東北大学 大学院 理学研究科・理学部|広報・アウトリーチ支援室

2012年11月20日レポート

火伏せふいご祭

11月7日(水)、機器開発・研修室と硝子機器開発・研修室主催の火伏せふいご祭が行われました。日頃、機器開発・研修室と硝子機器開発・研修室にお世話になっている研究室の方々も参加して無事故を祈願しました。このお祭りで振る舞われるつみれ汁を楽しみにしている人もたくさんいるのではないでしょうか?


2012年11月20日レポート

物理学専攻 進学・就職ガイダンスが開催されました

 11月2日(金)に理学研究科合同A棟にて、物理学専攻 進学・就職ガイダンスが開催されました。
 進学ガイダンスは主に修士1年の大学院生、就職ガイダンスは学部3年、修士1年、博士2年、その他就職を希望している学生を対象に行われています。

 進学ガイダンスでは、学科委員の小林俊雄先生より博士論文や奨学金などの説明があり、その後、現在博士課程後期に在籍している小野善将さん(素粒子実験)、杉原謙光さん(物性理論)がドクター進学を決めるまでの体験談をお話してくださいました。
 杉原さんが「似たような内容になっちゃったね」とお話していたように、おふたりともドクター進学を決めるまでは相当迷ったそうです。進学を選んだ理由もひとつではなく総合的な判断だったようですが、最後は「やっぱり研究がすきという気持ちが決め手」という小野さんの言葉が印象的でした。他にも日本学術振興会特別研究員(通称:学振)の申請など、博士課程大学院生のリアルな経済状況についてもお話くださり、進学を考えるみなさんの参考になったのではないでしょうか。

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■進行は萩野先生 ■前田副専攻長「おもしろい話がきけると思います」
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■会場の様子 ■学科委員の小林先生
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■修士時代について語る小野さん ■来年から留学する杉原さん

 大勢が参加した就職ガイダンスでは、山本均先生が昨年度の就職状況について、倉本義夫先生が就職活動における注意点等を説明してくださいました。企業への応募には自由応募、学校推薦の2つの方法があり、また、国家・地方公務員を目指す場合はそれぞれの試験を受ける必要があります。倉本先生は「いますぐ就職か進学を決める必要はないが遅くなってもいけないので、3月までによく考えておくように」とアドバイス。
 その後、就職活動を終えた阿部尚人さん(博士課程前期2年、量子伝導物性研究室)、梶原瑛祐さん(博士課程後期3年、金属材料研究所)が、それぞれのスケジュールや面接での質問などについてお話してくださいました。参加した学生からは「どうやって自己分析したのか?」などの多くの質問が寄せられました。

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■山本先生 ■会場の様子
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■就職担当の倉本先生 ■スケジュールについて説明する阿部さん
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■梶原さん ■梶原さんに質問する倉本先生

2012年11月16日レポート

CMSを利用したHPの構築

2012年11月2日(金)、情報基盤室 千葉 淳さんによる講習会「CMSを利用したHPの構築」が行われました。対象は技術職員のWEBの初心者向けということだったのですが、ネットワークを担当していたり、ホームページを作成していたりする方も参加して、思ったより高度な講習会だったような気がします。代表的なCMSとして、Movable Typeと WordPress のウェブページを作成して、その違い、メリット、デメリットを体験しました。


2012年11月15日レポート

市民講演会 物質に質量を与える「ヒッグス粒子」の発見と宇宙創成の謎に迫る「国際リニアコライダー(ILC)」計画

◆日時: 2012年10月21日(日)13:30~16:00
◆場所: 東北大学マルチメディアホール
◆講演: 東京大学数物連携宇宙研究機構長 村山 斉
              『宇宙の真空をびっしり満たすヒッグス粒子』
             東北大学大学院理学研究科 教授 山本 均
              『国際リニアコライダー計画(ILC)~新時代をリードし宇宙創成の謎に迫る~』


2012年7月4日、「ヒッグス粒子とみられる新粒子が発見された」というビッグニュースが欧州合同原子核研究所(CERN)より発表されました。ヒッグス粒子は、「標準理論」で予言されながら唯一見つかっていない最後のピースとされる素粒子です。講演の前半は、このヒッグス粒子について村山先生が宇宙のはじまりのところから丁寧に解説をしてくださいました。
後半は、ILC計画概要、装置、どんなことが解明されるかなどについて山本先生が解説をしてくださいました。その規模の大きさから、国際協力で世界にただひとつだけ作ることが研究者の間での合意となっており、東北地方の北上山地は、その有力な建設候補地の一つとされています。最近、新聞紙面にILCについての記事が掲載されることも多く、関心がある方が多く参加されたのではないでしょうか。


2012年11月15日レポート

【受賞インタビュー】ニュートリノ科学研究センター 井上邦雄教授が2012年度仁科記念賞を受賞

ニュートリノ科学研究センター センター長の井上邦雄教授が、「地球内部起源反ニュートリノの検出」により2012年度仁科記念賞を受賞しました。
今回の受賞について井上邦雄教授に受賞のコメントをいただきました。


  この度は歴史と栄誉ある賞を頂き大変光栄に存じます。過去の受賞者をみても非常に高名な方ばかりで、これを励みにそしてこの賞に恥じることの無いように今後とも精進して参ります。カムランド実験は高エネルギー加速器研究機構の鈴木厚人機構長の指揮の下、東北大学が中心となって建造したもので、国際共同研究での多くの共同研究者の努力によって、今回取り上げて頂いた地球ニュートリノの観測が実現しました。言うまでもなく今回の受賞はカムランドグループ全体への栄誉であります。また、カムランドの建設・運営は、東北大学をはじめ文部科学省や地元飛騨市、神岡鉱山など多くの方々と企業のご支援・ご協力によって実現しているものであり、改めて深く感謝いたします。

  カムランドが開拓したニュートリノ地球物理は世界的に展開しており、カムランド自身も良質のデータを取得し続け、今後も分野の発展に中心的に貢献したいと考えております。カムランドは、地球ニュートリノの観測を継続しつつ、新たにニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊を探索するカムランド禅実験を内包する形で運転しています。今後ともカムランドから多くの成果が出せるよう、ご支援・ご協力の程よろしくお願いします。


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※関連するリンク
教員の受賞・成果NEWS

2012年11月 1日レポート

市川隆先生の観望会

10月19日(金)、広報室企画 Tea Salon 市川隆先生の観望会が行われました。物理系研究棟屋上の51㎝反射望遠鏡を使って月や惑星を観測する予定だったのですが、あいにくの天気で思うように照準があわず観測できませんでした。仙台は昼間晴れていても、朝夕天気が悪いことが多く、観測が難しい所だそうです。そんな中、市川先生はなんとか星を見せようとチャレンジしてくださいました。
後半は大輪講室に場所を移し、市川先生が進めているプロジェクト"南極2㍍赤外線望遠鏡"と第53次南極地域観測隊(夏隊)に参加した時の体験についてお話していただきました。市川先生から南極の氷のお土産をもらい、参加者の皆さんも満足して帰宅されたのではないでしょうか。今度は土星を見たいものですね。

      『南極の内陸部は天気が良く、大気の透過度が高い。そして、大気の温度が低いため大気からの赤外線放射の影響を受けにくいので、口径2㍍の望遠鏡が、8.2㍍もあるすばる望遠鏡と同じ赤外線性能持つことになります。現在、ドームふじ基地への望遠鏡設置を目指して、昭和基地にてテストを行っています。』

DSC_0735.JPG午前中はとっても良い天気だったのに...。DSC_0736.JPGお団子セッティングOK!
DSC_0737.JPG雲の間にお月様がかすかに見えます。DSC_0742.JPGなんとか照準をあわせようとするも...。
DSC_0748.JPGだんだん体が冷えてきました。DSC_0754.JPGティー・ブレイク中。
DSC_0757.JPG何故、南極で望遠鏡なのか。penguin.jpgペンギンファミリーの姿に心奪われました。
2012年10月10日レポート

GCOEシンポジウム2012が開催されました

 東北大学グローバルCOEプログラム『変動地球惑星学の統合拠点』主催で、9月25日〜28日の間、仙台市戦災復興記念会館にてGCOEシンポジウム2012 "Achievements of GCOE Program for Earth and Planetary Dynamics and the Future Perspective" が開催されました。
 本グローバルCOEプログラムは今年度が最終年度のため、最後の開催となった今回の国際シンポジウムでは口頭発表、ポスターセッションの他に市民講演会も行われ、たくさんの方にご参加いただきました。
 25日の市民講演会では「東日本大震災を知る:私たちの安心・安全のために~3.11 の教訓と今後の展望~」と題し、東日本大震災とはどのような地震だったのか、津波はどのようにして海岸まで到着したのか、海洋の放射能汚染の状況などについて、これまでに得ることのできた研究の成果が報告されました。また、総合討論では参加した方から津波への対策、今後の余震など、多くの質問が寄せられ活発な質疑応答が行われました。
 
<25日 東日本大震災を知る:私たちの安心・安全のために~3.11 の教訓と今後の展望~>
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▲開会の挨拶は大谷栄治 教授(拠点リーダー) ▲松澤 暢 教授
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▲日野亮太 准教授 ▲越村俊一 教授
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▲花輪公雄 教授 ▲司会は中島淳一 准教授

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▲総合討論の様子

<26日 口頭発表・ポスター発表>
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▲Seismic wave propagation and crustal heterogeneity ▲質疑応答
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▲地球物理学専攻の中原 恒 准教授 ▲Climate Change
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▲ポスターセッション ▲もちろん英語で発表します

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▲自らのポスターの前に立って解説!

GCOE Symposium 2012「BEST STUDENT POSTER AWARD」受賞者一覧
地震セッション 地球物理学専攻博士課程2年 高木涼太さん
地球物理学専攻博士課程2年 吉田圭祐さん
地球物理学専攻修士課程2年 久保田達矢さん
惑星進化セッション 地球物理学専攻博士課程2年 栗田 怜さん
地学専攻博士課程1年 石田初美さん
地球物理学専攻修士課程2年 山本和幸さん
気候変動セッション 地球物理学専攻修士課程2年 山田恭平さん
地球物理学専攻修士課程1年 齊藤雅典さん
地球物理学専攻修士課程1年 柴田 優さん
固体地球惑星セッション 東北大学環境科学研究科博士課程3年
プトゥリ セティニさん
地学専攻博士課程1年 高橋 豪さん
火山セッション 地学専攻修士課程1年 松本恵子さん
地学専攻修士課程2年 中谷貴之さん
生命起源セッション 地学専攻博士課程1年 白井孝明さん

*関連リンク*
GCOE『変動地球惑星学の統合教育研究拠点』
GCOEシンポジウム2012
2012年10月 5日レポート

トワイライトサロン 二間瀬先生の「ブラックホールのギモンに答えます!!」

9月8日(土)、仙台市天文台にてトワイライトサロン 二間瀬敏史先生の「ブラックホールのギモンに答えます!」が行われました。仙台市天文台のトワイライトサロンは、台長の土佐誠先生やゲストが、宇宙をテーマに語り合うトークイベントで、毎週土曜日17:00~17:45、仙台市天文台オープンスペースで開催しています。この日は、夏休み中に来館した皆さんから募集したブラックホールのアンケートに二間瀬先生が答えるという企画でした。
台長の土佐先生は「こう見えても二間瀬先生は、相対性理論、宇宙論、ブラックホールの研究で世界的に有名な科学者です(笑)。そんな先生に気軽にお話していただけて、天文台としてとてもうれしいです。皆さんもざっくばらんに質問してください。」と二間瀬先生を紹介していました。
質問は884名から寄せられ、その中から多かった質問ベスト5に解説を加えて二間瀬先生が次々と回答していきました。その一部を紹介。※二間瀬先生の回答は天文台に展示されることになっております。

☆1位:もしもたべられたら?
ブラックホールにたべられたらどうなるの?--->
・「ブラックホールには、とても大きなものから小さいものからあります。銀河がひとつつぶれたような大きさのブラックホールに入っても、しばらくはなんともないけれど、もし太陽がプチッとつぶれたようなブラックホールに入ればグチャッとつぶれてしまいます。」
なかにはいるとしんじゃうの?--->
・「中に入ると死んじゃいます。」
ブラックホールのおくにはなにがあるの?--->
・「『特異点』と呼ばれるものがあります。これについては今の物理学ではよくわかっていません。現状の物理学では空間のほころびとしか言い表わせません。
ブラックホールは天体ですがイメージと違って何もありません。ただの空間です。空間の中に落とし穴みたいのががあって、そこには何もない。ブラックホールの真中は、時間、空間、物質という概念が破綻しています。」

☆2位:なぜたべちゃうの?
ブラックホールはなぜなんでもすいこむの?・どうやってひっぱるちからをだしているの?--->
・「ブラックホールは極端に強い重力を持っています。だから、逃げるすべはありません。重力というのは、普通の力で特別な力ではありません。」
食べられるとき、パスタみたいに細くなるって本当ですか?--->
・「ギューッと引っ張られるのでそうなります。そういう力のことを潮汐力といいます。」

☆3位:どうやってできる?
どうやってブラックホールができる?--->
・「星は熱が外に出ていくことで自分の重さを支えています。燃料を使い果たした星は、自分の重さを支えきれなくてどんどんつぶれていきます。そうしてブラックホールになるのですが、太陽質量ぐらいの星だとブラックホールにはなりません。太陽質量の30倍前後の星がつぶれたときにブラックホールになります。南天に太陽質量の70倍の星と30倍の星がくるくる回っているイータ・カリーナという面白い連星があります。4等星から0等星になり、現在は7等星程の明るさです。もうすぐ超新星爆発すると考えられていてブラックホールになるといわれています。」
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2012年9月21日レポート

「化学への招待−楽しいみんなの実験室−」が開催されました

 8月3日・4日の2日間、理学研究科の化学系学生実験棟にて「化学への招待−楽しいみんなの実験室−」が開催されました。このイベントは、日本化学会東北支部の主催で毎年行われており、中学生や高校生が大学の実験室を使用して様々な実験を学ぶことで、化学をもっと身近に感じてもらおうと企画されたものです。

 今回のテーマは「地球を生命を支える植物の光エネルギー変換の化学」、講師は化学専攻有機物理化学研究室の柴田穣先生、梶本真司先生、堀本訓子先生です。
 地球上の全ての生物は、植物などの光合成による光エネルギー変換に依存しています。光合成がなければ、わたしたちのような酸素呼吸する生命も生まれなかったかもしれません。蛍光、光吸収についての実験を通して、色と分子、光と分子の関わりについて考えてみましょう。

▲分子模型を使って説明する柴田先生 ▲その間に急いで実験準備!
▲午前中に自分たちでパセリから採取したクロロフィルaを... ▲紫外線(ブラックライト)に照らすと赤くみえます


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▲エノコログサの葉緑素を蛍光顕微鏡でみてみよう ▲学生と実験の手順を確認する梶本先生
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▲お祭りでよく見かけるケミカルライトも化学発光のひとつ ▲化学発光をつくってみよう


 堀本先生がこんなお話をしてくれました。
 「暗い部屋の中で粘着テープを勢いよく剥がすと発光することは以前からよく知られていましたが、実はそのときX線も発生(真空中で行った場合)*していることが解ったのです。このことが解ったのはほんの数年前のこと、身近な物事にも解らないことがまだまだたくさんあります。」
 みなさんの身の回りにも、まだ誰も知らないヒミツが隠されているかもしれません。その謎にぜひ挑戦していってほしいと思います。

*"Sticky tape generates X-rays"
Published online 22 October 2008, Nature.

2012年9月19日レポート

地学専攻 藤巻宏和教授 最終講義

 3月5日(月)、理学部大講義室にて地学専攻 藤巻宏和教授の最終講義「 私の研究で会った3人と、ICP-MSによる分析の危うさ」が行われました。
 藤巻先生の最後の講義を受けようと学生、教職員、そして卒業生が大勢参加し、大講義室はほぼ満員となりました。
 藤巻先生は岩石学・固体地球化学を研究、顕微鏡観察や化学分析、特に放射性同位体分析の方法を用いて世界中の様々な岩石を調査されてきました。また、岩石の調査による土壌や地下水の汚染といった環境についての研究も多くされました。
 最終講義では、藤巻先生の記憶に残る印象的な3人と、そのエピソードについてお話してくださいました。
 


藤巻先生よりメッセージをいただきました
  ー東北大学の思い出と、学生さんへー  


 私は地学のうちでも岩石学が最も熱く楽しい時代に、東北大学で勝手気侭な研究生活を過ごさせてもらいとても幸運でした。岩石学に興味を持ったのは月の探査をテレビで見ていて、私が非常に単純な勘違いをしたことが原因です。それは月に行った宇宙飛行士がもって帰ってくる「月の岩石を調べれば月がどのようにできたかわかる」という同時通訳の実況中継の言葉でした。それならば、地球は?と誰でも思うでしょう。その結果かどうか、私の在職中、日本の多くの大学に岩石学研究室ができ、熱い議論が戦わされました。私が出会った熱く楽しい岩石学と同じように、既にやりがいのある研究に出会っている人もいるでしょうし、少しずれたかなと思っている学生さんもいるでしょう。ずれたかなと思っている学生さん、大変な勘違いで始めても、多少の情熱と根気で皆さんの研究は熱く楽しい、やりがいのあるものになります。そのように信じて頑張ってください。


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▲最終講義を行う藤巻先生

  地学専攻の大谷栄治先生よりメッセージをいただきました  


 藤巻教授は、1969年に東北大学に入学されました。私も同年に入学した同級生です。入学当時は、70年安保前年で大学紛争が真っ盛りのころでした。ohtani-thumb-600x900-3111.jpg藤巻先生は、東北大学に入学前にすでに慶応大学で政治経済を学んだ異色の存在でした。その当時は、大学での勉強をそっちのけで、国のありかたや未来の社会について論争をしていました。今、藤巻先生も私も大学の教員として若者を教育する立場になったことを振り返るにつけても、感慨深い思いです。藤巻先生は、東北大学理学部の地学科地学第二を御卒業後、東京大学大学院理学系研究科に進学し、岩石学および地球化学を学びました。東大大学院で博士の学位を取得し、米国地質調査所(USGS)に留学し、ここで質量分析計による放射性同位体地球化学の研究に従事しました。この当時の研究は、繰り返し引用され今でも高い評価を得ています。日本に帰国後、東北大学に助手として着任し、東北大に同位体地球化学の研究手法を導入し活躍されました。東北大学では准教授、そして教授に昇進され一貫して岩石学および同位体地球化学の研究を進める傍ら、海外から多くの優秀な留学生を受け入れました。特にモンゴルから多くの留学生を受け入れ、その卒業生の中には現在モンゴルの地球科学界をリードする優れた研究者が生まれています。このような貢献によって、モンゴル科学技術大学から2009年には名誉教授の称号を授与されました。藤巻先生のモンゴルの地球科学の発展に尽くした貢献は大変大きなものがあります。近年は、研究対象を環境地球化学および環境問題にも広げ、社会とのかかわりを大事にしておられます。
 このように、藤巻先生は東北大学において、国際的にも大きな貢献をしてこられました。このたび、先生がご退職するにあたって、これらの貢献にこころから感謝するとともに、引き続きその経験を後進に御助言と御指導をいただけますようお願いするとともに、先生の御健康と御活躍を心よりお祈り申し上げます。



  研究室の吉岡勝樹さんに藤巻先生との思い出についてお伺いしました  


・藤巻先生の印象について
「竹を割ったようなという形容詞が、ピタリと当てはまるとおもいます。こちらが間違っているときにはしっかりと指摘し、また藤巻先生がわからない場合にはわからないとはっきりと伝える先生でした。あまりにもはっきりものを言われるので、ゼミの時などは冷や汗をかいていた覚えがありますが、自分の意見を伝える姿勢は常に一貫しており、いつも見習わせていただいております。」
・印象に残っている出来事について
「私が研究室に配属される前に行われた歓迎会の会計の際に、ゴールドカードで支払われた時には後光がさして見えました。その2年後に、私が幹事を務めた歓迎会の際に、同じようにゴールドカードで支払おうとされて、カードは受け付けていないと言われた時の藤巻先生の落胆の具合が忘れられません。その節は大変申し訳ございませんでした。」
・最後に藤巻先生へのメッセージをどうぞ
「藤巻先生は、幅広い方面のご趣味をお持ちなので、今まで出来なかったことも多々あるかと思いますが、これから思う存分やりたかったことを実現されてください。いままでありがとうございました。お身体ご自愛下さいませ。」


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▲学士、修士論文発表終了後の打ち上げで:左から藤巻先生、吉岡さん、学部4年生の3人


*Photo Garally*

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