東北大学 大学院理学研究科・理学部

トップ > お知らせ

NEWSお知らせ

打ち上げ迫るERG衛星 −地球物理学専攻メンバーが多数参加−

 本学・地球物理学専攻メンバーが中核を担ってきた JAXAのジオスペース観測衛星・ERG (Exploration of energization and Radiation in Geospace)の打ち上げが迫っています。
 この衛星は、地球周辺の宇宙空間に広がる高エネルギー電子が蓄積される「バンアレン帯(放射線帯)」の成因を調べるため、電子と電磁場を同時観測してその相互作用を解明するものです。
 本学は地球・太陽・惑星における高エネルギー現象の研究を主目標のひとつとしてきており、この衛星はこの目標に向けた長年の研究における画期となります。
 ERG衛星は、イプシロンロケット2号機により、12月20日(火) 20:00JSTに、鹿児島県内之浦の宇宙空間観測所から打ち上げられる予定です。

ERG_project.png

図: 放射線帯(ヴァンアレン帯)を飛翔するERG衛星(© ERG project)

東北大学からの参画


小野 高幸 名誉教授(元・地球物理学専攻)
元・プロジェクト全体の主任研究者(PI)。2013年の12月にご逝去。後継は、本学出身(地球物理学専攻)の三好由純准教授(名古屋大・宇宙地球環境研究所 准教授)。

笠羽 康正 教授(地球物理学専攻 [惑星大気物理])
本衛星に搭載される PWE(電場・プラズマ波動観測機)の主要メンバー。2015年まで主任研究者。2016年以降、笠原禎也教授(金沢大・電子情報科学専攻)へ交代し、現在は副主任研究者、15m長で衛星から展開される4本のワイヤアンテナ(WPT-S)とDC電場レシーバ(EFD)の責任者、およびオンボードデータ処理部のコア部開発担当。
電場・プラズマ波動観測は、日本の宇宙科学衛星において長年東北大他が担ってきたもので、本学にとっては大家寛 名誉教授、小野 名誉教授の松明を継ぐものでもある。PWEは、2018年打上予定の日欧合同水星探査機BepiColomboに搭載されるPWE(電場・プラズマ波動観測機)の技術を先行して地球周回に展開するもので、欧州宇宙機関(ESA)が2022年に打上予定の木星・氷衛星探査機 JUICE(JUpiter ICy moons Exploler)に搭載されるRPWI(電波・プラズマ波動観測機)にも受け継がれる。(笠羽は、前者の主任研究者、後者の副主任研究者・日本側チーム代表)

熊本 篤志 准教授(地球物理学専攻 [宇宙電磁気])
PWEを構成するHFA(高周波電波レシーバ)の責任者。BepiColombo-PWI・JUICE-RPWIにおける開発担当を兼ねる。

土屋 史紀 助教(惑星プラズマ・大気研究センター [惑星電波観測])
PWE(電波・プラズマ波動観測機)を構成するHFAの開発、特にオンボード・地上データ処理部を担う。JUICE-RPWIにおける開発担当を兼ねる。

加藤 雄人 准教授(地球物理学専攻 [宇宙電磁気])
本衛星に搭載される S-WPIA(ソフトウェア型波動-粒子相互作用解析装置の開発担当、特に大規模数値シミュレーションによる動作原理の開発。主任研究者は、小嶋浩嗣 准教授(京大・生存圏研究所)。
この装置は、PWE など複数機器の観測データをまとめて衛星内で高次処理するもので、この種の「衛星内高度データ処理」は非常に珍しい。ERG衛星は地球の放射線帯を構成する相対論的エネルギー電子の成因を調べることを主目的に据えるが、本装置はその主役となる。


他にも、小原隆博 教授(惑星プラズマ・大気研究センター・センター長)らが高エネルギー粒子観測、坂野井健 准教授(惑星プラズマ・大気研究センター[惑星分光観測])らが地上オーロラ観測などで参加し、グループ総動員でこのミッションを支えていくことになる。


お知らせ

FEATURES

先頭へ戻る