東北大学 大学院理学研究科・理学部

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化学専攻 藤井朱鳥准教授らの非古典的化学結合の観測に関する研究がChemistry Worldで取り上げられました

 分子は原子同士を化学結合で繋ぐことにより形成されます。化学結合の最も一般的な形は2個の原子が電子を共有することにより生じるもので、共有結合として知られています。通常、共有結合は2個の電子(電子対)を共有しますが、3個の電子を共有して安定となる場合があることが指摘されており、これを2中心3電子結合あるいは半結合と呼びます。この結合は、その安定性の理解のために量子力学を必要とするため、非古典的化学結合とも呼ばれています。
 このような非古典的化学結合が、水やアンモニアといった非常に基本的な分子の間に、イオン化(電子の脱離)により生じる可能性が、近年の理論計算により予想されて来ましたが、実験的な証拠が得られていませんでした。藤井准教授らの研究チームは、硫化水素(H2S)分子のクラスターと呼ばれる集合体を真空中でイオン化し、生じるイオンの赤外分光(振動状態の観測)を行いました。その結果、硫化水素分子間の2中心3電子結合の形成とその溶媒和(周囲を分子で取り囲まれること)への安定性を証明し、イギリス王立化学協会発行の学術雑誌Chemical Scienceに発表しました。

 この内容が同協会発行のニュース雑誌Chemistry Worldに速報として取り上げられました。
[Chemistry World] First observation of unusual hemi bond

【関連リンク】
[Chemical Science] Spectroscopic observation of two-center three-electron bonded (hemi-bonded) structures of (H2S)n+ clusters in the gas phase



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