東北大学 大学院理学研究科・理学部

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【研究成果】原子層物質・低次元半導体の熱電性能の理論が23年ぶりに更新

概要



 東北大学大学院理学研究科の研究グループ Nguyen T. Hung (大学院生)、A. R. T. Nugraha(助教)、E. H. Hasdeo (大学院生), M. S. Dresselhaus (MIT, 教授), 齋藤理一郎(教授)は、熱電性能の理論を23年ぶりに更新し、より普遍的な概念を導入することに成功しました。





詳細な説明



 原子層物質のような1次元(もしくは1次元物質)は、閉じ込め効果(confinement effect) によって熱電性能(熱から電気を発生する性能)が高くなることが知られています。これは、1993年のHicks & Dresselhaus の理論的な論文によって示され、四半世紀にわたって、この理論にしたがって低次元物質に関して熱電性能が探索され、高い性能指数が得られてきました。しかし、物質を2次元や1次元にしても、性能が上がる物質と上がらない物質があり、その原因が良くわかりませんでした。今回発表した論文では、閉じ込めの大きさと、熱的ドブロイ波長を比較することが重要であることを示しました。閉じ込めの大きさが熱的ドブロイ波長より小さい時だけ、熱電性能が上がることを理論で示し、過去のすべての実験結果はこの結果に当てはまることを示しました。この理論が、今後原子層物質、ナノワイヤーの熱電性能の新たな指針になると思われます。この研究の詳細は2016年7月7日付で、米国の学術誌「Phys. Rev. Lett」に掲載(DOI: 10.1103/PhysRevLett.117.036602 )されました。





参考図



20160726.png

図:熱電のパワーファクターを3次元の値でスケールしたものを、熱的ドブロイ波長Λ / 閉じ込め長L の関数としてプロット。Λ/Lが1より小さいと、熱電性能が上がる。点線が理論。点がいろいろな実験結果。





お問い合わせ先



東北大学大学院理学研究科

物理学専攻物性理論研究室

教授 齋藤 理一郎(さいとう りいちろう)

電話:022-795-7754

E-mail:rsaito[at]flex.phys.tohoku.ac.jp

*[at]を@に置き換えてください。




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