迷いながらも、その時々では自分がもっとも興味をもったテーマ、そしてその領域の中ではもっとも重要で解決すべきテーマを選んで挑戦してきたつもりです。
青葉山での19年間、幸いにも、多くの熱心な学生や仲間に出会い、ともに研究に打ち込めたことを心から感謝しています。

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  生命科学研究科の大橋一正先生より
水野先生へのメッセージをいただきました  

私は、九州大学の大学院生時代より水野先生にご指導頂き、水野先生が九州大学から東北大学の教授として赴任された時に一緒に東北大学に参りました。合わせましてこれまで26年間ご指導頂きました。水野先生は、細胞応答における細胞内情報伝達の分子機構について研究されてきました。特に、動物細胞が様々な外環境の刺激を受け取り、細胞内のアクチン骨格を動的に変化させて応答する多様な仕組みについて多くの重要な発見をされました。そして、そのご研究は現在の繊毛の形成機構の研究につながり新たな発展を続けています。研究室は、水野先生のお人柄から多くの学生、ポスドクが集まり、自由な雰囲気で皆さんが生き生きとした活気のある部屋でした。水野先生は、学生の自由な発想を尊重し、先見の明をもってご指導されたことが多くの成果につながっていったと思います。私も、その中で自由に研究をさせて頂き独立することが出来ました。心より感謝申し上げます。これからは総長特命教授として研究の面白さを若い学生にご教示され、研究もさらに発展されることと思います。現在でも、研究だけでなくテニスに百名山の登頂制覇にと楽しく挑戦されている姿は、私の理想として目標とさせて頂きたいと思っております。これからも益々のご健康とご活躍をお祈り申し上げます。

20180309_220.jpg 2006年の研究室の集合写真(中央広場にて。多くの学生、ポスドクが集まっていた頃の写真です。)前列中央 水野教授、前列左より2番目 大橋。


2018年3月26日レポート

3月9日(金)数学専攻 石田 正典 教授 最終講義

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 3月9日(金)、数理科学記念館(川井ホール)にて、数学専攻 石田 正典 教授の最終講義「わたしの仙台40年」が行われました。
 石田先生は、京都大学大学院理学研究科を修了後、東北大学数学教室で40年教員の道を歩んでこられました。代数幾何学をご専門とし、主にトーリック多様体と呼ばれる代数多様体を長きに渡り研究されました。
 当日は、石田先生が東北大に着任された当時の時代背景を振り返り、さまざまなエピソードが紹介されました。学内外の教職員、卒業生、学生など多くの方が出席し、熱心に聴講しました。「私のベスト論文」として1991年に発表された論文をご紹介される際には、穏やかな口調ながらも熱く語られている姿がとても印象的でした。
 石田先生、長い間本当にありがとうございました。

石田正典先生よりメッセージをいただきました  

 自分の論文で最も気にいっているのは高次元カスプ特異点の双対性を示す例の構成に錐の双対性を用いるものだったので、最終講義ではそれを紹介しました。双対性を図形で見てもらうために、私としては初めての試みですが、プロジェクター2台連動でやってみました。途中でパソコンの再起動が必要となりましたが大体うまくいったと思います。

 41年の長い東北大学勤務でしたが、思い出の一つとして、2009年に中国の復旦大学から4人の研究者を招き東北大学で研究集会を開き、翌2010年には招待を受けて上海の復旦大学での研究集会に出席しました。研究集会には復旦大学の若い研究者も多く参加して研究と交流を深めることができました。こちらでの接待はなかなかうまく行かなかったようにも思いますが、上海ではずいぶん歓待して頂きました。復旦大学には立派なホテルやレストランがあるのにも驚きました。ちょうど上海では万国博覧会が開かれていたので休みの日に行ったのですが、どこの展示館も大行列でほとんど見られず、高校のときに行った大阪の万博も同じだったと思い出し早々に退出しました。

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  数学専攻の尾形庄悦先生より
石田先生へのメッセージをいただきました  

 石田先生と初めてお会いしてから36 年にもなると思うと感慨深いです。
 石田正典先生は、京都大学の修士課程をご卒業後直ちに、助手として本学理学部数学科に着任なさいました。当時、数学教室は片平地区にあり、私は教養部生であったのでお会いしませんでした。数学教室の青葉山移転と同時に私も学部に進級しましたが、石田先生はドイツ留学中でまだ出会えていません。私が本学大学院に進学し、代数学講座の小田忠雄教授にご指導頂いた時には、石田先生は帰国されていたと記憶しています。石田先生は代数学講座の助手であったので、やっとお会いすることが出来ました。この頃、先生はご結婚され、私は同級生と共にご自宅に招いて頂きました。
 その後、石田先生は助教授に昇任され、私も助手に採用されました。私が助手になって直ぐの頃、石田先生は4年セミナーを担当され、私は義務では無いのに傍聴しました。先生のお人柄か、4年生達の雰囲気がとても良く、私は全回傍聴し、夏休みのセミナー合宿にも同行しました。
 また、小田先生は代数学セミナーを主宰されていて、石田先生に加えて、佐武一郎先生、堀田良之先生、難波誠先生、森田康夫先生も参加し時々講演され、また、他大学からも土橋宏康先生、足利正先生と本学の助手の方々も参加して、大盛況でした。講演後、石田先生と、同年代の土橋先生と足利先生、私たち助手が一緒に居酒屋で懇親会を持つことが常でした。石田先生は、お酒にはあまり強くなくて、この頃はビールをコップに1杯飲む程度でした。その後、ジョッキに1杯と梅酒1杯飲むぐらいに進歩(?)されました。お酒にはあまり強くなくとも、この様な懇親会はお嫌いではないようで、誘いを断られることはありませんでした。
 その後、私もドイツに留学し、帰国後すぐに本学教養部に移り、法人化にともない再び理学部に准教授として戻りました。この頃に、石田先生は代数幾何学セミナーを立ち上げて主宰し、代数セミナーより活発になりました。私と原伸生准教授(当時)で自由に学外の研究者を講演者に呼ぶことも、大学院生にも講演させることも、兄貴分として鷹揚に構えて認めてくれました。このセミナーでも懇親会は欠かせませんでした。石田先生も私も原さんもそれぞれ大学院生を指導するようになっても、各学期の終わりには、必ず合同の懇親会を持ちました。
 石田先生は、ご結婚後に奥様のお勧めに従って、自動車の運転免許をお取りになりました。週に何度か、奥様を助手席に乗せてご自身が運転して大学に出勤され、直後にその車を奥様が運転して帰られることがあります。休日にはドライブなどなさいますか?と伺うと、奥様が運転されてあまり遠く無いところに行く。また、通勤時のルートはいくつか試されましたか?と伺うと、いつも同じ道を辿って大学まで運転すると答えられました。
 今後は、ご自身でルートを選んでご自身で運転し、隣県ぐらいまでの距離のドライブを奥様と仲良く楽しむことを願っております。


2018年3月22日レポート

青葉山みどり保育園見学会が開催されました。

東北大学学内保育園「青葉山みどり保育園」の見学会が開催されました。青葉山みどり保育園は、地下鉄青葉山駅からすぐの福利厚生施設の中に設置され、生後2か月から小学校就学の始期に達するまでの東北大学教職員及び学生のお子さんが利用可能な保育園です。常時保育はもちろん一時保育も可能となっています。詳細は青葉山みどり保育園ホームページよりご確認下さい。
※現在(2018年3月22日)、全年齢とも定員に空きがあるとのことですので、ご希望の方は総務企画部総務課(hoiku[at]grp.tohoku.ac.jp *[at]を@に置き換えてください。)までお問い合わせ下さい。

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