東北大学 大学院理学研究科・理学部

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【TOPICS】GPSによる蔵王山周辺の地殻変動観測

宮城県と山形県の県境に位置する活火山の蔵王山では、2013年1月に初めて火山性微動が観測されたのを皮切りにその後もたびたび発生しています。20世紀半ば以降に世界各地で発生したマグニチュード9以上の5個の巨大地震の後には、例外なくその震源域近くに位置する活火山が噴火しています。蔵王山は2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)の震源域に最も近い火山でもあり、今後の活動の推移が注目されます。

東北大学では、蔵王山周辺の火山活動をより詳細にモニターするため、今年度新たに地震計、傾斜計、GPS、全磁力、重力等の観測網を展開中です。これまで、蔵王山周辺のGPS連続観測網は、国土地理院によるGEONET観測点(図中0178,0934,0557)及び気象庁の坊平観測点(J310)のみでしたが、本年4月末に本学蔵王観測所(ZAS)に新設したのをはじめ、7月末までに白石スキー場及びセントメリースキー場にGPS連続観測点を設置しました。8月21日には蔵王ロープウエイ地蔵山頂駅への設置を行い、9月初旬には宮城県営山頂レストハウスにも設置する予定です。GPS観測では、長期間に及ぶゆっくりした地盤の動きが数mmの精度で計測されるため、火山体直下のマグマ等の上昇や下降に伴って発現するわずかな火山体の膨張や収縮の様子を把握することが可能となり、火山噴火の予測においても極めて重要なデータを提供します。

図1は、2013年5月から7月までの3ヶ月間のGPS観測データから得られた水平変位場です。各観測点とも、今のところはまだ数mm程度と小さいことから、有意な地殻変動は観測されておらず、近々噴火に至るような兆候は見られません。今年度内に整備される予定の各観測点からのGPSデータをはじめ、地震、地磁気、重力といったデータの総合的な解析を進め、蔵王山の火山活動の変化を注意深く見ていく必要があります。



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図1:2013年5月から7月までの3ヶ月間のGPS観測データから得られた水平変位場

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図2:蔵王ロープウエイ地蔵山頂駅屋上に設置したGPS観測装置



【問い合わせ先】

地震・噴火予知研究観測センター 教授 三浦 哲

E-mail: miura*aob.gp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)




【報道】

8月21日 NHK [蔵王連峰にGPS設置]

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