東北大学 大学院理学研究科・理学部

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7月24日(月)、基礎ゼミ「君が天文学者になるセメスター」研究成果発表会のお知らせ

 7月24日(月)に、東北大学大学院理学研究科天文学専攻の基礎ゼミ「君が天文学者になるセメスター(通称:君天)」の学部1年生による研究成果発表会を行います。
 どなたでも参加が可能です。他の基礎ゼミの1年生から研究者まで多くの方のご来場をお待ちしております。

イベント内容


名   称: 基礎ゼミ「君が天文学者になるセメスター(通称:君天)」研究成果発表会

日   時: 2017年7月24日(月)

会   場: 理学部合同C棟2階青葉サイエンスホール(MAP上 H-04の建物です。)

スケジュール


13:00〜13:30: チーム・Brand New Gazers "X"『球状星団の現在位置とその由来を結ぶミッシングリンク』

13:30~14:00: チーム・彼方ちゃん『銀河の形成年代とブラックホール質量の関係について』

14:00~14:30: チーム・はじめちゃん(仮)『銀河の形と物理量の関係』

14:30〜15:00: チーム・スターピース☆『Morphological transitions in galaxy collisions』

以下、研究の要旨


(1)13:00~13:30

[Speaker]
【チーム・Brand New Gazers "X"】川口航平(理・物理系),倉澤真帆(理・物理系),蜂須賀大暁(理・物理系),山神玄蔵(理・物理系),和田大雅(理・地球科学系)

[Title]
球状星団の現在位置とその由来を結ぶミッシングリンク

[Abstract]
銀河系において球状星団はハローの部分に均一に存在しているが、その理由は未だ不明である。そのことを説明する二つの仮説を立てた。仮説Aは球状星団がハローの外部から銀河の重力によってとらえられたものであるとするものである。仮説Bは銀河の形成過程はいまだに明らかにされていないが、球状星団と矮小銀河の中間のサイズのUCD(超コンパクト矮小銀河)という天体が存在することから球状星団が衝突と合体を繰り返しながら矮小銀河とういう段階を経て銀河に成長する過程で取り残された球状星団がハローの外縁に存在しているという説である。これらのことを調べるために、50cm反射望遠鏡を用いて5つの球状星団について撮像及び分光観測をし、球状星団の年齢及び金属量のデータを得た。また、アーカイブデータ から離心率、遠点のデータ及び矮小銀河の金属量に関する論文を得て、仮説Aに関しては 天の川銀河内にあるおおいぬ座矮小銀河由来とされるM79とその他の球状星団について比較し、仮説Bについては観測した球状星団のうち現時点で解析可能である天体の金属量と アーカイブに基づく矮小銀河の金属量とを比較しその推移を考察した。仮説Aについては、遠点及び離心率はM79がほかのどの球状星団より大きくなった。このことは、球状星団が外から来たことを肯定するものではないが、銀河の周りを公転するうちに軌道が減衰した可能性も考えられる。ゆえに、この結果は球状星団はハロー外から 来たものであるとは言えないが、ハロー外から来た可能性を完全に否定するものでもない。仮説Bに関して、仮説通りである場合天体が成長するにつれてその金属量も成長段階ごとに増えていくべきであり、観測結果と論文から、球状星団の金属量は非常に少なく、矮小銀河と段階を踏んでその金属量は増加することがわかった。また実際に球状星団はハロー外縁部に散在しており、成長過程で取り残されたと考えることが可能である。これらのことは共に仮説を支える大きな根拠となると考えている。


(2)13:30~14:00

[Speaker]
【チーム・彼方ちゃん】阿部聡太(医・医),池田遼太(理・地球科学系),井上文太(工・機知),川田怜司(理・物理系),古川美穂(理・地球科学系)

[Title]
銀河の形成年代とブラックホール質量の関係について

[Abstract]
マゴリアン関係は、銀河のバルジ質量(Mbul)とその中心にある超巨大質量ブラックホール(SMBH)の質量(Mbh)に比例に近い関係があるということを示す.この関係のグラフ上で、銀河がどのようなシフトをしてきたかはわかっていない.そこで、我々は、銀河の赤方偏移(z)の差異に着目し、新たな特徴を見出すことで、ブラックホールとバルジの共進化の解明に繋がると期待した。
遠方銀河のMbulのデータ数が十分でなかったため、SDSS(DR7)より、Mbul以外のパラメータとして、クェーサーのMgⅡとCⅣの輝線幅のデータを使用した.なお、遠方銀河では観測されるのがクェーサーに限られるため、クェーサーのデータを用いた.縦軸にMbh、横軸にクェーサーの速度分散をとり、銀河をzの大小で二つに色分けし、プロットした散布図を作成した結果、zの大きい銀河(high z)の方がzの小さい銀河(low z)よりもMbhが大きい傾向が見られた。
通説、SMBHの質量は減少しない.そこで、我々も、SMBHの質量は時間とともに増加していき減少に転じることはないと仮定する.故に、得られたグラフで、low zの銀河にMbhの大きいものが少ないのは、一部の一気に成長し過ぎたSMBHが周りのガスを吸収したためガスのエネルギーが奪われ、クェーサーとして観測出来なくなったためだと考えられる.Mbhは古い年代の宇宙の方が増加率が大きく、時が進むにつれ徐々に増加率は小さくなっていくと考察できる。


(3)14:00~14:30

[Speaker]
【チーム・はじめちゃん(仮)】木舩一輝(工・機知),福地輝(理・物理系),室越琳生(理・物理系),高階悠貴(理・地球科学系),青木大樹(経済),澤村万理(医・保健)

[Title]
銀河の形と物理量の関係

[Abstract]
私たちは銀河の形状の違いに興味を持ち、楕円銀河と渦巻銀河に焦点を置き調べることにした。形状の違いがどのようにして生じたかは解明されていないが、渦巻銀河の衝突により楕円銀河が形成されることがシミュレーションにより予想されている。そこで、観測的研究からその説を検証することにした。そこから、衝突により楕円銀河が形成されるとすれば、楕円銀河の質量が渦巻銀河と比べて相対的に重くなるという仮説1を立てた。また、銀河の形状の違いを調べていく中で、ジェットは楕円銀河に多く見られるという記述を発見した。このことからジェットが銀河の形状の違いに影響していると考え、地球から見た銀河の長軸と短軸の比が1に近いほどジェットが強いという仮説2をたてた。仮説1、2を検証するため、私たちは東北大学50㎝望遠鏡を用いて渦巻銀河と楕円銀河を3つずつ撮像観測した。同時にアーカイブデータから画像と等級のデータを取得し、銀河の形状、等級とバルジ質量、電波強度のグラフを作成した。ここで宇宙ジェットの強さは電波強度の強さと対応していると考えた。仮説1についてグラフから、楕円銀河の方が渦巻銀河よりも統計的に質量が大きいということが確かめられ、シミュレーションによる説を補強した。仮説2について、長軸と短軸の比と電波強度のグラフからは相関関係を見出すことができなかった。しかし、先行研究と同様に楕円銀河のほうが渦巻銀河よりも電波強度が強いものが多いことが確認できた。そのことからジェットは銀河の形状の違いには影響しないか、軸の比が2次元での長さであったことと銀河の傾きを考慮しなかったことに問題があると考えた。以上より、渦巻銀河と楕円銀河の形状の違いは衝突により生じると考えられる。また、楕円銀河の方が渦巻銀河よりもジェットが強いという結果からジェットと銀河の形状には関係があると言えるが、ジェットが銀河の形に影響を与えるかということは定かではなく今後の研究課題である。


(4)14:30~15:00

[Speaker]
【チーム・スターピース☆】田村純(文・人文社会),鈴木舞奈佳(理・物理系),泉部拓人(理・地球科学系),曽我部崇(工・化バイ),廣瀬雄士(工・機知)

[Title]
Morphological transitions in galaxy collisions

[Abstract]
目的:新しい銀河が形成される大きな要因である銀河同士の衝突について調べること。調べようと思った理由:銀河の形成過程について調べる中で銀河同士の衝突で新たに銀河が生まれることを知り、より深く調べることで銀河の進化について理解できると思った。
内容:現在衝突している二つの銀河をアーカイブや観測を用いて求め、新しく生成された星の色や銀河内のガスの消費速度、衝突が終わった段階でのガスの有無(ある場合→どのくらい?)などを分析し、それらを楕円銀河や渦巻銀河の特徴と照らし合わせて将来どうなるかを予測する。 予測:衝突が進行するほど楕円銀河の特徴に近づいていく。
結果:V-Rから星の色を観測すると、衝突が進行している銀河ほど高い値になることがわかった。これにより、衝突が進行するほど楕円銀河の特徴に近づいていくということが明らかになり、楕円銀河は衝突によってできるという我々の予測を裏付ける結果がでた。


お問い合わせ先


東北大学 大学院理学研究科 天文学専攻
助教 田中 幹人(たなか みきと)
Tel:022−795−6608
E-mail:mikito[at]astr.tohoku.ac.jp *[at]を@に置き換えてください


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