東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターに、第8号ラジウム副原器があることをご存知でしょうか?
1895年にウィルヘルム・レントゲンが放電管を使った実験でX 線を発見、1896年にはアンリ・ベクレルがウラン鉱石から放射線がでていることを発見しました。
ウラン鉱石(ピッチブレンド、瀝青ウラン鉱)を使って放射線の研究をはじめたマリー・キューリーは、そのなかにウランとは違う放射線源が含まれていることに気がつきました。彼女は夫のピエール・キューリーとともにピッチブレンドの精製に明け暮れ、1898年にポロニウムとラジウムを取り出すことに成功しました。
放射線は発見されてすぐに生物学的作用が認められたため、医療に使われるようになりました。特にラジウムはガン治療などに盛んに使われるようになったこともあり、放射線量の標準化が必要とされるようになりました。1910 年、1g のラジウムと平衡状態にあるラドンの放射能量の単位をキュリー(Ci) と定められました。翌年、ブリュッセルで開催された第1回ソルベー物理学国際会議でマリー・キュリーとアーネスト・ラザフォードは国際ラジウム原器と副原器の設定を提案しました。
1912年にマリー・キューリーが精製した21.99mg のラジウムを使ったラジウム原器が作られ、パリにある国際標準度量衡局に設置されました。同時に作られたラジウム副原器が世界各国に送られることになり、ラジウムの国際標準が確立しました。そして、1913年に塩化ラジウム9.8mg の第8号ラジウム副原器が東北大学理学部に到着したのです。
この第8号ラジウム副原器には証明書が付されており、アーネスト・ラザフォード、パリでの測定に対してマリー・キューリー、ウィーンでの測定に対してステファン・マイヤーの3名が内容を保証する署名をしています。東北大学に到着した後、証明書の訳文を愛知敬一が作成しました。残念ながら、これら証明書の所在が不明になっており、コピーだけが現存しています。
新年度がスタートしました。理学研究科でも、各専攻でガイダンスが行われ、皆さん身の引き締まる思いになったのではないでしょうか?とにかく体に気をつけて新学期を乗り切ろう。
↑ 写真をクリックするとスライドショーになります
↑ 写真をクリックするとスライドショーになります
2014年3月10日(月)11日(火)、レーゲンスブルク大学のオリバー・ライザー教授が本学を来校されました。ライザー教授は、東日本大震災直後にドイツの大学研究者、フンボルト財団、ドイツ化学会、化学工業財団などへ働きかけ、日本人学生が短期留学をするにあたっての渡航費、滞在費、受け入れ先などの支援体制を整えてくださった先生です。東北大学では、その支援を受けて理学研究科の松野太輔さん(磯部寛之教授指導)、薬学研究科の市川拓哉さん(山口雅彦教授指導)、百井雄一さん(徳山英利教授指導)の3名がドイツへ短期留学を果たしました。
■■3月10日■■
薬学研究科大講義室にてライザー教授の講演会が開催されました。冒頭で薬学研究科の山口雅彦先生は「本当に困った時こそ助け合うのが真の国際交流」と挨拶しました。
講演後に、東北大学化学系の教員一同より感謝の意を込めてライザー教授に記念品を贈呈しました。
■■3月11日■■
福村裕史理学研究科長より記念品を贈呈。
有機化学第二研究室の松野太輔さん(D2)はレーゲンスブルク大学ライザー教授の研究室で「光レドックス触媒反応の開発」を研究、その成果が Chem.Eur.J誌に掲載されました。
千葉柾司先生も仙台市天文台も(広報室も)仕事納めという2013年12月28日(土)、仙台市天文台にて先生のトワイライトサロン「マゼラン雲の新しい謎~銀河系の衛星銀河であったはずでは?~」が開催されました。
マゼラン雲は小マゼラン雲と大マゼラン雲という2つの銀河からなります。南半球にあるため見ることはできませんが、1987年に大マゼラン雲に出現した超新星からのニュートリノを検出したことが、小柴昌俊先生のノーベル賞受賞に繋がったことで、日本人にもなじみが深い銀河だと思います。
マゼラン雲はわたしたちの銀河の周りを回る衛星銀河と考えられていましたが、最近の研究成果によれば、マゼラン雲の移動スピードはわたしたちの銀河にとどまるほど遅くはなく、「ただ通過している最中」なのではないかと考えられるようになってきています。
きっかけは、2年間に渡りハッブル宇宙望遠鏡を使ってマゼラン雲の速度を測定した結果が2006年に発表され、その大きさは何と秒速380kmもありました。これは、マゼラン雲を銀河系の重力にとどめておくにはかなり大きすぎる速さなのです。(でも、2013年に発表された7年間の測定結果は、これより小さな速度になっていて、ぎりぎり銀河系の重力に束縛できる可能性も復活しました。)
なにしろ、遠い宇宙の話なので漠然とした感じですが、「謎」が残っていないと面白くないので、今後の研究成果に期待ですね。
↑写真をクリックするとスライドショーになります
3月発行予定のAoba Scientia No.20。学位記授与の時に配布しますので、少々お待ちください。
本日は新任教員紹介ページのための写真を撮影しました。
数学専攻の前川先生です。神戸大学からいらしたそうです。
12月23日(月)、仙台市天文台にて、全国オーロラ講演会2013が開催されました。オーロラ3Dプロジェクト主催のイベントで毎年、オーロラに関連する科学をテーマにした講演会を、クリスマス前後の週末などに全国各地で一斉に開催しています。
今年は今年は11年に1度の「当たり年」、アラスカと昭和基地から届いたばかりの貴重な映像をたくさん見せて頂きました。プログラム
は1回約20分の講演を3回。第1回目のプログラムは、理学研究科ご出身の片岡龍峰先生(極地研・准教授)が解説をしてくださいました。中川広務先生は、自分でワッペンを付けたという宇宙飛行士のブルースーツにサンタの赤い帽子を着用という完璧な装い。幻想的な音楽とオーロラに参加者の方も12月の慌ただしさも吹き飛んだのではないでしょうか?合計約250人来場者がありました。
↑写真をクリックするとスライドショーになります
〒980-8578
仙台市青葉区荒巻字青葉6-3
理学研究科物理系研究棟 725号室
月曜日~金曜日 AM9:00~PM15:30
TEL:022-795-6708
mail:sci-koho[at]mail.sci.tohoku.ac.jp
※[at]を@に置き換えてください