東北大学 大学院理学研究科・理学部

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7月25日(月)、基礎ゼミ「君が天文学者になるセメスター」研究成果発表会のお知らせ

 7月25日(月)に、東北大学大学院理学研究科天文学専攻の基礎ゼミ「君が天文学者になるセメスター(通称:君天)」の学部1年生による研究成果発表会を行います。
 どなたでもご参加が可能です。他の基礎ゼミの1年生から研究者まで多くの方のご来場をお待ちしております。

イベント内容


名   称: 基礎ゼミ「君が天文学者になるセメスター(通称:君天)」研究成果発表会

日   時: 2016年7月25日(月)

会   場: 理学部合同C棟2階青葉サイエンスホール(MAP上 H-04の建物です。)

スケジュール


13:00〜13:05: 発表会趣旨説明

13:05〜13:35: チーム・NASA『ダークマターの現在と過去』

13:40~14:10: チーム・CQuasar『仮・ブラックホール近傍の可視光線発生域におけるニュートン力学の有意性の検証』

14:15~14:45: チーム・Hawks『渦巻銀河の変遷を予測する~棒渦巻銀河と渦巻銀河の関係について~』

14:50〜15:20: チーム・俺天『ウォルフ・ライエ星の内部構造について』

以下、研究の要旨


(1)13:05~13:35

[Speaker]
【チーム・NASA】佐々木俊輔(理・物理系),渋谷直生(工・材料),高嶋美結(文・人文),永坂審平(理・物理系),花輪美帆(理・物理系),山縣俊亮(工・機知)

[Title]
ダークマターの現在と過去

[Abstract]
銀河の質量を測るとき、銀河の回転速度から力学的に出した質量と光学的に出した質量とでは誤差が生じる。この誤差が生じるのは、目には見えない何かが銀河にあるからだと推定されている。この目には見えないものをダークマターと仮定し、質量の誤差を正当化した。このダークマターは宇宙が誕生した時、均一に存在したと仮定すると、時が経つにつれ万有引力によりダークマター同士が引きつけられ集まり、ダークマターの密度が高くなると考えられる。つまり昔の銀河ほどダークマターの密度が薄く、現在の銀河ほど密度が濃くなると考えられる。昔と現在の状態を把握することで、ダークマターの集まり方を予測し、そこから宇宙初期の状態や今後の宇宙の状態の予測が可能となる。研究の手順として、V-bandで観測を行い、観測した銀河データに一次処理を施し、次に測光解析から等級を計算した。等級から光度を調べ、質量光度比を用いて光学的な質量を求めた。力学的質量との差からダークマターの質量を出し、銀河の大きさで割ることで密度を出した。また、アーカイブデータとしてSDSSから知りたい物理量を出し、教科書などに記述されている公式に当てはめて計算は行った。最後に、銀河の地球からの距離とダークマターの密度に相関があるかをグラフにして調べた。結果としてグラフに予想した相関はあまり見られなかった。その理由としては、データとして選んだ天体の領域はダークマターの多く存在する領域もしくは少ない領域であり、赤方偏移zにおけるダークマターの密度を求めるのに十分なデータがないと考えられる。今後はより多くの銀河データを元に研究をしてみたい。


(2)13:40~14:10

[Speaker]
【チーム・CQuasar】貝塚杏菜(医・医),瀧沢凌平(工・機知),武川智輝(工・機知),内城沙月(工・電気情報),廣谷俊輔(工・機知)

[Title]
ブラックホール近傍の可視光線発生域におけるニュートン力学の有意性の検証(仮)

[Abstract]
ブラックホールの周辺では、ブラックホールの巨大な質量により空間が歪む。X線の観測により、X線発生域ではブラックホールによる重力赤方偏移が起こることが、先行研究では明らかにされていた。では、X線発生域よりもブラックホールから遠い、可視光線発生域ではどうだろうか。重力赤方偏移は起こらないのではないか。我々はそれを明らかにするために、口径51cmの望遠鏡を用いて、NGC4151を分光観測し、一次元スペクトルを作成した。そして、輝線スペクトルを重力赤方偏移が起こらないと仮定した、正規分布に基づくモデルと比較し、重力赤方偏移が起きているか否かを判定した。モデルはgnuplotというソフトで作成した。なお、可視光線発生域には広がりがあるので、観測した可視光線の光源がどのくらいの位置にあるのかを知るために、観測した波長を用いて、光源とブラックホールのだいたいの距離を算出した。その結果として、観測したデータは、先行研究のX線でのグラフのように、明確な偏移は見られなかった。よって可視光線発生域の中の、我々が観測した位置ではニュートン力学が成り立つということがわかった。


(3)14:15~14:45

[Speaker]
【チーム・Hawks】桑田明日香(理・物理系),佐藤啓大(理・物理系),高井采名(医・医),南條真実子(文・人文),平田光明(工・機知)

[Title]
渦巻銀河の変遷を予測する~棒渦巻銀河と渦巻銀河の関係について~

[Abstract]
棒渦巻銀河では、中心部での星形成が活発であるほど棒が長い、という研究結果がある。また、棒渦巻銀河における棒構造は、力学的不安定さが原因となって生じる、とする見解もある。これらの先行研究から、我々は、赤方偏移を銀河の年齢の軸としたとき、赤方偏移が小さくなるにつれ棒渦巻銀河の割合は増え、棒の長さは長くなり、さらに色は青くなるのではないか、という仮説を立てた。これらの仮説を立証するため、我々は、東北大学51cm望遠鏡を用いて6個の渦巻銀河の撮像観測を行った。また、アーカイブデータを利用して、sdssとGalaxyzooから渦巻銀河に関する相関図を作った。その結果、棒渦巻銀河と渦巻銀河の割合には周期的な変化がある可能性が出てきた。さらに、棒の長さが長い銀河が減少するにつれ、棒渦巻銀河の割合も減少する、という傾向も見られた。しかし、色についてはほとんど相関は得られなかった。これらの結果から、棒渦巻銀河は、棒が短くなったり長くなったりすることを繰り返すのではないか、ということが考えられる。また、色については、銀河全体の色しか得られなかったため、棒構造より、渦巻構造があるということのほうが、色に与える影響が大きい、という可能性も示唆される。


(3)14:50~15:20

[Speaker]
【チーム・俺天】大野滉貴(理・物理系),川久保晋(理・物理系),須山将喜(理・物理系),タンユーシン(理・物理系)

[Title]
ウォルフ・ライエ星の内部構造について

[Abstract]
我々は、高速で吹き出すガスによって輝線の幅が拡大されたスペクトルが観測されるWR星(ウォルフ・ライエ星)について興味を持ったが、他の天体と比べて文献が少なく、研究があまり進んでいないような印象を受けた。そこで、WR星への理解を深める第一歩として、輝線幅の拡大を観測し、WR星の内部構造が外側の透明な層と内側の不透明な層の2層からなると仮定して簡単にモデル化することにした。今回行ったのは、東北大学51cm望遠鏡とSBIG ST-7を使った分光観測である。観測対象のWR星はWR133、WR134、WR135、WR136、WR137、WR138、WR140の7つとした。観測の結果、7天体について輝線が幅を持って観測された。自転などによるガス速の変化を無視出来ると仮定し、この輝線幅の拡大から透明な層と不透明な層の割合を計算したところ、不透明な層が中心から直径の9割以上を占めている事が分かった。これは太陽などの恒星と同程度の割合であり、WR星も他の恒星と似た内部構造をしているというモデルが作成できた。


お問い合わせ先


東北大学 大学院理学研究科 天文学専攻
助教 田中 幹人(たなか みきと)
Tel:022−795−6608
E-mail:mikito[at]astr.tohoku.ac.jp *[at]を@に置き換えてください


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