東北大学 大学院理学研究科・理学部

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小川卓克教授が 2019年度日本数学会賞秋季賞 を受賞

東北大学大学院 理学研究科 数学専攻小川 卓克 教授が、2019 年度日本数学会賞秋季賞を受賞しました。

日本数学会賞秋季賞は、優れた研究を行った研究者または研究グループに日本数学会から進呈される賞です。本学からは初めての受賞で、過去には、「数学のノーベル賞」ともいわれるフィールズ賞を受賞した森重文京都大学名誉教授も受賞しています。

授賞式は、日本数学会 2019 年度秋季総合分科会にて以下の次第で開催されます。

□ 東北大学ウェブサイト

2019年度日本数学会賞 秋季賞

受賞題目:非線形発展方程式の臨界正則性と特異極限
    (英訳:Critical regularity and singular limit problems on nonlinear evlution equations)
授賞者 :小川 卓克 教授(東北大学大学院 理学研究科 数学専攻)
授賞理由 :
藤田方程式、ナビエ・ストークス方程式系に代表される消散型偏微分方程式や非線型シュレディンガー方程式に代表される分散型偏微分方程式は、線型偏微分作用素から定まる時空の伸長構造と非線型相互作用から定まる冪乗則の両立条件としての尺度則に従う非線型発展方程式である。これらの非線型発展方程式の初期値問題を、ユークリッド空間上のソボレフ空間など函数の微分可能性を特徴づける階数をもった函数空間において論じる際、空間次元 、微分可能性を表す階数 、冪乗則を表す との三者で特徴づけられる臨界性の概念が極めて重要な指標となる。臨界においては、方程式の尺度則は保たれたままであるが、解の可微分性や可積分性が失われる様々な例が知られている。これは、衝撃波の発生、波やプラズマの崩壊、物質の安定性の破綻などの物理現象を記述したものであるが、ソボレフの埋蔵不等式やコンパクト性の破綻に直結した数学的現象の反映でもあり、臨界において初めて出現する極めて興味深い研究対象である。その背景には、積分の対数的収束・発散性のように、時空の伸長構造と冪乗則の尺度則では説明出来ない可微分性や可積分性の数学的構造が横たわっている。
小川卓克氏は、臨界の解析に有効な臨界不等式の考案や、配位空間および運動量空間の二進分解に伴う級数の総和性に着目した統一的解析手法の導入により、臨界構造の本質を衝く研究業績を挙げ、一般論では到達不可能な未知の領域に揺るぎ無い基礎を築いた。
小川卓克氏の業績は日本数学会賞秋季賞に誠に相応しいものである。
授賞式及び受賞講演:9月18日(水)午後3時10分〜15時40分

注)日本数学会:会員数約5,000名からなる数学分野における国内最大の学会。


問い合わせ先


<研究に関すること>
東北大学大学院理学研究科数学専攻
教授 小川 卓克(おがわ たかよし)
電話:022−795−6374
E-mail:ogawa[at]math.tohoku.ac.jp

<報道に関すること>
東北大学大学院理学研究科広報・アウトリーチ支援室
電話:022-795-6708
E-mail:sci-pr[at]mail.sci.tohoku.ac.jp
*[at]を@に置き換えてください



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