東北大学 大学院 理学研究科・理学部|広報・アウトリーチ支援室

2019年11月25日レポート

11月2日(土)仙台市天文台×東北大学大学院理学研究科 公開サイエンス講座2019 第3回 ついに「見えた」重力波天体

2017年7月1日に東北大学大学院理学研究科と仙台市天文台は連携協力協定を締結し、コラボレーション企画として年間全4回の公開サイエンス講座を行います。
2019年度第3回目のイベントとして「ついに「見えた」重力波天体」が、11月2日に仙台市天文台加藤・小坂ホールで開催されました。会場には58名の方々にご来場いただきました。講師は本研究科の田中 雅臣 准教授(天文学専攻)です。2017年、重力波を放った天体の天文観測が史上初めて成し遂げられました。重力波を放った中性子星の合体現象は、宇宙の重元素を作り出す現象としても注目されています。講演では重力波天体と元素の起源に関する研究の最前線を紹介されました。また最後には会場で聴講していた学生に向けて「宇宙は「謎」と「未解決問題」だらけ。それを解き明かすのが「研究」の醍醐味です。」とのメッセージが送られました。


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会場の様子


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田中 雅臣 准教授(天文学専攻)

2019年11月 5日レポート

【広報サポーターレポート】10月20日 (日) ぶらりがく『声を可視化して分析しよう』

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今回は10月20日(日)開催「ぶらりがく」の様子を中島 優斗(化学科3年)がお伝えします!


 コンピュータに話しかけることで、必要な情報を検索できたり、パソコンに話しかけることで話しかけた内容を正確に文字化したり、話しかけることのできるAIが登場したりと、近年コンピュータの音声認識の精度は急速に高まっています。


 コンピュータは人の話した内容をどのように読み取っているのでしょう?今回のぶらりがくは、サイクロトロンRIセンターの田中香津生先生による、声の波形の分析のワークショップです。今回のワークショップには幅広い年齢層の方に参加していただき、コンピュータを用いた声の波形の分析を体験していただきました。


 コンピュータから発せられる音や、人の発する声などの私たちが普段耳にする音は空気の密度の変化による振動であり、振動の振幅が音の大きさ、周波数は音の高さを表しています。


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 音の振動の様子を観察しています。


 声の振動の波形が人によって異なるため、人の発する声は一人一人違ったものとして認識されます。また、「あ」の声と「い」の声とで振動の波形が異なるため、「あ」の声と「い」の声をそれぞれ異なる声として私たちは認識しています。声の個人差や、内容による声の振動の波形の違いをコンピュータで確認することで実際に調べました。


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 コンピュータに向かって声を出して、声の波形を調べています。


 声の波形が個人や話す内容によって異なるのは、声帯で生じた基本振動が一人一人異なる口腔や鼻腔で変えられ、また、異なる母音を話すときの、異なる口の形が振動の様子を変えるためです。


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 声の波形は一人一人異なったものであるのに、声に出した内容はどのように決定されているのでしょう?この問題を考えるために、声の波形の見方を、時間を軸に取ったグラフから、振動の周波数を軸に取ったグラフに変え、声のスペクトルとして声の波形を観察しました。


 声の振動には話した内容により異なる周波数の振動が含まれています。例えば、「あ」の音には広い範囲の周波数の振動が含まれていますが、「い」の音は主に高い周波数の振動から成り立っています。このように、話した内容により、音を構成する周波数にはそれぞれ特徴が確認されます。


 この声の振動を構成する周波数は発せられた声の内容により異なる、という性質を基に、周波数のスペクトルから話した2文字の母音の内容を当てる課題に取り組みました。「あ」「い」「う」「え」「お」のそれぞれの音を構成する周波数をコンピュータで調べ、得られたそれぞれの音の周波数のスペクトルから、課題のスペクトルで話されている内容を当てました。


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 周波数ごとのスペクトルを調べ、話した内容による違いを見ています。


 人や音声を認識するコンピュータが話している内容を認識できるのは、この話されている内容による振動数の特徴を読み取っているためです。また、声をスペクトルに分解することで、声に出して話されている内容や、声を出している人の特徴、その人の居る環境を分析でき、この手法は犯罪捜査においても用いられています。


 観測した波形を周波数ごとのスペクトルに分解する、という手法は、様々な放射線が混ざったものの観測において、どの核種がどのくらい放射線を出しているかの決定にも用いることができ、ここから、田中先生の研究に繋げることができる、というお話もありました。


 今回のぶらりがくでは、声の振動の波形を時間に対するグラフで見るだけでなく、それを周波数ごと見てみることで話している内容の分析もできる、というように、ものの見方を変えることで、新たなものが見つかる、ということを体験していただきました。

2019年10月 3日レポート

9月28日(土) 東北大学理学萩友会記念講演

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令和元年9月28日(土)、東北大学植物園を会場に、東北大学理学部・理学研究科ホームカミングデー理学萩友会記念講演会「平成から令和へ、未来へ受け継ぐ仙台城『御裏林』」~東北大学植物園の魅力に迫る!~)を開催いたしました。 このほか、同日開催にて特別企画のお煎茶席「仙台藩のお庭で寛ぐ上質な一刻を」のほか、理学萩友会理事会も同日開催いたしました。



≪理学部・理学研究科ホームカミングデー理学萩友会記念講演会
「平成から令和へ、未来へ受け継ぐ仙台城『御裏林』」~東北大学植物園の魅力に迫る!~」
:川内キャンパス東北大学植物園(10時30分~12時:90分)≫

司会進行:理学萩友会理事 大草 芳江

・主催者挨拶:理学部・理学研究科長、理学萩友会会長 寺田 眞浩
■講演[1]
「東北大学植物園の使命 ~広める、守る、そして伝える~」
 植物園園長、教授 牧 雅之
■講演[2]
「仙台城と御裏林~ 政宗の城造りを読み解く ~」  
 総合学術博物館館長、教授 藤澤 敦


≪特別企画の(お煎茶席)「仙台藩のお庭で寛ぐ上質な一刻を」
:植物園前庭広場(9時30分~12時30分)≫


≪理学萩友会理事会:
植物園 津田記念館 貴賓室(9時55分~10時25分)≫



理学部・理学研究科ホームカミングデーは、理学萩友会の発足を記念し、理学に縁が深く、また5月には秋篠宮皇嗣殿下もご視察された、今東北大学でもっともホットなスポットの植物園を会場として、初めて開催いたしました。当日は、晴天にも恵まれ、事前申込者数を上回る60名を超えるお客様が講演会とお煎茶席にご来場いただきました。
記念講演会は、大草芳江理学萩友会理事の司会進行のもと、冒頭に寺田眞浩理学部長・理学研究科長、理学萩友会会長から主催者挨拶があり、理学部・理学研究科の現況や理学萩友会活動について紹介がありました。次いで、講演[1]として、植物園の牧雅之園長から、「東北大学植物園の使命 ~広める、守る、そして伝える~」と題して、続いて講演[2]として、「仙台城と御裏林 〜政宗の城造りを読み解く〜 」と題して講演いただきました。5月の皇嗣殿下のご視察に直接対応をされた牧園長と藤澤館長から、東北大学植物園の魅力を植物学と歴史学の双方から掘り下げ、その魅力を余すところなく、ご紹介いたしました。
植物園前庭広場を会場とした特別企画のお煎茶席では、植物園の素晴らしいロケーションのもと、煎茶道三彩流準家元師範 深澤美郷(びきょう)先生が率いるスタッフより、来場者へおいしいお煎茶とお菓子をご提供させていただきました。
理学萩友会理事会では、寺田眞浩理学萩友会会長から、理学部・理学研究科の現況の報告と、今後の理学萩友会の活動等について説明があった後、種々意見交換がなされた後、出席の理学萩友会役員で記念撮影を行い閉会となりました。
今回の企画は、理学部・理学研究科、理学萩友会、青葉理学振興会、学術資源研究公開センターの4者共催により実施いたしましたが、次回の企画もぜひご期待ください。皆様のご来場、関係者一同、心よりお待ちしております。



2019年10月 1日レポート

10月1日(火)環境・地球科学国際共同大学院の認定式が行われました。

10月1日(火)、理学研究科 合同C棟2F 多目的室 にて環境・地球科学国際共同大学院の認定式が行われ、4名の学生がプログラム生として認定されました。
環境・地球科学国際共同大学院は、2016年秋からスタートしたプログラムで、『地球を丸ごと理解する』意欲と能力を持った人材を育成します。ドイツのバイロイト大学やハワイ大学など環境・地球科学分野で世界をリードしている欧米の大学、大学院学生の研究を指導している研究機関と連携しながら、リーダーシップを持つ国際性豊かな研究者の育成を目指します。
環境・地球科学国際共同大学院プログラム(GP-EES)



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2019年9月26日レポート

9月15日(日)仙台市天文台×東北大学大学院理学研究科 公開サイエンス講座2019 第2回 地球 vs 宇宙 ~海と火山~

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2017年7月1日に東北大学大学院理学研究科と仙台市天文台は連携協力協定を締結し、2019年度のコラボレーション企画として全4回の公開サイエンス講座を行います。
2019年度第2回目のイベントとして、9月15日(日)仙台市天文台にて、地球物理学専攻の学生が企画・運営をした「地球 vs 宇宙 ~海と火山~」を開催しました。海洋エリア、宇宙エリア、火山エリアの3つブースでは、実際に触ったり、作ったり、見たり、、、手を動かしながらサイエンスに興味を持ってもらう工夫を盛り込みました。来場者数は約300名。たくさんのご来場有難うございました。


  地球物理学専攻(惑星大気物理学分野) 博士課程前期2年 吉田奈央  
私たちが所属する地球物理学専攻は、地球のさまざまな自然現象(例えば、地震や火山噴火、気象や海洋、オーロラなど)を扱っているところが特徴的です。近年では、木星衛星イオに火山噴火が起きていることや、木星衛星エウロパ・土星衛星エンケラドスの内部に海がある可能性が示唆されるなど、地球と太陽系の惑星に共通点が見つかることも少なくありません。地球で起きていることと、宇宙で起きていることで、観測の方法は異なる部分もあれば似た部分もあります。今回は実際の観測や現象の一部になりますが、地球と惑星探査の両方を同時に知ってもらえればと思い、海と火山というテーマで企画を行いました。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。

  地球物理学専攻(惑星大気物理学分野) 博士課程前期2年 中村勇貴  
火山・海は地球だけに存在するのではなく、実は木星・土星には火山活動が活発な衛星や、表面の氷地殻の地下に海があると考えられている衛星があります。今回のサイエンス講座では、こうした「宇宙の火山・海」について知って頂くと同時に、探査機での遠隔観測手法について体験して頂きました。「地球の火山・海」と比べることで、観測の難しさや、「宇宙の火山・海」がまだ未知の段階であるということを実感し、衛星探査の面白さを認識して頂けたら嬉しく思います。

  地球物理学専攻(地球環境物理学講座) 博士課程前期1年 三部文香  
今回のイベントで私たちは、海洋についてのエリアを担当しました。最新の海洋観測の紹介や、回転水槽で海流を再現する実験を行ったほか、太平洋と大西洋の塩分の違いを舐めて体験するコーナーも企画しました。幅広い年齢層の方に研究の紹介を行う経験があまりなかったため、最初は不安もありましたが、周りの方々の協力もあり、楽しくイベントを進められました。来場者の方からお礼の言葉も頂けて後につながる貴重な経験となりました。ありがとうございました。

  地球物理学専攻(固体地球物理学講座) 博士課程後期1年 石川歩  
日本は火山国と言われますが、多くの人にとって火山噴火はあまり身近な自然現象ではないと思います。軽石や溶岩などの噴出物の展示やリアルタイム観測データの紹介、水あめを用いた噴火模擬実験などを通じて、火山のダイナミックな魅力とそれをサイエンスすることに興味を持ってもらえたらと思いました。私達自身の勉強不足を感じることもありましたが、興味津々で聞いてくれるこどもたちと楽しい時間を過ごせました。ありがとうございました。

2019年9月25日レポート

9月25日(水)令和元年9月学位記交付式が行われました

9月25日(水)、合同C棟2F青葉サイエンスホールにて学位記交付式が開催されました。今回の卒業生及び修了生は42名(交付式参加者37名)。寺田研究科長よりお祝いの言葉が述べられ、会場は和やかな雰囲気に包まれました。卒業生・修了生の皆さま、誠におめでとうございます!さらなるご活躍を心から祈念いたします。


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2019年9月11日レポート

【広報サポーターレポート3】8月11日 (日) ぶらりがく for ハイスクール「ヒレから四肢へ-作られ方の比較から進化の仕組みを推定する-」

 8月11日(日)理学研究科合同C棟青葉サイエンスホールにて、「ぶらりがく for ハイスクール」と題し、高校生を対象に一日かけて3名の講師が特別講義を行いました。この様子について、3名の広報サポーターに取材して頂きました。


3時間目 生物学「ヒレから四肢へ-作られ方の比較から進化の仕組みを推定する-」
講師:田村 宏治教授

広報サポーター 道本 佳苗(生物学科4年)


 少し肌寒いなかで開催された今年のぶらりがくforハイスクール。この日最後の講義は、生命科学研究科の田村宏治教授に、魚のヒレと私たちのような四足動物の四肢の作られ方の比較から陸上動物の進化について考えることを通して、理学部とはどういうところであるかについて解説していただきました。


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講義の様子


 この講義は、理学部とは関係性に理屈をつけていく学問であるというという話からはじまりました。教授自身が配布資料が極端に少ないことを宣言していたこともあり、みな真剣な様子で話を聞いていました。また、途中教授が「正解はない」としながら、アンケートとして、魚のヒレから両生類の四肢がどうやって進化したのかを用紙に記入する時間があり、一同熱心に回答していました。


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アンケートに回答している様子


 アンケート回収後は、ヒレと四肢の共通点と相違点を骨格や胚発生(卵から生まれるまでの成長過程)の観点かた比較することで、先ほどのアンケートの回答例のようなものを示していただきました。より詳しく知りたい方は、「オンラインで学ぶ東北大学MOOC」で2020年1月開講予定の田村教授の新規講座「進化発生学入門―恐竜が鳥に進化した仕組み―」をご覧ください。募集開始は10月を予定しています(https://mooc.tohoku.ac.jp/)。

 そして、講義の最後には「理学部は就職に不利ではない」といった大人向けの話もしてくださいました。また、講義後には質問コーナーがあり、「化石復元図では内蔵まで復元できるのか」といった鋭い質問をする生徒もいました。 今回の講義は、特に田村教授の授業に関しては、とても大学の授業に近いモノがあり、参加してくれた高校生にとってはいい体験となったはずです。たくさんのご参加ありがとうございました。

2019年9月11日レポート

【広報サポーターレポート2】8月11日 (日) ぶらりがく for ハイスクール「火山噴火のダイナミクス」

 8月11日(日)理学研究科合同C棟青葉サイエンスホールにて、「ぶらりがく for ハイスクール」と題し、高校生を対象に一日かけて3名の講師が特別講義を行いました。この様子について、3名の広報サポーターに取材して頂きました。


2時間目 地球物理学「火山噴火のダイナミクス」講師:小園 誠史准教授

広報サポーター 柴田 嶺(地学専攻修士1年)


 今回の「ぶらりがく」は3つの講義が行われますが、私がレポートするのは地震・火山学分野。テーマは『火山噴火のダイナミクス』で講師は地球物理学系の小園誠史先生です。今回は高校生対象ということで、大学の講義と同じような専門的な内容をかみ砕いて学んでいきました。


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 小園先生のお話は、噴火映像の導入から始まりました。しかし、「火山がすごいのはわかるけど、すごいだけじゃ学問にはならない」ということで、どこに学問的なおもしろさがあるのかについて、考えていきました。


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 最も大きな学問的疑問は、噴火のタイプについてです。このタイプ分けの原因が何なのか、何が噴火の違いにつながるのか、という疑問です。しかも、同じ火山・同じマグマであっても、激しい噴火が起こることもあるし、穏やかな噴火に留まることもあるそうです。疑問は深まるばかりでした。
 この疑問に答えるヒントとして、参加者数人で岩石の密度を求めてみました。そうすると、激しい噴火の時にでてくる岩石と、穏やかな噴火の時の岩石では、大きく密度が異なることがわかりました。同じマグマからできた岩石の密度が大きく異なるということは、軽い方に多くの気泡が含まれていることが推測できます。


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 気泡の発生があると、マグマは何倍くらいに膨張するのでしょうか。今度はこれを全員で計算してみました。実際に自分で計算してみることで、爆発的噴火がどれくらい激しい噴火なのか、体感的に理解することができました。穏やかな噴火の場合はガスがどんどん抜けていってしまうため、膨張がかなり小さくなります。このガスの抜け方の違いによって、同じ火山・同じマグマでも、噴火の様子が全く異なるものになることがわかりました。


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 このように前半では、山の中で何が起きているかを実際に計算して明らかにしていきました。後半では、噴火後の噴煙について学びました。

 噴煙は本来大気よりかなり重いものです。だから、普通に考えると空に上がらず落ちてきてしまい、火砕流になります。しかし、特定の量・速さでマグマが噴出すると、大気を巻き込んで加熱されて大気より軽くなり、傘のような形の噴煙になるそうです。このように、火砕流になるのか噴煙になるのかを計算できるため、防災に非常に有効な考え方だそうです。


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 小園先生は物理学の立場から火山について研究していますが、いろんな分野が関わっている学問であり、多様なアプローチがあるそうです。「研究は面白く、でも辛いものです。純粋に面白いと思えるテーマを見つけて、ぜひ意欲的に取り組める分野で活躍してください。」という応援の言葉で、先生のお話は締めくくられました。

2019年9月11日レポート

【広報サポーターレポート1】8月11日 (日) ぶらりがく for ハイスクール「べき乗和公式から多重ゼータへ」

 8月11日(日)理学研究科合同C棟青葉サイエンスホールにて、「ぶらりがく for ハイスクール」と題し、高校生を対象に一日かけて3名の講師が特別講義を行いました。この様子について、3名の広報サポーターに取材して頂きました。


1時間目 数学「べき乗和公式から多重ゼータへ」講師:大野 泰生教授

広報サポーター 福島 和紀(生物学科4年)


 世界は調和と対称性に満ちている。そう教えてくれたのは、東北大学理学部・理学研究科紹介動画に「数論のファンタジスタ」として登場した、数学専攻の大野泰生教授。ぶらりがく for ハイスクール第一講義目「べき乗和公式から多重ゼータへ」では、数学に潜む調和と対称性を会場のみんなで楽しみました。私は講義を聴きながら終始数論の世界に魅了されてしまい、講義が終わったあとでももっと知りたいと思ったほどの内容でした。


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大野教授による講義


 べき乗和の求め方は高校の数学で学ぶことですが、多くの人が知っているのは3乗和までの公式。では、4乗和の公式は知っているでしょうか。さらにはそれ以上のべき乗和は、どう書くことができるでしょうか。ちょっと難しそうですよね。そこでポイントとなるのは、「ものの見方を変える」ことと「一般的な特徴を掴む」こと。この2点に注目して大野教授の講義は進み、べき乗和の公式の種明かしがされていきました。そして、べき乗和の公式にみられる「ベルヌーイ数」に話題は移りました。


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べき乗和の公式(講義資料をもとに作成)


 ベルヌーイ数は、上述のべき乗和の公式を定式化する際に導入される数列{Bi}です。(ちなみに、べき乗和の公式は、同時期に関孝和とベルヌーイによってそれぞれ独立に定式化されたそうです。)ここからさらに、大野教授の講義は「多重ベルヌーイ数」や「多重ゼータ値」が持つ対称性の話題へと広がっていきました。多重ゼータ値の対称性と多重ベルヌーイ数の対称性の相互関係は未だ明らかにされていない謎です。  講義の最後は、「世界は調和と対称性に満ちている 未知の調和、未解明の対称性は君たちの手で解き明かされる(かもしれない) 挑戦しないと何も始まらないよ」という大野教授から高校生へのメッセージで締めくくられました。さて、高校生のみなさんはこの講義を聴いて何を感じたでしょうか。もっと数論を学んでみたいと感じたり、その世界に感動した人など様々でしょう。この講義からさらに自分の世界を広げ、未知の事柄に挑戦してもらいたいです。

2019年9月10日レポート

6月28日(金)東北大学サイエンスカフェ「地球の中はどんな世界? & 鉱物のフシギ」

6月28日(金)、せんだいメディアテーク1階オープンスクエアにて、第165回東北大学サイエンスカフェ「地球の中はどんな世界? & 鉱物のフシギ」が開催されました。講師は理学研究科 地学専攻の 栗林 貴弘 准教授。当日は88名の方々にご参加いただきました。たくさんのご来場ありがとうございました。
地球外物質を入手できるほどの技術力がある現在ですが、地球マントル物質を直接入手することはできていません。そんな地球深部の研究についてわかりやすく説明されました。また、会場にはたくさんの石やポスターを展示し、参加者の皆様に実際に見ていただきながら学生が説明をしました。
参加者からは「むずかしい部分もありましたが、とても興味深い内容でした。」「たくさんの標本も見せていただき勉強になりました。子供がわかるようなお話も嬉しかったです。」などの感想をいただきました。

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  理学研究科 地学専攻 博士課程後期2年 岡本 啓太郎  
人々の生活には多くの鉱物や岩石が関わっていますが、その多くは人間の想像も付かないほどの環境から生み出されます。今回はマントルという、固体地球の大部分を構成する人類未踏の岩石物質について、本公演にお越しいただいた皆さんに知って頂きました。来場者の多くは、炭素や水素などの軽い元素が、鉱物を経由して地球深部に取り込まれていることに驚かれていたようでした。それを示すように、地球内部に沈み込んだ炭素から生じるダイヤモンドに関して、最後まで活発な議論が行われました。私自身も、その場では答えを出せないような奥の深い質問を頂き、地球科学そのものについて思索を巡らす良い機会となりました。この場を提供して下さった方々に感謝申し上げます。
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